お試しにも程がある 311
「ナディア?どうしたんだい。
何をそんなに慌ててるのさ。」
カムリは、入ってきたナディアに声をかける。
俺との話の途中でいきなり走り出したナディアを追いかけると、キッチンで驚いた顔のカムリとみさとがいた。
まぁ、そうなるよね。
「カムリ、新しい素材だよ。
是非使わせてくれ。
まだ試すところからになるが、成功した暁には仕入れ先としても頼むよ。」
凄い勢いのナディアに、呆れるカムリ。
「話がさっぱり見えないよ、ナディア。
もしかして、服とか靴とかに使いたいってことかい?」
「そう、それ!
流石カムリだ、良く知ってる。
何処にあるんだい?」
更に勢いづくナディアは、グイグイ来る。
「やれやれ。
落ち着いとくれよ。
さっきみさととも話してたけど、解体・食肉加工は隣の弟の方なんだよ。」
ここにはないとわかって落ち着くかと思いきや、ナディアはアクティブだった。
「成程、じゃあそちらに向かおうではないか。」
「今からかい?」
「そうさ、止まってなんかいられない。
今直ぐ行こう!」
「直ぐって言ってもねぇ。
プリンを入れたばかりだから、終わるまで待って欲しいんだけど。」
オーブンに入れたばかりのプリンに目を遣るカムリ。
「それは後回しにはできないのかい?」
「無茶言うねぇ、ほんとに。」
見かねたみさとが、カムリに声をかける。
「カムリさん、私プリン見てましょうか。
たっくんも同じことナディアさんに伝えてるみたいだし、大丈夫でしょ。
どうかな、たっくん。」
うん、まぁ、そうなるよね。
「わかった、そうしようか。
カムリさん、ナディアさんも、それでいい?」
「よし、直ぐ行こう!」
ナディアは直ぐ様キッチンを出ていく。
「みさと、悪いねぇ。
後で弟も紹介するから、プリン頼んだよ。」
「お任せあれ。
いってらっしゃい!」
部屋から見送ろうとするみさと。
先に行ったはずのナディアから、大きな声だけが届いた。
「カムリー、弟さんの所にはどう行けばいいんだーい?」
わかってたんじゃないんだ、あの人。
「ほんとに世話が焼けるね、ナディアは。
はいはーい、今行くよー。」
カムリも負けずに、大きな声で返事をする。
それと同時にキッチンを出ていく。
俺は、肩に乗っていたシビックに任務を課す。
「シビック、みさとを宜しくな。」
「そうだね、その方がいいかもね。
僕もプリンの様子見とくよ。」




