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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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314/332

お試しにも程がある 313

 「カムリさんとこも広いけど、こっちも広いね、プログレ。」

 案内された施設内を歩いていて、牛の多さ・施設の広さに驚く俺。

 「そうなんだ、拓海。

 姉ちゃんとこからの仕事が増えてさ、大きくしたって理由。

 ちゃんと、食肉として育ててるやつと解体待ちとで分けてるしな。

 職員も増やして、上手くやってるよ。」

 歩きながらも、説明してくれるプログレ。

 しっかり経営者していると思いきや。

 「まぁ、建物は姉ちゃんが新しくしてくれたんだけどな。」

 おいおい、ぶっちゃけ過ぎではなかろうか。

 「こっちはこっちでやること多いからね。

 分業できる分は、任せるよ。

 仕事増えたのは、拓海のおかげさ。」

 成程、巻き込まれ系か。

 流石カムリ、使えるものは弟でも使うんだ。

 「へぇ、すげぇな拓海、姉ちゃんが褒めるなんて。」

 珍しいものを見るような目で、プログレが俺を見る。

 「多分俺よりみさとの方でしょう、カムリさん。」

 「みさとにも沢山世話になってるけど、施設とか効率の面では拓海じゃないか。

 ターセルもラッシュも喜んでたし。

 今後もっと暖かくなるようなら、ここにも冷蔵設備つける予定だよ。

 その時は頼むね、拓海。」

 あっはっはと軽い調子で、カムリは告げてくる。

 プログレから、今度は疑念の目を向けられる。

 「拓海は何屋なんだ?」

 「ただの冒険者だよ。

 ちゃんと依頼も熟してるしね。」

 「冒険者が冷蔵設備頼まれるとか聞いたことないんだけど。

 クレスタ商会なら本当に何でも屋だけどな。」

 「クレスタとも知り合いだよ。」

 「冒険者って、顔広いんだな。」

 感心したようなプログレ。

 彼の百面相は面白い。

 「プログレ、解体用の大きい包丁あるだろ?

 あれもクレスタ商会だけど、拓海が絡んでるんだよ。」

 「は?ドワーフ印のあの包丁?

 あのおかげで効率上がったから重宝してるけど、それにも絡んでんの?

 何者なんだ、拓海は。」

 「だから、冒険者だってば。」

 信用してもらえてなさそうだ。

 「そんなことより、皮はまだかい?

 大分歩いたと思うんだが。」

 ナディアは、そろそろ飽きたようだ。

 「突き当りに見える扉の先だよ。

 あそこが解体場で、皮もあそこにある。」


 扉を開けて中に入ると、吊るした状態から解体している職員が何人かいた。

 腹から内臓を取り出し、半分に切ったものを、一人ひとつずつ皮を丁寧に剥いでいる。

 「皮を剥いで食肉になるんだな。」

 「あぁ。

 以前は少しずつ切るしかなかったが、最近は包丁が切れるおかげで、皮も纏めて剥いでいるよ。

 あの大きさが、ひとりで作業しやすいんだ。」

 「成程、この大きさか。

 因みに、注文したら、背中切らずに1頭分丸々大きな皮で取ってもらえるかい?」

 「依頼があれば、やってみるさ。

 手間がかかるだろうから、前もって注文してほしいがな。」

 「わかった、必要があれば、是非頼むとしよう。」

 ナディアは、服にするのに必要な布面積を考えているようだ。

 「そう言えば、オスメスで皮の肌理の細かさが違うって聞いたことあるけど、どうなの?」

 俺は、PCで検索した内容を思い出し、聞いてみた。

 「うーん、俺にはわかんねぇかも。

 それぞれ持っていって、試してみればいいんじゃねぇか?」

 本当に素直なプログレ。

 表裏なさ過ぎて、心配になるレベル。

 「それは面白い!

 良いことを聞いた。

 では、オスメスわかるように貰っていこう。

 皮の大きさもそれなりにあるから、試しであればこれで充分だ。

 これ1枚につき銀貨2〜3枚で良いのかな?」

 「いつも捨ててたんだ。

 売れるなら助かるよ。

 俺としては、銀貨2枚で充分だ。

 大きなもの必要なら、倍と手間賃追加で頼む。」

 ナディアの質問に、即決するプログレ。

 「よし、交渉成立だ。

 宜しく頼む。」


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