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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 288

 「おかえりシビック!」

 みさとは、飛んできたシビックを抱きしめた。

 「たっくん、ありがとね。」

 「シビックも大事な家族だからな、当たり前だよ。」

 レジアスはみさとに笑顔が戻り、ホッとしている。

 早速念話が飛んできた。

 (拓海、早く帰ってきてくれて助かった。

 みさとは何時も笑顔だから、あのような顔の時にどう声をかけていいかわからんかったぞぃ。)

 (レジアス、一緒に居てくれてありがとうな。

 時間指定で戻れるって、こういう時便利だね。)

 (私も研究してみるかのぅ。)

 そんなレジアスとのやり取りもあったので、すぐに戻れて俺も一安心だ。

 置いてけぼりなベゼルが、やっと話の輪に入ってきた。

 「皆揃ったところで、おやつしながら僕の話も聞いてくれる?」

 「わかったよ。

 でも、今度からシビック置いていかないでよ。」

 「それ!

 居なかったらごはんもおやつも出さないからね!」

 余程怒っていたようで、俺以上に厳しかった。

 「ごめんよみさと、こんなに怒ると思ってなかった。

 悪戯も程々にするよ。」

 ベゼルの言葉に、みさともシビックもうんうんと頷く。

 「ところで、私も聞いていい話かのぅ、ベゼルよ。」

 レジアスは、どんな話かわからないので、念の為声を掛ける。

 「寧ろ一緒に聞いて僕に知恵を貸して、レジアス。

 宿題難しくってさー。」

 夏休みの子供かって思うこの態度。

 とてもじゃないけど、力のある偉い立場の人には見えない。

 個人的な感想はさておき。

 「で、どんな問題なの、ベゼル。」

 「それがね、風景が変わり映えしないから、変化するようにしたいんだって。」

 「「?」」

 ベゼルの返答に、俺もみさともレジアスも、首を傾げる。

 「何処の話?」

 「えっと、この辺?

 天界じゃないよ。

 いつも穏やかなのはいいんだけど、変わり映えしないなって。

 時間が流れたのを感じたいんじゃないかな?」

 ざっくり過ぎて、よくわからん。

 「じゃあ、例えば季節を変えて植物の変化を楽しむとか?」

 「季節って何?」

 そこからか、なければわからないよな。

 「俺達が元居たところって、春夏秋冬・4つの季節があったんだ。

 季節毎に温度変化があって、植物の育成も時期によって変わったり、葉が緑から赤になったり。」

 「雪も降ると綺麗だよね。

 富士山見たいなぁ。」

 「雪?」

 「富士山?」

 俺とみさとの説明に、今度はベゼルとレジアスが首を傾げる。

 「説明難しいな。」

 俺が考えているうちに、みさとはリュックからノートPCを取出す。

 起ち上げて、富士山を画像で出す。

 春夏秋冬で富士山の移り変わりを見せる。

 他にも、紅葉の様子や、季節毎に咲く花も出す。

 桜・紫陽花・薔薇・向日葵・藤・秋桜・金盞花・金木犀・牡丹・梅・桃等。

 雪を被った松や山茶花もチラホラ。

 「色々あるねぇ。

 全部まとめて咲かないの?」

 ベゼルの質問に、困った顔のみさと。

 「どういった温度が好きな植物か違うから、一緒には咲かないんじゃないかなぁ。」

 「何時でも咲いてたら、季節の移り変わり…変化が楽しめないんじゃないの?」

 俺も援護するが、つまらなそうなベゼル。

 「そんなもんか。」

 「因みに、温度変化は緩やかにしないと、人間も植物も大変なことになるからね。」

 「えー、それは面倒くさい。」

 「それはどうかな。

 ずっと見ているからこそ、少しずつ変化する様が面白いかもよ。

 だってさ、いきなりできたらそこからまた変化求められるよ?

 次どうする?」

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