お試しにも程がある 278
「ひんやり美味しい!」
「これも良いわね。
中の果物が甘酸っぱいのも良いわ。」
「うわー、ほんとにパリってしてる!
液体だったのに。」
「これも、オデッセイ様に献上したいですね。」
ベゼル・アスコット・ジェイド・エリシオンがそれぞれ堪能している間に、やっとレジアスとディグニティが手を出す。
「みさと、私もいただくぞぃ。」
「みさとは何でも持ってるねぇ、ありがとう。」
2人は1本ずつ手に取り、チョコにくぐらせる。
「溶けないうちに、食べ切ってくださいね。」
みさとは、同じ注意を2人にもする。
そして、俺は手招きされた。
「クーラーボックスあったら、お土産に持たせられるかな?」
「できるとは思うけどさ、自分でつけて楽しむのも味の1つじゃないかな。」
「それはそうなんだけどさ。
エリシオンさんがオデッセイ様に食べさせてあげたいって言ってたから、何か方法ないかなって思って。」
優しいな、みさと。
やりとりを聞いていたシビックが、ポツリとひと言。
「オデッセイ様のところに遊びに行く?」
「え、そんな簡単にしていいの?」
「そうだよシビック、しかもどうやって行くんだよ。」
発言内容に驚いたみさとと俺は、シビックに聞き返す。
「転移で行けばいいじゃん。
じゃあ、オデッセイ様に呼んでもらう?」
「それはそれで申し訳ないんじゃないか?」
3人で悩んでいると、ベゼルがこっちにやってきた。
「みさと、お代わり頂戴!
ん、オデッセイ様のとこに行きたいの?」
「よく聞いてたな。
みさとがね、エリシオンさんがオデッセイ様に献上したいって言ってたから、チョコフォンデュのセット毎行けたら楽しめるんじゃないかって。」
「それ良いね、オデッセイ様も一緒に楽しめるね!
今から行く?」
ベゼルの発言に、驚く俺。
「ベゼル、まだ食べてる人いるよ。」
「皆で一緒に行けばいいじゃん。」
「いきなり騒がしくなるのは、オデッセイ様にご迷惑ではない?」
「じゃあ聞いてみるから、待ってて。」
少しの間無言になったベゼル。
「お待たせ、行こうか!」
パチンと指を鳴らすと、皆で移動していた。
そう、俺もみさとも、レジアスもディグニティも。
何も聞かされていないアスコット・ジェイド・エリシオンは、風景が変わって驚く。
シビックは、オデッセイの元に飛んでいく。
「オデッセイ様、一緒に食べよう!」
パンケーキをチョコにくぐらせ口に入れようとしていたエリシオンは、その声を聞いて振り返る。
アスコット・ジェイドも振り向き、固まる。
「どうだい拓海、みさと。
これで一緒に食べられるだろ?」
自慢気にベゼルが聞いてくる。
確かにそうなんだけど、展開が急すぎてついて行けてない。
相談はしたけど、今日直ぐ行くとは思わないじゃん…
「あ、ありがとう、ベゼル。
じゃあ、オデッセイ様のところに挨拶に行こうか。」
みさとを連れて、ベゼルと共にオデッセイのそばへ行く。
シビックを抱きかかえているオデッセイに、俺は挨拶する。
「ご無沙汰してます、オデッセイ様。」
「よく来ましたね、拓海・みさと。
待ってましたよ。
ベゼル、連れてきてくれてありがとう。」
「いえいえ、オデッセイ様も一緒に食べましょうよ。」
オデッセイに褒められて上機嫌のベゼルは、チョコフォンデュへと誘導する。
行った先では、アスコット・ジェイド・エリシオンが立ち上がってお出迎え。
先程までは直に座って食べていたが、テーブルと椅子も用意され、全員座れる大きさになっている。
その後方で、雰囲気から察したレジアス・ディグニティも立ち上がる。
「皆さん、お招きありがとう。
ご一緒させていただきますね。」
「オデッセイ様、ここ座って!」
皆が棒立ちの中、シビックがオデッセイを輪の中に入れる。
「皆さんも座って、一緒に楽しみましょう。
どうやって食べるのかしら。」




