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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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43/335

お試しにも程がある 43

 「何だい、拓海?」

 「もう1つ流通に適した商品作ってみない?」

 「おぅ、売れる物なら試すぞ。

 どんなものだ?」

 「ボンゴ達には小さい魚だと思うけど、鯖とか鯵とかホッケとか烏賊とかで、開いて干すことで美味しくなる物だよ。」

 「干すと美味くなるのか。」

 「そうらしい。

 みさと先生、お手本お願いできる?」

 「はーい!

 私も先生に聞いたからやってみるね。」

 「「先生?」」

 「あはは、お気になさらず。

 先ずは…」

 塩水用意して、魚を捌いて、中を綺麗にして塩水に漬ける。

 引き上げた魚の水気を取り、干す。

 「天日干しとか一夜干しとかあるけど、あまり干し過ぎると固くなるので注意。

 塩分濃度濃いめ・干す時間長めにすると、常温でも日持ちするけどほんとに固いの。」

 「ふむふむ。」

 「半日から1日位で干すと、焼いて食べる時も柔らかめ。

 ただ、冷蔵庫に入れないと持たなくなるので、作る側・買う側で用意が必要かな。

 私はこっちが好きだけど。」

 「何だその冷蔵庫って。」

 ボンゴが当然の疑問を口にする。

 「箱とか部屋の中を低温にして、保存できるようにするものさ。

 良かったらボンゴにも作るよ。

 お試しに1部屋でどうかな?

 その中に棚を置いて、作ったものを魚毎・作成日毎に分けるとかも出来るんじゃないかな。」

 「便利そうだな。

 先ずは、食べてから考えさせてくれよ。」

 「そうだった、ごめんごめん。

 ちょっと待ってて。」

 試作品を塩水に漬けて水分取るところまで進めたみさとの試作品に、時間経過の魔法をかける。

 「今回は直ぐに食べられるように魔法使ったけど、時間を置けば同じ様にできる筈。」

 「焼いてみるね!

 待っててね。」

 みさとはウキウキした様子で、小屋の外にバーベキュー用コンロみたいな大きさのものを出した。

 使う前提でしまってあったらしく、燃料用の木もセットされている。

 みさとはニンマリ俺の方を向くので、俺は魔法で着火。

 全体的に火が回ってきたとこで、作ったばかりの干物を載せる。

 干物と生の物をそれぞれ載せ、食べ比べ出来るようにしてある。

 …食べたかっただけかな?用意が良いな。

 「たっくん、焼くの宜しくね。」

 トングを渡され、みさとはさっさと次の準備。

 テーブル・取皿・箸・フォーク・醤油。

 金属の板を出したかと思いきや、おろし金になっていた。

 「みさと、いつの間に作ったの?」

 「山葵買って帰った時にさ、山葵用のおろし器は一緒に買ったけど、そういえば普通の無いよねって思って作ってみた。

 大根大根…あった!」

 みさとは喜々として丸ごと1本の大根を出し、ボウルも出して皮を剥いていく。

 おろし金で大根おろしを作っていく。

 「みさとさん、それは何ですか?」

 まじまじ見ていたクレスタが声をかける。

 「大根おろしと言ってね、お醤油かけて焼き魚と一緒に食べるの。

 美味しいよ!」

 「野菜と魚ですか、面白い組み合わせだな。

 是非試さねば。」

 「嬢ちゃん、相変わらず面白いな。

 料理上手いし、楽しみだ。」

 焼いてる俺には、誰も近寄らない。

 煙が目に染みる…

 「そろそろ良いんじゃないかな。

 みさと、見てもらえる?」

 「はーい!

 流石たっくん、良い感じ。

 生の方はもう少し置くので、干物から試しましょうか。」

 トング2つで上手く1人分ずつ取り分け、皿に盛る。

 魚の種類がわかるように、同じように盛り付け。

 烏賊は、割いて食べやすくしている。

 「まずはそのまま食べてみて、良かったら醤油・大根おろしもお試しくださいね。」

 ボンゴは箸で、クレスタはフォークで食べる。

 程よい塩味と魚の旨味が合わさって、ご飯が欲しくなる。

 タイミングを見計らったように、白米を出すみさと。

 「どうかな、ご飯と合うと思うよ?」

 2人は茶碗を受け取り、パクパク食べ進める。

 「味見じゃなくなった感じだな。」

 「たっくんもご飯いる?」

 「勿論、頂きます。」

 

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