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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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285/335

お試しにも程がある 284

 「着いたよ。

 早速覗き見しよう。」

 何故か楽しそうなベゼル。

 あっという間の出来事だったが、既に映像が共有されている。


 ナビさん、さっきの時間移動の魔法できそう?

 『問題ありません。

 マスターの望む時間に移動することができます。』

 ありがとう、頼りにしてます!


 そうとなれば、映像に集中しないとね。

 視えているのは、変身前の腰巾着とトライトンだ。

 「ベゼル、音声までは無理なの?」

 「我儘だなぁ、ちょっと待ってて。」

 注文するとすぐ対応してくれる、便利…ではない、何でもできるスグレモノ!

 2頭身のロボットでは、決してない。

 未来の道具じゃなくても、魔法で対応できるからね。

 そんなこと考えている間に、音声も聞こえてきた。

 トライトンともうひとつは、少し高めの声。

 話からすると、お互い別の人物から時間指定でここに行くようにと言われて、何をするかを聞かされているようだ。

 これなら確かに、お互いがその上の人物までは知らない訳だ。

 そうなると、やはりあの腰巾着の記憶を確認するしかないか。

 変身させるところも確認できて、2人は別れるようだ。

 一緒にいるところを見られたくないのか、時間をずらして別々の方向に向かった。

 変身した腰巾着は、以前捕まったお目付け役のところに行くみたいだ。

 待たせてあった馬車に乗り、移動を開始。

 「今ならいいんじゃない?

 覗いてみようか。」

 やっぱり楽しそうなベゼルは、嬉々として行動してくれる。

 腰巾着が今考えてることとしては、上から言われた通りお目付け役を上手く言いくるめること。

 上手くやらないと、大変な目に合うのか。

 腰巾着も楽じゃないな。

 名前と顔も考えたようで、誰からの命令かも確認できた。

 レジアスの方を見ると、思い当たる人物なのか、やれやれといった顔をしている。

 「あれは、やはり王弟派の貴族・エスティマじゃな。

 あれが関わるとなると、しっかりとした証拠がないと追い詰められんぞ。」

 「言い逃れがどうにでもなる、権力持ってる人ってこと?レジアス。」

 「その通りじゃ。

 想像通りというかなんというか。

 問題は、その上・王弟も噛んでいるかじゃな。」

 「それは…問題だね。」

 レジアスと俺の会話を聞いて、ベゼルが問いかける。

 「次、誰覗く?」

 「そのエスティマという人とシグマとの関係性も確認したいねぇ、私としては。」

 俺が応える前に、ディグニティが呟く。

 「そこも大事だね。」

 ディグニティの意見に、大いに同意する俺。

 「じゃあ、腰巾着が大物と会ってたところまで飛んで、大物の方を覗こうか。」

 やはり嬉しそうなベゼル。

 「その方が早そうじゃのぅ。」

 「よし、エスティマと腰巾着が会ってたところまで戻ろう。

 ベゼル、宜しくね。」

 「お任せ!」

 指をパチンと鳴らすと、もう移動していた。

 「仕事早いね、ベゼル。」

 「だって、面白そうじゃん?

 僕見てるだけだしね。」

 何とも暢気な回答。

 まぁ、そこに俺達は助けられてるけど。

 「ありがとう。

 もう少し付き合ってな。」

 「拓海こそ、終わったら僕の方を手伝ってよね。」

 「力になれると良いんだけど。あんまり期待しないでよ。」

 「拓海なら大丈夫だって。

 寧ろどんな意見を出してくれるか楽しみだよ。」

 クスクス笑うベゼル。

 まぁ、ギブアンドテイクってとこだよね。

 今は自分達の問題に集中しないと。

 エスティマの住居に、腰巾着が訪問、門番に通してもらったところは確認した。

 お気楽ベゼルは、ウキウキと対象物を探す。

 「さてさて、大物と腰巾着は何処かなぁ?」

 

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