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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫
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お試しにも程がある3

「このお肉美味しいよ!何のお肉かは解らないけど。」

「こっちもそんな感じ。牛ではないな。」

「いいんじゃない?美味しいし。味付けはスパイシーで私好み。パンじゃなくてお米欲しい!」

「米かぁ。次はいつ食べられるかな。」

「次はお米あるとこ行こう!」

「そんなのわかんないよ。行ってあったらラッキーでいいんじゃない?」

「むむむ。すぐ見つかりますように!」

「帰れれば早いけどね。

あいつ焦ってたっぽいから、ゆっくりすることになりそうだな。」

「ベゼル君だっけ?どうやって連絡来るか聞かなかったね。」

「またひょっこり現れるんじゃないの?暇つぶしだろうし。」

「あはは。向こうの世界に影響無ければ、ゆっくりもいいかもね。失踪扱いで聡ちゃん慌ててないといいけど。」

「聡太なら大丈夫だろ。多分?」

「だといいけどね。」


そうこうしている内に、お釣りを届けに先程の店員がやってきた。どうやらこの店の亭主だったらしい。

「お客様、本日はお立寄り頂き有難うございます。私共もお相伴に預かりました。お釣りですが、60銀貨になります。」

「ホントに庶民価格だな。いい店だね。」

「ご飯美味しかったです!ごちそうさまでした。」

「喜んで頂けて何よりです。お泊り頂くのにお名前を伺ってなかったので、お聞かせ願えますか。」

「帳簿に書けばいいのかな?貸して。」

「ありがとうございます。

星野拓海様とみさと様で宜しいですか?珍しいお名前ですね。この辺は初めてとの事でしたが、別の国の方でしたか。」

「そうなんだ。もう少しこの辺の事聞かせて欲しいんだが、これでどうかな?」

「情報料に50銀貨とは!多すぎではないですか?…では、有難く頂戴します。何でもお聞きください。」

「まず、魔道具とか魔法について色々教えてくれるところないかな?自分がどれ位使えるかも試したい。」

「剣も試したいよ!」

「後はこの世界の地図あったらみたいな。それに種族・世界情勢・国を越える際にパスポート…じゃなかった、通行証みたいのあるかとか。時間の考え方も確認したいな。」

「私、美味しいご飯屋さんとかお菓子屋さんも知りたい!」

「成程。長くなりそうなので、新しい飲み物持ってきますね。お代は頂いてますのでお気になさらず。」

そう言ってカウンター内に消えていき、戻って来たときには飲み物を3つとお代わり用のポットをトレーに乗せて来た。脇には紙の筒を挟んで、器用なものだ。


語ってくれた内容はこうだ。


この国には、魔法協会がある。首都に本部、他の街には支部がある。魔道具・薬等もおいてある。本部の人程ではないが、支部の人でもそこそこの知識はあるそう。簡易的な測定はできると思うが、正確な情報は本部が間違いないとのこと。剣については、ギルドがあるのでそこでできる。

地図も見せてもらいながら、この国以外にも巨人・ドワーフ・エルフ・魔族の国があること、配置で言うと他国から囲まれている事で牽制し合っているのか攻撃はされないので比較的平和であることも確認できた。隣に魔族が住んでいる利点とか。隣と言っても、国同士かなり距離は開いている。馬車で1〜2ヶ月はかかるそう。

なかなか国家間の移動をする人は、仕事でもなければいないそう。この国の中での移動は、通行証があり、冒険者ギルド・商業ギルド等で発行可能。この街はあまり厳しく取締りする方ではないので、入りやすいとのこと。なんの為の通行証かと苦笑いしていた。

時間は24時間制・街の中心に大きな時計台があり、朝昼晩と3回なるそう。時計はドワーフの国で作られ、持っていない家もあるとか。後でスマホの時計確認してみよう。

そんなこともあり、店の営業時間はざっくりしているそう。露天は明るい内しか開いていないとか、雨で客足が鈍い時は閉めてしまうとかよくあるとの事だが、店舗を構えている場合は比較的決まった時間営業時間しているらしい。


「当宿は食事を付けていないので、朝昼は露店巡りしてみては如何ですか?安くて美味しい物売ってる店が多いですよ。甘い物もありますしね。ただ、銅貨数枚で買える店ばかりなので、また金貨を出されると困ってしまうかもしれません。魔道具はかなり高価なので、両替代わりに覗いてみてもいいのではないですか。夕食はまた家でどうぞ。お待ちしてますよ!」

「成程ね、流石ご主人。聞いてよかったよ、ありがとう。じゃあそろそろ休んで、明日は街歩きしてみるか。部屋はどこだい?」

「一番上の3階を用意してます。鍵はこちらです。」

「ありがとう。みさと、行くよ?」

「はーい!この飲物持ってっていいかなぁ?ペットボトルとか何も用意してないし。」

「ペットボトル?はて、何の事でしょう。水差しはどうぞお部屋までお持ちください。」

「あ、ありがとう。コップも2つ借りてくね。荷物持った?行くよ。」

「子供じゃないんだから!もう。私コップ持つ!」


賑やかに上に部屋に上がっていく二人、それを見守る三人の男。

「やっと行きやがったぜ。女の方、全然眠そうにしてなかったな。」

「部屋に入る頃には効いてるんじゃないか?もう少し時間おいてから行こうぜ。」

「男だけなら、俺の変身でイチコロだぜ。金持ってそうだしな。」


「今日は疲れたね。夜から昼になってまた夜になって。時差ボケ?はないけど、ご飯何回か食べそこねた気がする。」

「まぁまぁ。美味しい夕食にありつけたからいいじゃん。明日は屋台巡りもいいけど、魔法協会やギルドにも行ってみないとな。他の店も回って物価の確認もしたいし。10銀貨はできたけど、今後のために少し両替も必要かな。ん?」

金貨の入った袋を逆さにして中身を出した拓海は、首を傾げた。金貨9枚と銀貨10枚のはずが、また金貨10枚になっている。

数え間違いかと思い再度数えるが、やはり変わらない。何気なく袋を振ると、何故か重さがある。もしかして…

袋を逆さにしてみると、また金貨10枚出てきた。時間をおいて繰り返すと、また10枚転がり落ちた。

「金貨10枚だけ入ってる袋じゃなくて、10枚になる袋なんだ!あいつ頭おかしいだろ?こんな物ポンとくれるなんて。」

「お金には困らないからいいんじゃない?ありがたく貰っとこう!」

「それはいいけど、別の袋も用意しないとな。折角両替しても、また金貨に戻るから。」

「喜んで良いやら悪いやら。」

「明日は両替からか。魔法協会で何か買うものあるかな?ポーションとかエリクサーとかかな。」

「面白そうな魔道具あるといいね。ところでさぁ、この増えた金貨は別の袋に入れないと戻っちゃうんだよね?どーする?」

「みさとの鞄に、適当な袋ない?」

「エコバッグ、ポーチ、書類入れとかかな。このポーチなら巾着だからいいかもよ。」

「使わせていただきます。この際だから、入るだけ出して入れとくか。」

「両替したら入らなくなるよ!」

「その時は別の袋買えばいいさ。どんどん出すから入れてって。」

「お、おぅ。…重くなってきたよ?」

「口が閉まる程度にね。そろそろかな。

みさとのリュックさ、入れておいたら次の日には倍に増えてるようにしとけば、ウハウハじゃない?」

「魔法ってそんなのもできるの?」

「やってみりゃいいさ。出来てたら儲けもん!」

「おやつも入れとこ。」

「腐ったりカビたりしないようにしとくね。」

「流石たっくん!わかってる♪明日持帰り出来そうなものはリュックに入れとくね。ドリンクも持ち歩きできるものあるといいな。」


コンコン。

ノックと共に男性が飲物持って入ってきた。

「今日はご馳走様でした。お近付きの記念に、一杯如何ですかぁ?

あれ、まだ寝てないのか。」

「どちら様ですか?鍵かけてありましたよね。何の御用ですかね。そろそろ休みたいんですけど。」

「そんな冷たい事言わないで、私と飲みましょうよ。」

「私よりお化粧は上手いかも。似合っているとは言い難いけど⁉」

「何言ってるのこの女。私ほどの美人に嫉妬したのかしら?」

「いや、みさとの言うとおりかと思うぞ。」

「え?

おい、俺変身できてるよな?」

「バッチリ美人だぜ!」

「成程変身してるのか。わからなかったよ。で、何しに来たの?」

「ヤダわぁ、一緒に飲みたいだけよぉ。」

「その割には外に人居るみたいだけど?」

「バレたんじゃしょうがねぇ、余っている金を貰いに来たぜ。さっさと出しやがれ!」

「おいおい、正体バラすの早くないか?まぁいいけど。渡す気はないから出てってくれ。」

「力尽くでも奪ってやる!痛い目見ないうちに出した方がいいんじゃねぇか?」

「雑魚感満載だな。動くな。」

「う、動けない⁉何故だ?」

「外のお前も仲間だな。動くなよ。みさと、ご主人呼んできて。」

「はーい!」

動けない二人の横を通り、下に降りるみさと。2階の階段の踊り場でそれを見た男は、一目散に逃げて行った。気にする事もなく、みさとは宿の亭主を呼びに行く。

飛んできた亭主は、動かない二人を不思議に見ながらも、拓海の元にやってきた。

「何事でしょうか?」

「この二人はこの部屋に強盗に来たらしいよ。対処できる?」

「何と!すぐに警備隊呼びますね。こいつ等は動かないんですか?縄とか入ります?」

「いや、魔法で動けないから呼んでくれた人来るまでじっとさせとくよ。ご主人宜しくね。」

「は、はぁ。では早速呼んでまいります。」

間もなく警備隊はやってきて、抵抗もできず連行されて行った。

「部屋にまで来るとは、見張りが行き足らず申し訳ございませんでした。部屋の前に一人立たせますね。」

「いや大丈夫だよ。鍵もかけるし、人が外にいるとゆっくりできないからね。心配しないで。」

「そうですか。下では不審なものが入ってこないようにもう鍵も閉めますので、安心してお休みください。」

「ありがとう、宜しくね。」

亭主が出て行ってから、鍵をかけ魔法でも開かないようにして、やっと一息つけた。

「びっくりしたねぇ。お金持ってるとこうなるんだ。気をつけないとね。」

「そうだな。大っぴらにはしない方が良さそうだ。車バッグに入れて正解だったな。」

「ほんとだね。ところでさぁ、さっきの人達、私の方見て寝てないって言ってたけど。何かされたかな?」

「魔法・薬辺りかな?食事に仕込まれるはないと思うけど。」

「あ、飲物貰った!飲んだ時ピコーンて何かなった気がする。」

「なんちゃってでかけた耐性が効いたかな?」

「何に反応したかわからないと困るね。私にもナビ欲しい!」

「ナビねぇ。じゃあ何か効果発揮したときは、お知らせしてくれるようにするか。」

「試しに毒でも飲んで見る?」

「飲まなくていいから!」

「レベル上がりましたとか言われるかな?ちょっと楽しみ。」

「レベルってゲームか!

確かに変身してたのもわからなかったな。俺にも付けとこう。何があるかわからないしな。」

「そろそろ本格的に寝たいんだけど。起きる時間とかある?スマホでタイマーする?」

「適当でいいんじゃない?急ぐわけでもないし。先に起きたら起こしてやるよ。」

「宜しく!お休み。」

「よく寝られるなぁ。俺も寝るか。」


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