お試しにも程がある 47
「何も出ないわねぇ。
そういうダンジョンなんじゃないの?」
「初めて入る所なら、先生も強い魔物が出るところは選ばないよ。」
「あ、スライム出てきた!
セリカちゃん倒す?
危なければ私倒すよ。」
「みさとさん、お願いします。」
折角でてきたのに、要らないんだ。
「じゃあ遠慮なく。」
みさとは剣をサクッと突き刺し、あっという間に終了。
何処が危ないんだ?
小さいけど一応魔石出た。
「これ、持って帰る?
倒した実績になるかな。」
「みさとさん、ありがとう。
持って帰ってみるわ。」
いつの間にやら、みさととセリカは仲良しさん。
シビックは俺の肩の上に来ている。
「拓海、僕やることある?」
「そうだな、索敵くらいかな。
俺もやってるけど、大したの居ないんだよね。
もしかしてお前、威圧してる?」
「してないよ、こんなところ。
みさとの練習にもならない奴しか居ないし。」
「やっぱり初心者ダンジョンか。
先生も安心して宿題出せるくらいの。」
「拓海、右前にトラップあるよ。」
「何!?
2人共ストップ!
トラップあるみたいだよ。」
「私の出番ですね!
何処かなー。」
普通に歩いていくセリカ。
良いのか、その足取りで。
…あーあ、踏んじゃった。
養成所って、技術面はまだ教えてないのかな?
石が落ちてきたところを、みさとが助ける。
「大丈夫?怪我してない?」
「みさとさん、ありがとう!
良いなぁ、こんな彼氏欲しいなぁ。」
セリカがみさとにすり寄る。
「おいおい、うちの奥さん誘惑しないで。」
「拓海さんのケチ。
だからみさとさんがこんなにカッコいいのね!」
「あはは…」
みさとは苦笑い。
俺とシビックは顔を見合わせる。
どうしてくれよう、コイツ。
いやいかんいかん、依頼主のお嬢様だった。
「そろそろ位置的に半分位来たところだよ。
お、次はスライム2匹。」
「みさとさん、今度は私が片方倒しても良いですか?」
「良いよ、1匹はこっちに引きつけとくね。」
「行きますよー、えぃ!
あ、外しちゃった。
このこのっ。」
投げた短剣が外れ、掴み直しザクザク刺してやっと倒した。
「お、頑張ったね。
もう1匹やる?」
「やるやる!
スライム面白ーい!」




