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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 289

 「それはもっと面倒くさい!」

 「それにさ、折角増えてきた種族が絶滅したら、オデッセイ様気にしちゃうかもね。」

 「うぐ、それは嫌だ。」

 成程、ベゼルでもオデッセイには弱いのか。

 「この世界は、安定した気候で過ごしやすいとは思う。

 それを「明日から暑くなりまーす」っていきなりやられてごらん?

 いちばん耐性に弱そうな人間から、バタバタ倒れてくよ。」

 「それは…見せたくないなぁ。

 折角オデッセイ様が育ててきた箱庭なのに。」

 おぅ、そんな認識なのか。

 改めて天上人の認識を知る。

 「だから、少しずつ変化させて慣れさせて、準備が整ってきたところで固定すればいいんじゃないかな?」

 「それってさ、管理する人必要じゃない?」

 「そうだなぁ、地球だと大気と海と陸があって、宇宙からの関わりや星の内部の活動や住んでいる人間達の行いで色々変わったりするから、そんなこと考えもしなかったけど。

 こっちは安定した気候だから、それを自在にできるなら管理者いた方がいいんじゃない?」

 「ふむふむ。

 少しずつまとまってきたぞ。」

 頭の中を整理してそうなベゼルに、レジアスが声を掛ける。

 「その変化は、自分達で察知しないといけないのかのぅ。

 察知できなかった種族は、滅ぶかもしれんぞぃ。」

 「それがわかるように、ちょっとずつ変化させる?

 天からの啓示必要かい?」

 考えつつも、俺を見るベゼル。

 何故俺に振ってくる?

 そこは自分で考えようよ。

 「じゃあ、その種族の統治してる人には啓示すればどうかな。

 全員に知らせてもいいけど。」

 「成程、先導してもらう感じね。

 それはありだね。」

 うんうんと頷く納得顔のベゼル。

 俺の独り言を機嫌良さそうに聞いている。

 「気候が変わりだしてから、それとなく植物増やす感じかな。

 そうすると…」

 「地方毎の特産物も、季節に左右されてくるね!

 ずっと採れてたかもしれないものが、その季節が美味しいですよってなれば、それを求めてくる人も出るかもね。」

 食べ物でも季節を感じるな、確かに。

 「旬のものだね、みさと。

 とうもろこしや枝豆・白菜とかアスパラなんかもそうなりそうだ。」

 「そうなると、お料理も暑い時用や寒い時用の需要が出るかも。」

 「寒い時は鍋とかいいのぅ。

 暑い時は、アイスも人気出そうじゃ。」

 レジアスも、クレスタの店で食べた料理を思い出す。

 「辛いものは、暑くても寒くても俺は好きだな。」

 「暑い時に辛いもの食べて、汗かくやつだね。

 我慢大会とかもできたりして。」

 向こうでのエピソードで盛り上がる俺とみさと。

 「我慢が楽しいの?おかしくない?」

 「それはね、「俺がいちばん我慢できるぞ!」を競う大会なんだ。

 楽しいかどうかは、その人次第じゃない?」

 「不思議なことをやるんだね、僕はやらないかな。」

 俺の解説に、ベゼルはやれやれという顔。

 「それは置いといて、寒くなってきたら鍋はありだよね。

 お家でも色々鍋したいし。

 この間言ってた、携帯できるコンロみたいな魔道具、売れそうじゃない?」

 みさとは、鍋に気を取られているようだ。

 寒い時は鍋だよね。

 「そんな物も考えておったのか。

 試作品できたら、家で試すのも吝かではないのぅ。

 またほれ、食堂もやってる商人経由で販売じゃろ?」

 「クレスタね、そうなるよ。

 作るのはもちろん、デックス達だ。」

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