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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 265

 「ありがとうございます、王様。

 では、その際は遠慮なく伺わせて頂きます。

 王妃様も治ったばかりでお疲れでしょうから、俺達は失礼させて頂きます。」

 王に対する言葉遣いがよくわからないが、大丈夫だろうか。

 同じタイミングでレジアスも退室し、ひと息つく。

 歩き出したレジアスの後ろについて廊下を歩き、王妃の部屋から離れたところでレジアスが話し始める。

 「拓海よ、王に気に入られたのぅ。

 まぁ、茶飲み話で済めば良いのだが。」

 「不穏なこと言わないでよ、レジアス。

 こんな一般市民が王様にお目にかかるなんて、ホントないでしょ。」

 「一般市民か、便利な言葉じゃな。

 そういうことにしておこうかのぅ。

 さて、話はここからじゃ。

 犯人探しと行こうかのぅ。」

 軽い口調で怖いこと言うレジアス。

 「それって、さっき連行されてた人が話せば終わるんじゃないの?」

 「蜥蜴の尻尾切りじゃ、碌に知らんじゃろう。」

 「そんなもんかな。

 また頭の中覗く?」

 「覗いたときに、人名出てこなかったんじゃろ?

 あの方と言っておったな。」

 「言われてみれば確かに。

 顔も思い出せてない感じだったな。」

 「やはりか。」

 レジアスが向かっていった先は、先程連行されたものが尋問されている部屋。

 入ると直ぐに、城の警備担当が状況を教えてくれた。

 「レジアス殿、こいつ何も知らないようです。

 嘘をついてるかもしれないので、更に拷問しようかと思っていたところです。」

 「ふむ。」


 (拓海、あやつの頭を覗き続けてくれ。

 人物の情報出たら、教えてくれんかのぅ。)

 (わかった、下がって様子見てるね。)


 「拷問の前に、私も質問させてもらっていいかのぅ。」

 「どうぞ、こちらへ。」

 警備担当から場所を譲られ、レジアスは前に出る。

 尋問相手に対して、魅了の魔法をかける。

 無詠唱はこういう時いいよね。

 「さて、今回の首謀者は誰かのぅ。」

 「名前は知らない。

 いつも仮面を被っていた。

 家紋も付いてなかったから、分からないんだ。」

 「成程な。

 他に周りにも誰かいなかったかのぅ。」

 「会うのは酒場で、個室だった。

 他には誰もいなかった。

 相手が先に来て後から帰る形なので、帰る先も知らない。」

 「喋り方や身振り手振り、違和感はなかったかのぅ。」

 「がっしりした体形で、声は高め、落ち着いた様子だった。」

 「飲み物はお互い飲んだのかのぅ。」

 「ワシには好きなものを飲むようにと言ってくれる。

 部屋に入ったときには、既に酒杯が置いてあった。

 飲むところは、見た覚えがないな。」

 「成程、助かるぞぃ。」

 レジアスが質問を終えて男の前からどくと、男は慌てたように口走る。

 「わ、ワシは何も喋らんぞ!」

 先程までペラペラ喋っていた男の言葉とは思えない。

 警備担当は首を傾げる。

 「レジアス殿、まだ何か聞きますか?

 吐かせたほうが良いですかね。」

 「私が聞きたいことは全て聞けた、ありがとう。

 新しい情報出るようなら、教えてもらえると助かる。

 邪魔をしたな。」


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