お試しにも程がある 59
「鰹節の件で相談て、どうしたの?」
クレスタから相談したいことがあると連絡を受け、訪問している。
「実は、私の友人の商人も扱いたいそうなんです。
出汁も一夜干しも美味しかったので、仕入れたいと言われました。
ボンゴさんとのやり取りを、全て僕を通すと僕が忙しくて。
彼も直接仕入れ希望してますが、どうでしょうか?」
「どうも何も、ボンゴと決めてくれよ。
そうか、言葉わかるの?」
「それは勉強してもらいますよ。
僕だってできるようになったし。
なんとかなるでしょ。」
まぁ、補助はしたけど、下地はあったもんな。
「じゃあ、まずはボンゴに確認だな。
今から行く?」
「行きましょう!」
その前に、ボンゴに行ってもいいかの確認だな。
(ボンゴ、いる?拓海だけど。)
(おぅ拓海、どうした?)
(あのね、取引したい人が増えたんだけど、直接声かけて良いのかクレスタ通した方が良いか聞かれてるから、今から相談に行きたい。
どうかな?)
(おぅ、待ってるぞ。
今日は家にこのまま居るぞ。)
(じゃあ向かうね。)
「許可もらったから、行こうか。」
クレスタ連れて、ボンゴのところまで転移。
「こんにちはボンゴ、お邪魔します。」
「よく来たな、拓海。
クレスタもみさとも、こっち座れ。」
「お、お邪魔します。」
「ボンゴさん、お魚美味しかったよ!
やっぱ仕込むの上手だね。」
「おぅ、みさとが教えてくれたからな。
実はさ、こっちでも売れだしてるんだ。」
「流石ボンゴ、美味しいものは直ぐ売れるね。」
干物が順調なようで良かった。
売れると作りがいあるしな。
「ボンゴさん、私の方でも売れ行き良いですよ。
干物もそうですが、鰹節も含めて取引したいと他の商人から申出ありました。」
「おぅ、売れるのは良いこった。
何を心配してるんだい?」
「人気出すぎて、私の販売したい分がなくならないかも心配ですが、ボンゴさんの所に色んな人来て迷惑にならないかが心配です。」
「そうか、成程な。
見かけないやつ来たら、直ぐ分かるしな。
クレスタみたいに、ちょいちょい来るのかい?」
「転移装置利用すれば、1番近いミストラルまで直ぐ来られるんですよ。
後は、ここまで来るだけです。」
「俺は構わねぇよ。
若しくは、変な奴来ても相手しないように、クレスタか拓海の知り合いだけにするか?
その方が楽っちゃ楽だな。」
「顔合わせは立ち会っても良いけど、毎回の商売には俺は来ないよ。」
「私も、聞かれたらボンゴさんに相談してから連れてきますよ。
後はそいつ次第ですかね。」
「じゃあそうするか。
大事な商品だ、変な奴らには売りたくねぇからよ。」
「では、希望のある商人とこちらに来る日程を相談しますね。」
クレスタは少し考え込んでから、ボンゴに声をかける。
「ボンゴさんの都合に合わせて来させようかと思いますが、宜しければ明日とか如何ですか?
今日は流石に難しいかと思いますが。
早く商売したいとやる気は見せてましたよ。」
「おぅ、良いぞ。
今日くらいの時間で来るか?」
「はい、そうさせて頂きますね。」
「なぁ拓海、クレスタはいつも次の約束してくれるんだよ。
だが、今回みたいに人の紹介だったり、こっちの都合で日を変えてもらいたい時に、拓海みたいに連絡取れれば楽だと思うんだよ。
どうだい?」
「そうか、水晶同士で通話出来ればいいなってことだね。
良いよ、クレスタにも渡そうか。」
首を傾げるクレスタ。
俺はウエストポーチから、水晶マイクをいくつか出す。
選んだのは、襟元に挟めるようにネクタイピンのような形のもの。
使い方を教え、ボンゴと会話できるかも試してもらう。
「大丈夫そうだね。
何かあったら俺にも連絡できるから、宜しくね。」




