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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 66

 「次の蛇は何処だろうね?」

 「シビック、お前わかるか?」

 「あっちの方、多分。」

 示した方向に意識を向けると、確かになにか居そう。

 歩いて向かうと、これまたうじゃうじゃ出てきた。

 「拓海、これはどの部位?」

 「尻尾の先とまた1体欲しいかな。」

 「了解。

 じゃあ、餌もらうよ!」

 サイノスの活躍で、直ぐに終わった。

 みさとは、ニコニコと俺を見る。

 「これもまた、何処かに魔法陣あるのかな?」

 「可能性あるから、蛇が来た方向に向かってみようか。」

 「えーっ、蛇は卵でしょ!

 大分大きそうだけど。」

 「じゃあサイノス、卵だったらその剣で食べられるの?」

 「どうだろうね?

 まぁ、やってみるよ。」

 蛇を倒しながら辿っていくと、卵ではなく魔法陣に行き当たった。

 サイノスはつまらなさそうに、片手間で蛇を倒していく。

 「卵じゃないのか、残念。」

 「魔法陣なら、さっきと一緒かな。

 ほいっと。」

 魔法陣を崩して、一件落着。

 「サイノスのお陰で、楽に終わったよ。

 ありがとう。」

 「いい餌回収だったよ。

 そろそろご飯にしない?

 みさとちゃんの美味しいご飯食べたいな!」

 サイノスのお気楽な言葉を聞きながら、ナビからの声かけにふと顔を上げた。

 『マスター、近くに悪意を持ってこちらを伺っている人物がおります。』

 そうなの?

 周囲に意識を向けると、フード付きのローブを纏った人影が、こちらを見ている。

 「あいつ、ずっとこっち見てたよ。」

 「シビック、気付いてたのか。」

 「段々嫌な感じが大きくなってきたから、チクチクしてただけ。」

 「捕まえるぞ。」

 「わかった。」

 

 即座にそちらを視認・気付いた相手が逃げようとするので、動くなと念じる。

 金縛りにあったように棒立ちになり、そのまま倒れた。

 俺がそいつに近づくと、みさととサイノスも付いてきた。

 「たっくんどうしたの?」

 「不審な奴居たから、捕まえてみた。」

 「何か、何処かで見覚えが…」

 顔は見えないから、服装だろうか。

 一応仰向けに転がしてみると、魔石を嵌め込んだ首飾りをしていた。

 「あ、思い出した。

 最初に君達に会う前に、キメラ倒したんだけど、その時に一緒に食べた召喚者に似てたんだ。

 そいつがこれしてた。」

 魔石が勝手に溜まるという袋から、同じ様な首飾りを取出す。

 「いつの間にか入ってたんだけどさ、後から考えたらそいつがしてたんだなって。

 因みにその時のやつは、ローブの上から見える様につけてたよ。」

 サイノスの証言に、驚いたような顔をする不審者。

 「こいつ、レジアスに渡したほうが良いかな。

 何かしらわかるかもね。」

 「うん、それがいいんじゃないかな。

 面倒事は、全てあいつにお任せだからさ。」

 「あ、あはは…」


 (レジアス、今いいかな。)

 (どうした拓海、何かあったか。)

 (うん。

 依頼で魔物討伐来てた所にサイノスと会ってさ、退治したあとに不審者捕まえたんだ。

 サイノスが、以前のキメラ召喚者と同じ様な首飾り持ってることに気付いてくれたんだけど、不審者そっちに送ってもいい?)

 (わかった、調べてみよう。

 送る、とな?)

 (そう。

 不審者だけ転送したいんだけど、今レジアスいる所に送っても大丈夫?)

 (拘束されてるんじゃろな?)

 (そう。

 暫く動けないようにしてある。)

 (因みに、何故お主は来ようとしないんじゃ?)

 (まだ同じ様な魔法陣無いか調べるつもり。)

 (成程な。

 仕方ない、送って良いぞ。)

 (ありがとう、じゃあ宜しくね。)

 念話のあと、直ぐに不審者を転送。

 みさととサイノスに、周囲に同じ様な魔法陣無いか確認しに行くことを告げる。


 ナビで地図確認、魔物が多そうなところに向かうと、魔法陣発見。

 これを設置してから、俺達の様子を見に来たらしい。

 周りに居るのは、虎柄の犀。

 「討伐対象じゃないけど、角欲しいな。」

 「わかった、角と1体だね。

 数少ないから楽ちんだ。」

 サイノスは、剣を抜くと悠々と歩いていった。


 他には特に無さそうなので、改めて広い場所でご飯にしようということになった。

 開けた場所までやって来ると、なんとなく賑やかな音が聞こえてきた。

 「あれ?近くで何かやってるのかな?」

 『隣街のグロリアで、イベント開催されていると思われます。』

 町おこしか!

 「みさと、グロリアだ。

 町おこしやってるみたいだよ。」

 「そーなの?早いねぇ。

 サイノスさん、ご飯食べに行きましょうよ!」


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