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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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232/338

お試しにも程がある 231

 「チョコはチョコレートって言って、カカオ豆から出来る甘いものなの。

 こっちでは見かけなかったから、ないのかなと思ってたんです。

 心当たりありますか?」

 みさとからの回答に、また疑問を持つクレスタ。

 「カカオ豆?」

 「カカオの実から取出して乾燥・焙煎・細かくしてって、凄く手間がかかるものなんですよ。

 色は黒とか茶色が近いかな。」

 クレスタはみさとから聞いた内容を自分の中で反芻する。

 「もしかして、薬のこと?あの苦いやつ。」

 「知ってるの?クレスタさん。」

 「知ってるというか、合ってるかは分からないけど、気付薬とか元気の無い人に処方されるのがそんな名前だった筈。

 黒くて苦くて、あんなの飲んだらそりゃびっくりしちゃうよね。」

 俺はみさとと顔を見合わせ、頷く。

 「クレスタ、それって手に入る?」

 「できるけど。

 ちょっと待ってて。」

 席を外したクレスタは、職員に言付けて在庫を持ってくるよう指示。

 薬か、市場では気にもしなかったな。

 確かに、昔は薬として使われてたってネットで見た気がする。

 用意してもらった薬は、ほぼ黒。

 匂いは、チョコに近い。

 ナビ、どうかな?

 『マスターの認識通りのカカオに該当します。

 混ぜ物なし、100%です。』

 マジか。

 美味しくするには、砂糖とか生クリーム混ぜれば大丈夫かな?

 『その通りです。』

 キタコレ。

 「みさと、カカオだね。

 クレスタ、味見しても良いかな?」

 「良いけど、本当に苦いよ。」

 許可を得て、俺とみさとは指につけて味見。

 言われた通り苦いし、酸味もある。

 「クレスタさん、これ使ってみたいんだけど、沢山ありますか?」

 みさとの質問に、真面目な顔したクレスタが応えた。

 「あるけど、高いよ?

 作る工程が大変だから、値が張るんだ。」

 「わかりました。

 取り敢えず金貨1枚で買える分だけください。」

 即決したみさとに、笑顔で応えるクレスタ。

 「毎度ありっ!」

 直ぐに対応できる在庫はあるようだ。

 流石クレスタ、抜かりはない。

 用意された量は5kgないくらいだろうか。

 金貨1枚でこの量は、確かに高いようである。

 チョコにはできるかもしれないが、食べ物として出すには高くなるのではなかろうか。

 「クレスタさん、効率よく大量生産できれば、安くなりそうですか?」

 同じことを考えていたのか、みさとから質問が飛ぶ。

 「そうですねぇ。

 あまり使用頻度が高くないので作られないのもありますが、粒が硬くて作業自体が大変みたいですよ。

 効率よくできるかなぁ。」

 「どうやって粉にしてるんですか?」

 「すり鉢で頑張ってくれてますよ。」

 クレスタは、身振りを交えみさとに応える。

 「そりゃ大変だ。」

 俺は想像しただけで、感じたことを思わず呟いてしまった。

 「細かく砕いてから、石臼で挽くとかどうかな?」

 「石臼?

 そんなものでもてきるの?

 結構硬いよ。」

 ポンと手を叩き、みさとが提案。

 「じゃあやってみますか?

 カカオ豆あれば、焙煎から始めますけど。

 時間はかかりますよ?」

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