お試しにも程がある 297
「行こう行こう!
みさと、僕大きくなったんだよ!」
大きくなったことが余程嬉しいのか、みさとに催促するシビック。
「レジアスも見たいでしょう?
みさと、家に戻ろうか。
みさとも見てあげてよ。」
「そうだね、シビックの成長は喜ぶべきものだもんね。
確認しに行こうか。」
ふぅ、みさとのご不満顔は消え去った。
善は急げ、早速家に転移。
リビングに到着、そこからシビックの部屋に入る。
俺が扉を開けて、シビック・みさと・レジアス・俺の順で入る。
「じゃーん!」
部屋の主のシビックは、ご満悦の様子。
今までの寝床は少し大きくして、そのまま設置。
かなり大きいクッションになり、鎮座している。
少し離れた所に泉を作り、周囲にはそれなりに多めの木を植えてある。
別の所には砂地も用意し、シビックの要望に応えた。
岩山必要か聞いたが、特に要らないとのこと。
中に入ったみさととレジアスは、開いた口が塞がらない。
「たっくん、随分広くしたねぇ。」
みさとは、思ったより広くなっている部屋に驚く。
広くなった理由は、俺から説明。
「シビックの希望でさ、大きくなった状態でも飛べる部屋が良いって。
だから、デックス達のとこくらいの広さで、天井はかなり高く設定したよ。」
「この部屋の中に家が何軒も建ちそうじゃわい。
町ごと入るんじゃなかろうか。」
レジアスは、部屋とは思えない広さに、只々驚く。
そして、シビックは元の大きさに戻る。
離れた場所でした筈だが、大きなドラゴンが間近に見える。
みさとは、シビックの背中に登り大きさを確かめる。
「だいぶ大きくなったね、シビック。
今度乗せてもらう時は、落ちないように気をつけないと。」
「飛んでみようか?」
「ちょっと待っててね。
たっくん、レジアスさん、一緒に飛ぶ?」
「俺はこの間してもらったからいいよ。
レジアスは?気持ちいいから飛んでくれば?」
レジアスの方を見ると、今度はシビックの大きさに驚いているようだ。
「こ、ここまでの大きさとは。
冒険者が知らずに出会えば、駆逐対象じゃよ。
倒せるとは思えんがな。」
「あはは、無理だろうね。
襲われないから安心して、レジアス。」
俺の言葉に、みさともシビックも頷く。
「この子は最初から大人しかったですよ。
お腹空いてただけだもんね。」
みさとはそう言いつつ、座っている近くの首の辺りを撫でている。
「そうだね、ご飯貰ったよね。」
そんな様子を見たレジアスは、何とも言えない顔つき。
「最初に出会ったのが拓海達で良かったのぅ。
どれ、私も乗せてもらおうかのぅ。」
そう言うと、みさとの元まで飛んでいく。
2人とも座ったところで、落ちないように固定の魔法をかける。
「落ちない措置はしたけど、気を付けてな。」
「大丈夫、僕に任せて!」
「宜しくね、シビック。
楽しみだなぁ。」
みさとの言葉が聞こえたようで、シビックはゆっくりと飛び立つ。
どんどん高く、少しずつ速くなっていく。
「気持ちいい!
レジアスさん、大丈夫?」
初めて乗るレジアスに、みさとは声をかける。
「勿論じゃ、みさと。
拓海の車に乗った時以来の新感覚じゃ。
ドラゴンに乗れるとは、感動じゃのぅ。」
レジアスは、感無量といった感じ。
「うふふ、良いですよねぇ。
シビック、落ちないらしいから、好きに飛んでいいよ。」
「いいの?
じゃあ遠慮なく。」




