お試しにも程がある 274
「拓海の言う事も最もだな。
自然の摂理に任せてもいいが、態々争いの種を蒔くこともないか。
1つずつ作るのは良いとして、あとは場所だな。
邪魔にならなさそうなところに作るとするか。
その種族の者達が探せれば楽しめるってことで、頑張って探してくれたまえ。」
こんなところで、アスコットの茶目っ気が出てきた。
ディグニティは、頭を下げ礼をする。
「ありがとうございます。
探すことも訓練になりますので、宜しくお願いします。」
うんうんと頷くアスコット。
「あとは管理者だな。
4カ所に1人ずつ入ればいいよね。」
「え、3カ所じゃないの?
エルフ族・ドワーフ族・巨人族で。」
思わず突っ込んでしまった俺。
「獣人族もいるだろう。
拓海は知らないのか?後で探しに行くと良い。
魔族は…いらないよね、きっと。」
アスコットの思わぬ爆弾に、俺とレジアスは顔を見合わせる。
「魔族に知り合いいますけど、聞いてみましょうか?
そっちまで考えていただけるとは思ってませんでした。」
「聞いてくれてもいいけど、そもそも必要ないんじゃない?
聞くなら、魔石使うのかを聞いて欲しいな。
練習場って意味では、いらないでしょ。」
そんなもんか?
よくわからないが、レジアスにもうんうんと頷かれたので、オロチに念話する。
(オロチ、拓海だけど。
今良いかな?)
(おぅ拓海、どうした?)
(経緯は省くけど、ダンジョン作ってもらえることになってさ。
魔石も出るんだけど、魔族でも必要?)
(ダンジョン…人間で言う練習場のことか。
あればあったで、ユーガの練習場として使えるな。
魔石は、何かしら使えるだろう。
魔族領にも設置してもらえるなら、魔石の管理は俺がしよう。
他の者達に悪用はさせん。)
(その言いようだと、魔石の使い道はあるんだね。)
(当たり前じゃないか。
使い方次第だから、管理が必要になるんだ。
そこは疎かにできんからな。
ヒミコも喜ぶし、フッフッフ。)
(了解、作ってもらえるよう交渉してみるよ。
場所は、領地内探してね。)
(寧ろ、管理しやすいように城の近くに作ってもらえると助かるぞ。)
(そういう考え方もあるのか。
伝えてみるね、ありがとう。)
ふぅ、種族毎に色んな考え方があるんだな。
さて、そのまま話していいんだよな?
「お待たせしました、アスコットさん。
結果、作って欲しいとのことです。
魔王の息子の練習場にしたいとか。
魔石は、魔王直々に管理すると言ってました。」
俺からの回答に、驚くアスコット。
「成程、魔王も子煩悩なのか。
ふふふ、それはそれで良いだろう。
設置するとしよう。」
「追加の要望もありまして、魔石の管理するにも都合が良いので、城の近くに作って欲しいそうです。」
「悪用されるのを防ぐ為か。
魔族も丸くなってきたもんだ。
良いだろう、城の近くに作るとしよう。」
アスコットはオロチの話を聞いてくれそうだ。
「これはオロチの人徳?なのかな。」
俺はこっそりとレジアスに声を掛ける。
「そうとも言えるな。
今後の魔族の有り様も、同じように継承されると良いんじゃが。」
「ユーガ君なら、素直そうだし大丈夫じゃないかな。」
「その為にあやつは危険分子を排除しまくったからのぅ。」
「えっ。」




