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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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310/332

お試しにも程がある 309

 「ナディア、お客さん連れてきたよ。」

 「ねぇカムリ、私もお客さんじゃないの?」

 「それはそうなんだけどさ、さっき言ってた服の相談できるかもよ。」

 「それはぜひお願いしたい!」

 勝手に、カムリとナディアで話が進んでいる。俺とみさとは、苦笑い。

 「こちら、拓海とみさと。

 私も良く世話になってるんだ。

 拓海は器用だし、みさとは料理上手だよ。」

 凄くざっくりな紹介で、ナディアと引き合わせるカムリ。

 「初めまして、ナディアだ。

 君達がよく話に出てくる拓海とみさとか。

 噂は予予聞いてるよ。」

 「初めまして、拓海です。

 どんな噂か怖いですね。」

 「みさとです。

 宜しくお願いします。」

 ナディアは、カムリより若めに見える女性。

 ショートカットで身長もそこそこあるので、男性に見られるかも。

 なんというか、某歌劇団にいそうな感じだ。

 「ナディアさんは服屋と聞きましたが、種類増やすように言われたとか。」

 俺の質問に、ナディアは肩をすくめ応える。

 「そうなんだ。

 暑い寒いを凌げるようにって、温度が変わるらしい。

 どれくらいの変化かは分からないそうだ。

 どうしたものやら。」

 「今は薄い生地で長袖で充分ですもんね。

 半袖を作ったり、上に着られるような薄いもの、もっと厚い生地の服作るのもありですよね。」

 俺の回答に、目を丸くするナディア。

 「半袖?なんだいそれ。

 更に上に羽織るもの。

 少し大きめに作ればいいってことかな。」

 「半袖は、袖を短くするんですよ。

 肘より上か下かみたいな。

 濡れないようにとか汚さないようにとかで、袖捲りしませんか?

 しなくてもいい長さの袖で、作った服ですよ。」

 「そんな服見たことないよ。

 それを作れってこと?

 とんでもないね、君は。」

 見たことないもの作るのは、大変だよね。

 その気持はわかるよ、うん。

 「まぁまぁ、騙されたと思って作ってご覧よ、ナディア。

 拓海の考えはほんとに当たるからさ。」

 カムリのフォローはやはりざっくりだが、信頼してくれてる証拠かも。

 有難いね。

 折角なので、俺は話を続ける。

 「動物の毛を使った、暖かい服もありですね。」

 「動物の毛?

 服と言えば、綿や麻だろう。

 動物なんて使ったら、臭くなりそうじゃないか?」

 「おや、蚕の糸を使った絹はないんですか?

 動物と言っても、ふわふわの毛の部分を使うんですよ。

 慣れてきたら、革もありかな。」

 「成程、素材が増えるのは面白い。

 その話、じっくり聞かせてもらおう。」

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