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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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281/335

お試しにも程がある 280

 「シビックのは俺がやるよ。」

 食べたそうにしているシビックに俺が声をかけると、嬉しそうに頷く。

 「拓海、早く早く。

 オデッセイ様と一緒に食べるんだ。」

 みさとからレクチャー受けているオデッセイを見ているシビックは、俺を急かした。

 ちょっと(?)チョコが多めにかかったが、そこは御愛嬌。

 綺麗にできているオデッセイのアイスクリームとは、似て非なるもの。

 大丈夫、結果美味しいから。

 「ほい、お待たせ。」

 「ありがとう、拓海。

 オデッセイ様、一緒に食べよう!」

 隣に陣取ったシビックは、お揃いで食べるのが嬉しいらしい。

 オデッセイも、微笑みながらシビックに応える。

 「そうね、一緒に食べましょうか。」

 2人の様子を見て、にこやかに見守るアスコット・ジェイド、羨ましそうなエリシオン、シビックのアイスクリームを見て自分のにもチョコをたっぷりかけているベゼルと、反応は様々。

 レジアスとディグニティは、チョコをかけフルーツも生クリームも載せて、サンデーのようにして食べている。

 みさとがクッキーも出していたので、クッキーも刺していた。

 みさとがその様子を見ていて、俺に声をかける。

 「パフェというかサンデーというか、美味しそうに盛り付けてるね。

 2人共、アレンジが素敵。」

 「お、いいねぇ。

 俺ならチーズケーキも載せるかな。」

 レジアスはその声を聞き逃さなかったようだ。

 「チーズケーキは、最後に載せるんじゃよ。」

 フフンと言わんばかりに、応えてくれた。

 「まぁ、そんな盛り付けもいいですね。

 私も苺とバナナを載せようかしら。」

 オデッセイが、会話に入ってきた。

 「それなら、これも合うと思いますよ。」

 みさとは、リュックから追加のおやつを出す。

 持ちやすいサイズに切ってある、アーモンドフロランタンを出した。

 「アイスクリームにもチョコにも生クリームにも合うと思いますよ。

 お試しくださいね。」

 クッキーと同じ皿に追加で載せていく。

 そろそろテーブルの上は、新たなものを置けなくなってきている。

 ベゼルは何も付けず、そのまま口に入れる。

 「香ばしくて美味しい!

 サクサクしてるし、歯応えもいいね。」

 2つ目に手を出し、チョコにくぐらせる。

 「チョコの苦味が引き立って、これも美味しい!

 オデッセイ様、アイスクリームにも合いますよ、きっと。」

 まるで毒見しましたくらいの体で、もぐもぐしながら報告する。

 それを見てにこやかに微笑むオデッセイに、シビックからも声をかける。

「みさとのお菓子はどれも美味しいから、早く食べよう!」

「そうですね、頂きましょうか。」


 楽しそうな2人を見て、アスコットは思わず呟いた。

 「皆で来て良かった。

 オデッセイ様も楽しそうだ。」

 「あの人間は使えますね。

 これからも、オデッセイ様のために料理を作らせねば。」

 不穏なことを口走るエリシオンに、アスコットは釘を刺す。

 「言っとくけど、みさとも拓海もオデッセイ様のお気に入りだからね。

 意に沿わないことをすると、オデッセイ様悲しむよ。」

 「では、分身でも作らせますか。

 何時でもオデッセイ様の求めに応じて料理を作らせるのはどうでしょう?」

 「わかってないな、エリシオン。

 皆で食べるから、楽しいんだよ。

 美味しい料理だけなら、オデッセイ様は何時でも食べられるでしょう。」

 アスコットのドヤ顔に、少しむっとするエリシオン。

 「ふむ、ままならないものですね。」


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