お試しにも程がある 74
「お帰りなさいませ、魔王様。」
ヒミコに迎えられ、鷹揚に頷くオロチ。
「片はついた。
リューギは倒してきた。
こちらは何かあったか?」
「はい。
突然攻撃の手が止みました。
少し前からです。
睨み合っていた拠点からは、逃げ去ったと連絡が来ております。」
「成程な。
暫くは攻撃ないと思うが、警戒だけは怠らないように。」
その場をヒミコに任せて、オロチは一同を伴い別の部屋に入る。
「レジアス、そちらの者達からの連絡は何かあったか。」
「特に無いのぅ。
職員達も、調子抜けしてるかもしれんな。」
「そうか、良かった。
皆、今回は本当に助かった、礼を言う。」
「もう終わりで良いのかな?魔王様。」
「俺はそう考えている。
元の生活に戻った際に何か異変があれば、直ぐに教えて欲しい。」
「では帰るかのぅ。
オロチよ、また来るぞぃ。」
「俺達も帰るね。」
それぞれ、家路についた。
「あなた、皆様もうお帰りなの?」
「あぁ、怪我もなく帰って行ったよ。
今回はありがとうな、ヒミコ。」
「何を言っているの。
寧ろ、禍根が無くなって良かったですわね。」
「そうだな、ユーガに残さなくて済んだのは良かったと思う。
お前も無事で良かった。」
「あなたもですわよ。
それより、皆様にお礼をしないとでは?」
「そうだな。
何か考えなくてはな。」
オロチはヒミコを抱き寄せ、静寂を堪能する。
魔法庁に戻り、報告書をまとめる。
その間にも地方に飛んだ職員達と連絡を取り、明日まで様子見て、変わりなければ戻るよう指示。
現時点での被害報告もするよう通達。
色々やること満載なので、兄貴は家に置いてきて正解だった。
念の為冒険者ギルドにも似たような案件来てないか、被害が出てないかも確認。
早く終わって何よりだが、見落としがあるといかん。
暫くは、私も気を抜かず居らねば。
あぁ、早く家で美味いご飯を食べてゆっくりしたいのぅ。
コルサのお茶も恋しい…
「早く終わって良かったね。
お茶でも入れるね。」
「ありがとうみさと。
みさとも疲れたでしょ、ゆっくりしなよ。」
「一緒に居ただけで、殆ど何もしてないよ。
シビックの方が頑張ってたかもね。
たっくんは言うまでもなく大活躍だった!」
「何かさ、上の人って大変だよねって思った。
魔王様もレジアスもさ。」
「2人共、凄いよね。
責任も大変だろうね。
下につく人達も安心なんじゃないかな。」
「ちょっとでも力になれて良かった。
頻繁だと面倒くさいけど、偶になら良いよね。」




