お試しにも程がある 251
「順調に強くなってきてるね。」
何回目かの戦闘で、魔法1回で倒せなくなってきた聡太は、認めざるをえなかった。
「風魔法より木魔法のほうが良いのかな。
父さんの魔法なら、まだ同じもので倒せそうだ。」
「おいおい聡太、足止めしてからの木魔法だから、2つかけてるんだぞ。」
「真似するのはちょっとなぁ。
別の方法を考えるか。」
聞いてないな、こいつ。
この負けず嫌いは、誰に似たのやら。
「次の番まで、考えると良いんじゃないか?
1つの魔法に固執することはない。」
「聡ちゃん、次私の番だよ、どいたどいた。」
みさとに促され、俺の隣に来る聡太。
「魔法は色々あるしな、君の想像力次第じゃないかな、聡太くん。」
「最終的に、僕が倒しても良いしね。」
俺に続いて、シビックにも諭される聡太。
「むむむ。
いっそ即死魔法とかできれば良いのか。」
「お、そうなるよな。
次の敵に試してくれ。」
「早く俺の番になれー!」
そんな聡太の願いは虚しく、魔物を見つけるべくみさとが意気揚々と進んでいく。
暫くすると、ケルベロスが出てきた。
「いーなー母さん、変わろうか?」
いかにもな見た目の魔物が出てきたので、聡太はワクワクする。
「順番でしょ、聡ちゃん。
待ってなさいって。」
進み出たみさとは、剣を振りつつ様子を見る。
速い動きではあるが、目で追えないほどではない。
寧ろ、コマ送りに見えるほど余裕がある。
全て交わした上で、一刀のもとに首を全て切る。
あっさりと終わったその先には、下に降りる階段が見える。
階段の手前に、樹の実が成っていた。
以前の樹の実のように、蔦で襲われることはなかった。
前回のダンジョンでは1本に1つの樹の実しかなかったが、今回は3つ付いている。
俺・みさと・聡太で1つずつ取り、開けてみる。
「ハンバーグだな。」
「唐揚げだ!
いっぱい入ってる。」
「たぶんメンチかな?
コロッケにしてはでかいよね。」
どれも肉だらけの中身で、シビックにも好評だ。
全て食べ終わり、下に置いて消えたことを確認し、階段を降りていく。
「さ、次は俺の番だな。」




