お試しにも程がある 252
「こんなもんかな。」
出てきたゴブリン7体を、足止めからの樹木化。
まだまだこれで行けるかな。
そんな事を考えていると、みさとからリクエストが来た。
「ねぇねぇたっくん、前みたいにさ、砂にして1本の樹にできないかな?」
「え、そんなことできんの?」
驚く聡太には、実物を見せた方が早そうだ。
俺が砂化すると、みさとは箒を取り出す。
一纏めになったところで、樹木化をかける。
そこそこ大きな樹にはなったが、付いた実を見てもそれなりでしかない。
「みさと、もっと強いのが団体様で来た時の方が、楽しいと思うよ。」
「まだ美味しそうじゃないしね。」
俺の意見を後押しするように、シビックはつまらなさそうに意見する。
「何でもありだな、父さん。
てことは、俺もできるのかな。
違うことで試してみないとなぁ。」
「聡ちゃん、次の番だよ。」
「お、やっと来た!
先ずは即死魔法試そうかな。」
みさとに声をかけられ、聡太は前に進む。
てくてく進むと、大きな双頭の蛇が出てきた。
「お、いらっしゃいませ!
てかさ、このサイズって階層ボスレベルじゃないの?」
「他ならそうかもな。
自信なければ交代してもいいぞ。」
「そんな訳ないじゃん。
ほら、父さんは下がった下がった。」
聡太はしっしっと俺に手を振り、大蛇と対峙する。
「結構アニメでも即死魔法って強キャラが使ってるイメージだよね。
これで俺も強キャラの仲間入りかな?」
厨二感出すためか、掌を敵に向けて立つ。
正直ね、動作も呪文も必要ないから、発動してもすん…て感じなんだよね。
悩んだ顔をした聡太は、諦めたかのようにこちらに向かって歩き出した。
「どした?」
俺の問いかけに、溜息を付きながら応える聡太。
「叫びたい魔法の名前が思いつかなかったんだ。
もう終わったから、次ね。」
後ろでは、倒れて動かなくなった大蛇が居た。
魔石も勿論回収済。
あの大きさでもボスには該当せず、その先に普通の道が続いている。
「次は私の番だね。」
ウキウキと進んでいくみさと。
スキップでもしそうな勢いだ。
魔物が徐々に強くなっていくのは、間違いない。
ただ、そんなに頻繁に遭遇するわけでもないので、暫く歩く。
他愛ない話をしているうちに、次の魔物に出会った。
ゴブリンだ。
大きくなるか、数が増えるかして、少しずつ手間がかかるようになっていく。
今回は、数が多くなる方らしい。
10匹が一斉にこちらを向き、攻撃開始。
こんな時でも、練習しているかのようなみさとの動き。
全てを躱し、いなし、1体ずつ倒していくようだ。
まとめて倒すと、直ぐ終わってつまらなかったのだろうか。
慣れてきたようで、剣の動きに迷いがない。
こういうのを見ると、剣使えるんだなぁと改めて思う。
使えなくてもいいんだけどね、別に。
危ない目に遭わないでいてくれれば。
そんな事を考えいるうちに、全て倒し笑顔のみさと。
「次はたっくんの番だよ。」




