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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 270

 「ふむ、私は修行が必要じゃな。

 2人の言っておるものがはっきりとは見えんからのぅ。」

 レジアスはちょっと寂しそうな呟きをする。

 「まぁ、波長が見えるだけでもいいんじゃないかな。

 拓海と私が見ているのは、生活している中では見ないものだからね。

 レジアスだって、その、誰だったかな、ジェイドじゃない別の創造主にその後会ってないんだろう?」

 「言われてみればその通りじゃ。

 中々出てこんからのぅ。

 関わる必要性もないしな。」

 …この間おやつ食べに来ましたけど。

 ディグニティとレジアスの会話を聞きつつ、そんなもんかと思うしかない俺。

 「この間来ておやつ食べていったよね、ベゼルさん。」

 みさとの一言で、ディグニティとレジアスは振り向いた。

 「何しに来たんじゃ、みさと。」

 「遊びに来たの?そんな訳無いか。

 何のご用事だったんだい?」

 みさとが説明する前に、俺から情報開示。

 「レジアスには、ダンジョンの話ししたよね?

 ダンジョン作った創造主が質問あるってことで、ベゼルが連れてきたんだ。

 その時に、皆でおやつにしたって感じだよ。」

 別に、何も特別なことしてもらったわけじゃない。

 寧ろ、こちらが協力した側だ。

 「あぁ、例のダンジョンか。」

 「人間の国にはあるんだよね、ダンジョンとやらが。

 私達のところにも欲しいくらいだけど。

 いっそのこと、頼んでもらえないかな、拓海?」

 レジアスは躱せたが、ディグニティは食いついてきた。

 「一応ね、練習場なんだよ。

 魔法も身体能力も低い人間種のための。

 エルフ族に必要なの?」

 「そりゃ必要だよ。

 誰だって練習場は必要さ。

 魔石出れば、買出しに遠出しなくても済むしね。」

 ディグニティは、更に笑顔になった。

 「そうなるとさ、巨人やドワーフのところにもあれば公平になる?」

 エルフ族だけ特別はよくないよね。

 俺は、レジアスに水を向ける。

 「諍いの元は減ることになるな。

 少なければ、他から買えばいいだけの話じゃ。」

 「今がそうだしね、レジアス。」

 昔のいざこざの内容は、ディグニティも知っているようだ。

 「そうじゃな。

 程度を知らない馬鹿者共がまた悪さしなければ、平和なままじゃろうて。」

 そっぽを向いて応えるレジアス。

 「じゃあ、俺が決められることではないから、聞くだけ聞いてみるね。

 希望に添えなくても、仕方ないと思ってよ。」

 俺の回答に、笑顔で返すディグニティ。

 「勿論だよ、拓海。

 是非口添えお願いするよ。」


 どうしたものか。

 直接アスコットに連絡でいいかな。

 (すみませんアスコットさん、拓海です。

 今いいですか?)

 (おや拓海、連絡ありがとう。

 どうしたんだい?)

 (実は、エルフ族のところにもダンジョンが欲しいと言われまして、お伺いした次第です。

 一応エルフ族の族長とも一緒に居まして、話をして欲しいと言われてます。)

 (ふむ、エルフ族ねぇ。

 必要なの?確か人間族よりは強かった気がするけど。)

 (それはその通りです。

 族長がジェイドさんから魔法を強くしてもらったから、更に魔法強化に努めてるみたいですよ。)

 (なんだ、ジェイドの知り合いか。

 いいよ、準備はしとくよ。

 一応ジェイドにも探り入れてからね。)

 (ありがとうございます。

 そこでなんですけど、一箇所だけ作ってまた争いが起こっても困るのでそれぞれの国に1つずつ作った方が良いのではないかとも話してました。

 その辺はいかがでしょうか。)

 (争いねぇ。

 ちょっと前に何かやってたよね。

 終わったんでしょう?)

 (争いを治めたものも一緒に居まして。

 また騒動になることを懸念してます。

 内緒にしておくとバレた時大事じゃないかなって俺も思ってます。)

 (ふむ。

 ちょっと全体的に考えるから、後で連絡するけどいい?)

 (勿論です。

 設置できない場合もあることはエルフ側も了承済なので、その旨お知らせ下さい。)

 (根回しがいいね、拓海は。

 じゃ、後で。)


 ふぅ。

 俺の役目は、ここまで。

 大分図々しいお願いだったよね。

 「お願いはしてみたけど、できるかも含めて後で連絡くれるって。」

 ディグニティとレジアスは共に驚いた顔。

 その後は、ディグニティは笑顔、レジアスはやれやれという顔。

 俺が決められるわけじゃないので、念押しする。

 「ダメ元で声かけたからね、あまり期待しないでよ?」


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