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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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277/335

お試しにも程がある 276

 「おやつの時間かい?待ってたよみさと!」

 ベゼルは喜んでいるが、こいつは何しに来たのやら。

 「ディグニティさん、お茶とおやつ追加で出すけど、いいかしら。

 家主さんで何か出すのであればそちらを手伝いますが。」

 シビックと食べていたのとは違い、創造主にも出すにあたり、一応ディグニティに確認するみさと。

 「みさと、気にしないで。

 皆さんの求めに応じて、好きなだけ出してくれて構わないよ。

 僕も食べたいしね。」

 ディグニティから許可が出たので、みさとはリュックをガサゴソする。

 「誰も食べたことないやつだと、チョコフォンデュでも出す?」

 「みさと、宴会になっちゃうよ。

 今日はまだやることあるから、簡単に食べられるものにしようよ。」

 みさとの提案を、俺が慌てて止める。

 だが時既に遅し、皆耳がダンボになっていたようだ。

 「なにそれみさと、食べたいな僕。」

 「チョコフォンデュ、美味しいなら試したいね。」

 「前に貰ったお菓子も美味しかったし、間違いないでしょ!」

 ベゼル・アスコット・ジェイドは、ノリノリだった。

 みさとは、改めて俺の方を向く。

 「わかったよ、出してもいいよ。

 急いで食べてもつまらないしな。

 付けるものも沢山出そうか。」

 諦めと共に腹を括った俺。

 「「やったー!」」

 創造主共、喜び過ぎじゃなかろうか。

 下を汚さないように、敷布代わりに毛布を広げ、その上にどんどん出していくみさと。

 前回使った道具と、チョコとその他諸々出す。

 俺は、皆で使えるようにサイズを大きくして、チョコを流す準備もする。

 「へぇ、魔法でこんな事するんだ、面白いね。」

 アスコットは、流れるチョコを見て感心する。

 「ねぇ、どうやって食べるの?」

 ベゼルは食い気優先。

 「この匂いは、薬かい?」

 流石ディグニティ、よく知ってる。

 「え、薬を食べるの?美味しいの?」

 隣りにいたジェイドは、少し不安そう。

 準備が整ったので、みさとが食べ方を説明する。

 「好きな具材を刺して、流れるチョコにくぐらせてから、食べてください。」

 みさとは一口大のバナナをフォークに刺して、チョコにくぐらせた物を皆に見せてから口に入れる。

 美味しそうな顔をするみさとを見たら、皆一斉にどれを試そうか探り出す。

 レジアスは、場が落ち着くのを待っているように静観。

 俺は、シビックの要望に応え口に運んでやる。

 苺もパンケーキもチーズケーキも、どれもパクパク食べていく。

 アスコットが、みさとを真似てバナナから試す。

 取り皿も出したので、溢さないように口に運ぶ。

 「何これ、美味しい!」

 余程美味しかったらしく、バナナでどんどん食べ進める。

 ベゼルはシビックが食べていたパンケーキでお試し。

 「これ、チョコだけで飲めるね。

 めっちゃ美味しい!」

 ジェイドとディグニティは、仲良く苺で試す。

 「うんま!

 これホントに薬なの?ディグニティ。」

 「これはこれは。

 あの途轍もなく苦い薬とは大違いだ。

 みさと、原料は何だい?」

 ディグニティに聞かれたみさとは、手を休めて応える。

 「分けてくれた商人の方は、薬って言ってましたよ。

 カカオで良いのかな?」

 「やはり同じか!

 良くぞここまで美味しくしたもんだ。」

 「粉々にするだけでも大変ですしね。」

 みさととディグニティで、うんうんと頷く。

 レジアスも参加し、チョコを堪能する。

 「みさと、これは売る予定あるのかのぅ。」

 「えっと、今のところパンで町おこしする時に、パンに混ぜたりして売る予定ですよ。

 後はクレスタさん次第かな。

 私は販売しないし。」

 「ふむ、町おこしか。

 楽しみにしておこう。」

 情報を仕入れ上機嫌なレジアスは、大好きなチーズケーキに手を出す。

 「やはりチーズケーキは美味しいのぅ。

 チョコとの相性もバッチリじゃ。」

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