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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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36/335

お試しにも程がある 36

 「えっ!もう終わったんですか!?」

 冒険者ギルドに戻り赤い実を提出しようとしたのに、そんな対応だった。

 「今日受領しましたよね?

 転移装置あるからって、ルキノですよ?

 早すぎませんか?

 まるで魔法…」

 「まぁ使いましたけどね、魔法。」

 「いやそうじゃなくて!

 …もういいや。いえいえ、お帰りなさい、お疲れ様でした~!」

 「明日来ましょうか?」

 「いいえ、今日終わらせましょう!

 ありがとうございました。

 それで、いくつくらい採れました?」

 「取り敢えず手当たり次第採ってきました。

 どれくらいの傷み具合でも使えるかわからないから、判別して欲しいんですが。」

 「わかりました、拝見します。」

 実を載せるためのトレーを用意してくれたので、リュックから出して載せる。

 「綺麗な状態ですね。

 これなら大丈夫じゃないでしょうか。」

 「あの、まだあるんですが、トレーまだありますが?

 重ねるの良くないでしょう。」 

 「失礼しました。

 もう1枚持ってきますね。」

 「後10枚くらい欲しいです。」

 「そんなに?

 わ、わかりました。

 直ぐ用意しますのでお待ち下さい。」

  受付の人は裏に行き、トレーを持ってくる。

 どんどん載せているうちに、鮮やかな赤だけでなく真紅の実も出てきたので、受付の人が驚いている。

 「すみません、この色見たことないので、使えるか含めて担当者呼んできてもいいですか?」

 「はい、お願いします。」

 また裏に消える受付の人。

 その間に用意してもらったトレー全てに、実を載せていく。

 戻ってきた受付の人は、もうひとり連れてきた。

 「素材担当の者です。

 拝見させて頂きますね。」

 来るなり挨拶もそこそこに、トレーに載せた赤い実を確認する。

 「これはこれは!

 熟して色が変わるなんて、珍しい。

 本物を見られるとは。

 全て頂けるのですか?」

 「勿論です。

 いくつ必要かも傷み具合で回収対象になるかもわからなかったから、多めに採ってきたつもりですが…如何ですかね。」

 「全て回収対象です。

 それに、この色の濃いものは追加報酬出す対象になってます。

 書物でしか知らない色ですよ。

 私も初めてみました。

 しかも、こんなに数があるなんて!」

 まだありますよって言っていい流れかな。

 「これで足りますか?」

 「充分です、依頼完了です。

 また是非お願いしたいくらいです。」

 「因みに、これでどれくらい薬作れるんですか?

 また採りに行くなら、どれくらいで依頼来るか何となくでも知っておきたくて。」

 「そうですね、この量だと100位は作れます。

 使うタイミングにもよるので何とも言えませんが、暫くは大丈夫でしょう。」

 「良かったら、失敗しても大丈夫なように、もう少し採れてる分も出しましょうか?」

 「え、まだあるんですか?

 採るの大変なはずなんですけど。」

 「そうですね。

 誰も採ってないようで、沢山あったんですよ。

 急いで必要と聞いてましたので、採れる範囲で頑張ってきました。」

 「ありがとうございます!

 あるだけ頂けますか?

 勿論依頼分と同じ金額でお支払します。」

 「では、トレーを同じ位持ってきて貰えます?」

 受付の人と素材担当は顔を見合わせ、素材担当が直ぐ裏に走る。

 「す、少しお待ち下さいねぇ。」

 


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