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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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239/335

お試しにも程がある 238

 「これかな?ダンジョン。」

 プリメーラに転移してから、冒険者ギルドに声かけてダンジョンに向かう。

 車で上から捜索、それっぽい所に降りてみた。

 「入口が小さめなのは、見つからないようになのかなぁ。」

 「確かに見つかりにくいかもね。」

 作った当初は、来てほしくなかったのかな?と思わせる造り。

 管理者が面倒なのは間違いないよね。

 まぁ、もっと見つかりにくいところもあったから、まだ普通になるのかな。

 「じゃあ、行ってみますか。

 誰から攻撃する?」

 「俺俺、やりたい!」

 「わかった、聡太とシビックのベアね。

 次はみさと・俺の順で良いかな?」

 「「異議なーし!」」

 皆で行く気満々なところに、水を差す念話が来た。


 (あーあー、拓海、聞こえるか?

 デックスだが。

 使えてるかな、これ?)

 (聞こえてるよ、デックス。

 どうしたの?)

 (おぅ拓海、良かった。

 特注品出来たから、持ってってくれ。)

 (ありがとう。

 思ったより早かったね。)

 (あぁ、外注が思った以上に順調でよ。

 手を着ける時期が早まったんだ。

 品質は確認してるから、安心しろ。)

 (勿論、そこは信頼してるよ。

 今から向かって良い?)

 (お客さん待たせるわけにいかねぇだろ、宜しく頼む。)

 (わかった、向かうよ。)


 念話が終わり、咳払いをして気持ちを整える。

 「えー、皆さん、優先度の高い事情が発生しました。

 これからデックスのとこ行きます。」

 ダンジョンに入る寸前の聡太が、俺の方を向く。

 「デックス?何それ?」

 みさとは少し考え思い当たったのか、ポンと手を叩く。

 「何か出来たの?でっかい包丁?」

 「みさと、その通り。

 直ぐ行って渡してきてから、ダンジョン再開と行こう。」

 「聡ちゃん、ドワーフさんとこ行くよ。」

 ソワソワしていた聡太に、みさとが声を掛ける。

 「ドワーフ?包丁?職人居るの?」

 そうか、まだ人間種しか会ってないんだっけ。

 「居るぞ、ドワーフの職人。

 その後、巨人族のところにも行くからな。」

 「巨人族も?

 凄いね、やっぱ居るんだ!」

 早速、デックスのところに転移する。


 「デックス、来たよ。」

 「おぅ、拓海、待ってたぞ。

 刻印も、ルクラが終わらせた。」

 デックスの声に、疲れた顔のルクラもこちらに来てくれた。

 「こんなでかいものに刻印なんて、そうそうないからな。

 良い経験させてもらったよ。」

 「お疲れ様ルクラ、ありがとう。」

 「仕事だからな、お互い様だ。」

 俺がルクラを労っていると、やっと聡太に気付いたデックスが聞いてきた。

 「拓海、そっちの初顔さんは誰だい?」

 「あぁ、俺とみさとの息子で、聡太だよ。」

 俺が紹介していたのは耳に入らなかったようで、聡太はデックスとルクラをまじまじと見ている。

 「聡ちゃん、ご挨拶は?」

 「は、初めまして、聡太です。

 父と母がお世話になってます!」

 みさとに促され、やっと気付いた聡太。

 ドワーフに感激した顔だ。

 「おぅ、聡太か、宜しくな。

 俺はデックス、こっちはルクラだ。

 何か作って欲しい武器とかあれば、俺に言えよ。」

 ガッハッハと笑いながら、自己紹介するデックス。

 「武器は作らないんじゃなかったの?」

 「そうだった、武器以外で待ってるぞ、うん。」

 「武器以外って、何作るんですか?」

 俺とデックスの会話に、疑問を持った聡太。

 「今回の包丁もそうだし、斧や鋸の予定もあるぞ。

 あとは、鍋とか台所用品だったかな?」

 「そうそう、パンをスライスするための台もお願いしたよね。」

 「あんなヘンテコなもの、お前からしか注文こんわ。」

 ガッハッハと笑うデックス。

 「だが、面白い着眼点と想像力は気に入っている。

 これからも頼むぞ、拓海。」

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