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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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80/335

お試しにも程がある 80

 「暫く此処で対応するんですか?」

 拓海は、おにぎりを食べて一息つく職員達に尋ねる。

 「はい。

 交代制ですが、暫くは様子を見ることになりました。」

 「また噴火始まったら大変ですよね。」

 「そうなんですよ。

 山は動きがサッパリ読めないので。」

 「今度交代の際には、住民だけでなく職員用も食事用意しないとですね。」

 「急いで来たので、そこまで気が回りませんでした。

 引継ぎ時に申し伝えます。」

 職員達の食事が一段落したところで帰ろうとしていたが、足元に地震を感じた。

 山での地震は恐らく…

 「噴火の前兆、皆逃げるんだ!」

 職員の声かけに、慌てふためく住民達。

 見える範囲に職員含め全員が居ることを確認し、俺は広範囲で転移魔法を発動した。

 あっという間に、遠くに噴火している山が見える位置に移動。

 「全員居ますか?

 山の住民の方、職員の方、それぞれ確認して下さい。」

 俺は落ち着いた声で、皆を落ち着かせる様に声をかける。

 みさとは、努めて明るく住民達に声をかけて回る。

 状況を理解した職員達が、行動を始める。

 山を降りないと言っていた住民達も、自分達が元いた場所が溶岩に飲み込まれる様を見てへたり込む人も出ている。

 「これからどうしたらいいんだ…」

 泣き出す人や呆然と立ち竦む人、怒り出す人もいた。

 職員が念話で相談・確認していたようで、避難先が決まったとのこと。

 避難先までの移動も職員達で出来るそうなので、俺達も帰ることにした。


 「クレスタ、お待たせ。

 向こうは片付いたよ。」

 「お帰り、拓海さん、みさとさん。

 もう大丈夫なの?」

 戻った時のクレスタは、ブレイドと芋けんぴをお茶請けにお茶を飲んでいた。

 「また噴火したんだ。

 だけど、雨降って地固まるじゃないけど、山から移動したくない人達も移動させちゃったから、山での対応しなくて済んだ。

 その後も職員達で対応してくれてるから、俺の出る幕ではなくなったかな。」

 「そっか、お疲れ様。」

 「おにぎり喜んでもらえたよ。」

 「それは何よりだ。

 食べてもらえるのが米には一番だからな。」

 クレスタもブレイドも、ホッとした顔で迎えてくれた。

 クレスタは積荷を再度確認・みさとも新米を買えてルンルンでリュックにしまい、そろそろ帰ることになった。

 「じゃあねブレイドさん、また来ますね!」


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