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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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233/335

お試しにも程がある 232

 「チョコとやらは見たいけど、あまり時間をかけると町おこしの話ができなくなるしな。」

 考え込んだクレスタに、俺は悪魔の囁きをした。

 「今までにない味が出せるよ。

 目玉商品になるかもね。

 因みに、カカオ豆の生産地あれば、そこでの町おこしも出来るかもよ。」

 「よし、やりましょう!

 みさとさん、豆持ってきますね。」

 クレスタは、儲かる算段ができたようだ。

 目がキラキラしている。

 「お試しなので、材料も多めにお願いしますね、クレスタさん。」

 「わかリました、倉庫見てきます!」

 直ぐに部屋を出るクレスタ。

 その間に、みさとはリュックからノートPCを取出し、検索する。

 「工程確認しとかなきゃね。」

 繋がって検索できている様子を見て、聡太が溜息をつく。

 「何でもありなの?

 俺のスマホも使えたりする?」

 「俺達は不自由なく過ごせるようにってベゼルがしてくれたからな。

 聡太も試してみれば?」

 俺の言葉に、聡太はショルダーバッグからスマホを取り出す。

 「使える…アンテナもしっかり立ってる。

 もしかして?」

 聡太は、俺達から少しずつ離れていき、部屋からも出ていった。

 暫くすると戻ってきて、頭を掻きながら報告する。

 「アンテナ塔は、父さんか母さんだね。」

 「そうなのか?考えもしなかったぞ。」

 「本人が使えるから、問題なかったんでしょ。

 俺が別のところでスマホ使えるか試したから、多分合ってるよ。

 建物出たら、電波切れた。」

 「戻ってきたら、繋がったと。」

 肯定するように、聡太は頷く。

 「どっちが電波塔かは知らんけど、俺は離れたら使えない事実がわかったからいいよ。

 因みにさぁ、父さん手を出してみて。」

 俺の手を上に向けると聡太のスマホを載せる。

 そのまま何もしないので、今度は俺が質問する。

 「これは何の実験?」

 「充電だよ。

 電池、なくなるでしょ?」

 「いつでも使えるから、なくならない仕様かと思ってたぞ。」

 「2人はそうかも知れんけどさ、俺のは減るのよ。

 やっぱね、充電されてる。

 暫く預けるね。」

 「俺、充電器ではないんだけどな。

 仕方ない、ポケットでも充電できるか試してやる。」

 「感謝感謝。

 宜しく、父さん。」

 やっと顔を上げたみさとは、大きく伸びをした。

 「ナビさんありがとう!

 助かるぅ。」

 「どうしたの、みさと?」

 「流石にさ、クレスタさんの前でノートPC出したまま作業できないでしょ?

 考えてたらさ、ナビさんが教えてくれるって言ってくれたの。

 良かった!」

 安心したみさとの顔。

 ナビさんや、みさとのナビの学習内容は共有できないかな?

 『利用者の許可があれば可能です。』

 ほうほう。

 「みさと、俺にもその情報貰っていいかな?

 ナビ同士でやり取りできそうなんだけど。」

 「そうなの?どうぞどうぞ。」

 「俺も知りたいな!」

 俺の声かけに、聡太も便乗してきた。

 「いいよ。

 3人で共有できれば、間違いなく作業できそうだしね。」

 何も疑わないみさと。

 素直は美徳だが、他の人に対しても同じだと俺が不安になる。

 そんなことを考えていた時、クレスタが大きな荷物を人を伴って運んできた。

 「お待たせしました、先ずはこれで試してもらえますか?」


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