お試しにも程がある 275
「さて、ダンジョンについて他に意見はないかい?
拓海以外でも意見聞くよ。」
アスコットは、気さくに声を掛ける。
「ダンジョンができたことは、それぞれの種族に通知するんですか?」
俺の質問に、応えるアスコット。
「んー、しないかな。
躍起になられても、ねぇ。」
「俺達が聞かれたら答えるはして良いんですよね?」
「それは問題なし。
誰も見つけられないようなら、拓海達が攻略もありだしね。」
アスコットのあっけらかんとした発言に、ジェイドはディグニティに声を掛ける。
「ディグニティ、頑張って探せよ。」
「うん、そうするよ。
折角作ってもらえるんだから、有効活用しないとね。
成長する子が増えると良いんだけど。」
そんな2人を横目に、俺はレジアスに話しかける。
「今あるダンジョンの内容は冒険者ギルドに報告上げてるから、少しずつ利用者増えるんじゃないかな。」
「誰も攻略できなかったのに、次々報告上がってきて冒険者ギルドでも話題になっているそうじゃよ。」
「そうなの?頑張ってるね、拓海。
あの子達も忙しくなれば喜ぶよ。」
話に入ってきたアスコットは、嬉しそうだ。
「その、私もアスコット様と呼ばせていただいてよろしいでしょうか。」
少し緊張気味に、レジアスが声を掛ける。
「勿論だ、レジアス、だよね?
色々話を聞かせてくれて、助かったよ。
他にもあれば、遠慮しないでくれ。」
上機嫌のアスコット。
でも、しっかりと色々見られているようだ。
「拓海だけが特別かと思ったが、レジアスも魔法が使える部類だな。
人間とは、こんなに魔力強い者が多いのか?」
驚きつつも、苦笑いで応えるレジアス。
「私も、拓海同様ベゼルから魔力強化してもらってますのじゃ。」
ベゼルの名を聞いて、目が細くなるアスコット。
「あいつ、何やってんだか。」
「僕のこと、呼んだ?」
耳聡いベゼルは、会話に入ってくる。
「確かに、僕が強化してるよ。
あれ、相方いなかったっけ?
確か名前は…」
「サイノスじゃよ、ベゼル。
貰った剣は相性良くて、今でも使っているぞぃ。」
「それは良かった。
みさとも、剣使えてる?」
「あんまり使ってないけど、強化してもらって助かってるよ。
お料理や買出しも大変じゃないし。」
「え、みさとに剣使わせてるの?
美味しいものを作る大事な手で、危ない剣なんか持たなくていいよ!」
過保護なアスコット、余程みさとの料理が気に入ったようだ。
「殆ど使ってないですよ。
ダンジョンで練習くらいしかね。」
「僕と拓海で守ってるから、大丈夫だよ。」
ここぞとばかりに、シビックが主張する。
「そうだよね、いつもありがとね、シビック。」
みさとは、シビックの頭を撫でる。
「話終わったの?おやつの時間でいいんじゃない?」
「あれ、さっきまでドーナツ食べてたよね?」
「あれはあれ、これはこれ。
次はアイスかケーキがいいなぁ。」
「それなら、私も貰おうか。」
アスコットも便乗する。
直ぐにみさとに耳打ちもする。
「あ、例のやつはお土産だからまだ出さないでね!」




