お試しにも程がある 38
「やぁやぁみさとさん、拓海さん。
お待ちしてましたよ。
今日は両方の店の担当者呼んだので、作り方御教授よろしくお願いしますね!」
出迎えてくれたクレスタは、みさとに椅子を勧める。
その隣に、俺は勝手に座る。
事前に話してくれた内容としては、回鍋肉・青椒肉絲・塩胡椒付きの唐揚げを今までの店で出し、それら含めラーメン・餃子・春巻き等を中華の店で出すそう。
中華の店では、白米も炒飯も出すとのこと。
お客さんがそれぞれに入ってくれれば、行列も少なくなるし売上も上がるとか。
この後甘い物系のお店も出す予定らしいから、大変なんだろうな。
というか、メニューはみさと頼りだしな。
扱いに差が出るのは仕方ない。
みさとはいつも通り用意していたレシピをクレスタに渡す。
クレスタは材料・工程・出し方も確認。
店の担当者達の紹介してから、実際に作って見せてもらう流れ。
3人をキッチンに送り出した後、クレスタはもう別の話に入った。
「拓海さん。
色々買付に地方に行きたいんですよ。
直接依頼して大丈夫?」
「良いけど、長くなるの?」
「いやいや、転移装置で移動できれば、早く済みますよ、きっと。
先方とは上手く話しつけるから。」
「そういえば、他の魔道士に転移装置試してもらったの?」
「そうしたいのは山々ですが、中々引受けてもらえなくて。
危ないの?あれ。」
「そんなことないよ。
昨日もそれ使って依頼こなしたし。」
「拓海さんは大丈夫でしょうよ。
寧ろ、他の人に試してもらったの?」
「いや、レジアスと回った後はやってない。」
「ほらね、実際やらせてみないと、怖いんだよきっと。
見せてもらうの大事でしょ、今のみさとさんみたいに。」
「それは俺の仕事じゃない。
この間は人集りある中で転移装置使ったよ。
見世物じゃないけど、見られてた感じはある。」
「それ、みさとさんと2人でしょ?
うちみたいに一緒に馬車も転移出来るってわかったら、使う人増えるかもよ?」
「なんかいいように使われてる感じするけど、依頼として受けるよ。
何箇所くらい回るの?」
「出来れば4箇所。
いつもは2箇所ハシゴするだけで30日はかかるんだ。
1日でできたら、効率いいよね!」
目がキラキラしてる。
今まで苦労してたんだな。
「そうと決まれば明日にでもお願いします。
今日は店の方やらないとだし。
あ、余裕あったら次に行くところも選んでおくね。」
「色んなとこ行くんだな。
行ったことない地方無いんじゃないの?」
「地図で見る限り、一通り行商してるね。
どこにどんな物あるか知りたいから。」
「さすが商人、伊達じゃないね。」
「これまで苦労してきたんですよ。
やっと首都まで辿り着いて、仕事も安定して、ちょっとずつ成長して。
長かったなぁ…ま、まだまだこれからも頑張るけどね!」




