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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 295

 「レジアス、これ使ってみてよ。」

 改良した羽根ペンを、レジアスに試してもらいに来た。

 「ふむ、先日ベゼルが使っていたあれじゃな。

 もうできたのか。」

 「実はさ、以前ダンジョンの最下層で出た宝箱に、似たようなのが入ってたんだ。

 それを改良してみた。」

 「そんなものまで出るのか。

 ダンジョンとは凄いのぅ。

 私も攻略してみるかのぅ。」

 「あはは、程々にね。

 他の冒険者達が自信なくしちゃうよ。」

 本気か冗談か判別のつきにくいレジアスの反応。

 色んな魔道具出ると、興味湧くよね。

 閑話休題、羽根の一部の色が変わっている羽根ペンを出して、レジアスに渡す。

 「魔法をかけるというより、「書いてね、宜しく!」って念じたらできたよ。

 止めるのも「お疲れ、終了。」って感じ。」

 「寧ろその方が他の者に使われなくて良いじゃろう。」

 「紙はさ、大量に用意しとけば、自動で次の用紙使ってくれてた。」

 「成程、沢山用意しとくかのぅ。」

 「因みにこれがお試しした時のやつ。」

3人で雑談した時の内容が、ご丁寧に書いてある。

 「ふむ、誰の発言かもわかるし、優秀じゃのぅ。

 書記官が楽になるじゃろうて。」

 「レジアスさん、これ何語に見える?」

 聞きたくてうずうずしていたみさとは、タイミングをみて声を掛ける。

 「普通に読めるからな、この国で使われている通常の言葉に見えるぞぃ。

 寧ろ、みさとにはどう見えてるのかのぅ。」

 「私も、普通に読めるんだけど、元の世界の文字か判別できなくて。」

 「成程、異世界の文字か。

 今見る限り、この用紙の文字は異世界の文字ではないのぅ。

 私でも読めるからな。」

 ほうほう、そうなのか。

 うっかり俺達が書いたものがこの世界の文字ではないと、騒がれると困るからな。

 「みさと、試しに名前でも書いて、レジアスが読めるか試してもらうか。」

 「そうだね、そうしよう。」

 そのやりとりを聞いて、レジアスも楽しそうだ。

 「異世界の文字が見られるとは、ワクワクするのぅ。」

 俺とみさとでペンを持って、名前を漢字も使い書いてみる。

 書いたものを見ているレジアスは、首を傾げる。

 「通常の文字じゃのぅ。」

 「え、そうなの?じゃあ…」

 俺は日本語で書くと意識して、もう一度書く。

 「それが異世界の文字か。

 全く読めんわぃ。」

 「レジアス、ありがとう。

 普通に書くとこっちでも通用する文字になって、日本語と意識すると日本語になるみたいだ。

 みさともやってみて。」

 「わかった!」

 意識だけでいいのに、みさとは「日本語日本語…」と呟いている。

 「どうかな、レジアスさん?」

 「うむ、読めんぞみさと。

 成功じゃないのかのぅ。」

 満足そうなみさとの顔を見て、レジアスもほっこりした顔になる。

 孫でも見ているかのようだ。

 「俺達で暗号使うのは考え難いけど、こんな感じの文字見たら俺達だってレジアスが分かってくれればいいや。

 宜しくね。」

 

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