お試しにも程がある 234
「そうでした、うっかり忘れるところでした。」
名残惜しそうにカップの中身を飲み、みさとに続きを促す。
「簡単なのは、チョコを固めて細かくして、四角パンの生地に混ぜ込んで焼くことかな。
あとは、ココアシート作って、マーブルにして焼くとか。
これは四角パンではなくなるけど、チョコをパン生地で包んで焼くとかね。」
「そんなにいろいろできるんだ、凄いね。
このチョコって、単体でも売れるよね?」
「勿論!
小分けにして1つずつ包むと、保存しやすいから良いかも。
あとは、アーモンドありますよね?
キャラメリゼしてからチョココーティングすると美味しいですよ。
生クリーム成分多くして、柔らかいチョコにするとか。
生クリームとかカスタードクリームに混ぜて、チョコクリームにしてもいいですよ。」
話が止まらなくなってきたみさと。
クレスタのメモが追いつくかな。
「成程成程。
先程のチョコは、一度固めて保存すると。
細かくするのは包丁で簡単にできそうだな。
パン生地に混ぜ込むのはどうやるの?」
「シート作るのは、粉の方がやりやすいかも。
強力粉…パン作るときの小麦粉と混ぜて、砂糖も足したほうが良いよね。
牛乳・バターも入れて、バターを折り込んだ時みたいに冷やして広げておく。
あとは、いつもの四角パンの生地と巻けばマーブルになります。」
「となると、粉と塊形状の両方必要ってことか。
拓海さん、さっきの手順で、魔法使った所ある?」
いきなり質問がこっちに来た。
「確か、豆を砕いたときに不要な物を取り除くのに風魔法使っただけだな。
だよね、みさと。」
「そうだね、時間かかっちゃったもんね。」
「いやいやみさとさん、大収穫ですよ!
石臼のこと、粉末の製造元に掛け合います。
若しくは新たに作ってもらえるところに持ち込んで、価格競争させるか。」
ニヤリとしたよね、クレスタ。
今の供給元が高いから、単価下げたいんだろうな。
「クレスタ、他にみさとの仕事ある?」
「あるある、聞きたいことたくさんあるよ。」
混ぜていたチョコをどうやって冷やそうか考えていたみさとは、クレスタに向く。
「四角パンと調理パンで色んな物作りたいんですよね?」
「そうそう、覚えててもらえましたか。
僕の方がチョコに夢中になっちゃいましたね、あはは。
で、何か策はありますか?」
「チョコは採用でいいの?クレスタさん。」
「使わない手はないでしょう、こんな美味しいの!
勿論採用だよ。
特に、四角パン以外の情報が欲しいかな。」
「じゃあ、さっきのパン生地で包むシリーズから。
以前伝えたカレーパンとかクリームパンと同じように、チョコパンも出来ます。
あとは、平らにしたパン生地に、チーズやソーセージ・じゃが芋とマヨネーズの組み合わせも美味しいですよ。
卵を乗せてマヨネーズと切ったソーセージ散らして焼いても良いかも。
それとね…」




