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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 23

 「レジアス、おはよう。」

 「おぉ拓海か、みさともすまんのぅ。」

 「おはようございます、レジアスさん。

 よろしくお願いしますね。」

 「こちらこそじゃ。

 早速じゃが、もう皆揃っておるので、そっちに向かうぞぃ。」

 階段が面倒なのか、レジアスは建物内でも転移の魔法で広場に向かう。


 着いた先では、アイシスが研修に行くと思われる人たちの対応をしている。

 気配に気付いたようで、直ぐ様レジアスの方に向く。

 「レジアス様、お待たせしました。

 準備は整っております。」

 「アイシス、ご苦労。

 では行くとするかの。」

 「レジアス様、やはり私も行っては駄目ですか?」

 「何回も説明したじゃろ。

 エルフ族の族長への挨拶もあるので、私が向かわないといけない。

 私の居ない間を任せられるのは、お前しかおらんと。」

 「光栄です、レジアス様。

 でも、族長との顔繋ぎは私の方がお役に立てると思いますが。」

 何故か俺を睨むアイシス。

 「わかっておる。

 だが、お前は1人しか居ないんじゃ。

 私は、お前に、ここを任せたいんじゃ。

 安心させてくれんかの。」

 「分身さえできれば!

 我が身の不出来をお許し下さい。」

 「何を言うか。

 信頼しておるぞ。」

 「ははっ、命を賭してこの国の安寧を死守します!」

 「帰ってきたら報告するから、ちゃんと生きて待っててくれ。

 死なれては困るでの。」

 「ありがたきお言葉っ!

 レジアス様のお帰りを、心よりお待ちしております。」

 「うむ、それでは頼むの、アイシス。

 皆も準備は良いか?」

 「「はいっ!」」

 返事は勢い良いが、緊張した面持ち。

 国外に行くこと自体が初めてとなれば、怖いよね。

 「アイシス、エルフ族の族長へは連絡してあるかの。」

 「勿論です、レジアス様。

 今回私は行かないことと、前回顔合せした拓海とみさとも行くこと、レジアス様が代表で向かわれること、後は随行者の人数も伝えてあります。」

 「では拓海、打ち合わせ通り頼むの。」

 「はい。」

 先ずはエルフ族の族長・ディグニティへ念話。

 (ご無沙汰してます、族長。)

 (拓海だね、久し振り。

 先程アイシスさんから研修に来ると聞いたが、君も来てくれるのかい?)

 (はい、伺います。

 転移しますが、何処に行けばいいですかね?)

 (私の棲家、前回会った所に来てくれないかな。)

 (わかりました。

 少ししたら向かいますね。)

 (待ってるよ。)


 確認が取れたことを、レジアスにアイコンタクトで知らせる。

 頷き返すレジアスを確認してから、転移の魔法を発動。

 範囲を示す光の輪も確認し、そのまま実行。

 後には、涙に暮れるアイシスが残っていた。


 直ぐに転移完了、周りの風景もガラッと変わる。

 にこやかなディグニティに迎えられ、エルフ領に入った実感が湧く。

 「いらっしゃい、皆さん。

 拓海、みさとも久し振り。

 貴方がレジアス殿ですか?」

 「挨拶が遅れて申し訳ない。

 私はレジアス、今回の代表になる。

 ディグニティ殿、この度は研修の受入感謝しております。」

 「いえいえ、アイシスさんの熱意に応えただけですよ。

 全てに応じられるかはわかりませんが、できる限りしますので、何かあれば言って下さいね。」

 「族長殿にそんなに下手に出られると、此方も対応に困りますな。」

 「あはは、私はこれが普通なんですよ。

 お気になさらず、自由にやって下さい。」

 「ディグニティ殿、世話になります。」

 「ゆっくり話もしたいので、研修を任せる担当呼びますよ。」

 ディグニティはそう言うと、隣の部屋から2人のエルフが入ってきた。

 「今回研修担当させる、エルテナとスタリオンです。

 どちらも魔法はかなり優秀なので、何でも聞いてほしい。」

 「どうも、エルテナでーす!

 宜しくね。」

 「スタリオンだ。」

 女性・男性の順で挨拶した。

 長い髪でハーフアップにしているエルテナと、同じく長いが三つ編みで纏めているスタリオン。

 「今回の研修の代表、レジアスじゃ。

 皆のこと、宜しく頼む。」

 「はいはーい、魔法の基本的な考え方と応用だよね。

 任せてー!」

 「承った。」

 「じゃあ二人共、頼むね。

 私はレジアス殿達と話あるから、合流は後になるよ。」

 

 賑やかに部屋を連立って出て行くと、残りはディグニティ・レジアス・俺とみさとになる。

 「じゃあ、お茶でもしようか。」

 暢気にディグニティが隣の部屋に案内し、お茶のセットも用意する。

 「今回私は貴方達に会うことを楽しみにしてたんだよ。」

 「私もですよ、ディグニティ殿。」

 「殿は辞めようか、呼び捨てでいいよ。」

 「敵いませんな。

 私のこともレジアスと呼び捨てでお願いする。」

 「ありがとう、レジアス。

 じゃあ早速だけど…」

 ディグニティの表情は変わらないのに、温度が下がったような声色になる。

 「貴方達、その魔法誰に教わった?

 神ではないかね?」

 「…よくわかるな。

 何で判断されたのじゃ?」

 「私もその昔会ってるんですよ、神に。」

 「俺とみさとは、ベゼルって人に付けてもらったよ。」

 「私もじゃ。

 元々魔法は使えたが、更に上書きで付けてもらった感じじゃ。」

 「私の神とは違うなぁ。

 ジェイドではないのか。」

 「神様も色々居るのかな?」

 「創造神か、奴等は気紛れじゃからな。

 何処で何をしとるやら。」

 「あー良かった。

 出来すぎる人が敵だったら困るからね。

 少し安心したよ。」

 元の気楽な感じに戻り、皆で笑い合う。

 「ジェイドはねぇ、良いやつなんだよ。

 私が魔法苦手なことで悩んでたら、助けてあげるよーって。

 呪文とかは教わらなかったけど、やってみ?みたいな。」

 「ベゼルもそうだよ。

 俺も何も教わってないし、みさとは剣使えるようにするねとだけ。」

 「細かい部分は気にしない奴等じゃよ、きっと。

 うちの兄貴も剣が使えるようにしてもらってるしな。」

 「そうなんだ。

 あ、他の子達には内緒ね。

 一番魔法使えるから長になった感じだし。」

 「この国全体にかけてる魔法も、それでできてるのかな?」

 「そうだね、魔力も増やしてくれたから。

 ひとりで維持は大変なんだって。

 でも他の子にも付けてなんて頼めないし。

 そもそもあれ以来会ってないからね。」

 「誰に何したかなんて、忘れてるやも知れんな。」

 「俺達はどうなんだろうな。

 帰れるようになったら連絡するとは言われてるけど。」

 「何々、拓海達は別世界から来たの?」

 「そうなんだ。

 ベゼルの手違いで来ちゃったから、こっちで不自由ないようにしてくれた。

 戻る方法、そもそもあるのかな。」

 「気長に待つしかないよね、きっと。

 私達は長命だから、何時までも付き合えるよ。」

 「そうじゃな、私ではどれくらい待てるかわからんな。」

 「いやいや、俺達が何時まで持つかも分からないんだよ?

 元の世界じゃ100年生きれば凄い方なんだし。」

「そんな短いの?」

 「私達よりも短いな。

 ただ、ベゼルに関わってから病気もせんし体調が悪くなる事も特にないでな。」

 「もしかして不老不死付けられた?」

 「忘れてた、不死付けられたわい。

 そりゃピンピンしとるわけじゃ。」

 「エルフは元々長命だから、なーんにも気にしてなかったな。」

 「俺達はどうなんだろうな。

 確認方法か。」

 ふと思い付き自分のステータス確認すると、ありました不老不死。

 びっくりしすぎて、思わず声上げてしまった。

 「不老不死あるじゃん。」

 「拓海、どうしたのじゃ?

 何かわかったのか?」

 「何々?教えてよ!

 何見てるのかな?」

 レジアスとディグニティに詰め寄られ、倒れそうになる。

 「俺は見られるけど、ステータスって皆見られるの?」

 「何じゃそれは?

 持っているスキルくらいは見えるが。

 ディグニティ、知っとるかの?」

 「いやー知らないなぁ。

 拓海しか見られないのかな?

 寧ろ私達の見られるの?」

 「やってみるよ…あー見えたね。」

 「どんなの見てるの?」

 「え、どんなのって…

 種族とか、レベルとか、名前とか。

 後は体力・魔力・属性・経験値・幸運値等々。

 あ、従魔いるの?ディグニティ。」

 「そんなことまでわかるのか。

 恐ろしいな拓海。」

 「そう思うじゃろ?

 こういう奴なんじゃよ。」

 「二人共言いたい放題だね。

 色々出来るのは認めるけど。」

 「こちらの言葉をわかるようにしたのも拓海じゃ。」

 「おや、そういうことか。

 レジアス、こっちに来るより拓海に教わったほうが良いんじゃないかい?」

 「私はそうなんじゃが、一般的な魔法として教えるのは難しいんじゃ。

 此奴、原理もわかっとらん。

 詠唱もせんから、他の者達は理解できんよ。」

 「ほぅほぅ、興味深いねぇ。」

 「元々こちらの人間でもないし、神から与えられた魔法だからじゃないの?

 考えるだけで出来ちゃうしね。

 理屈なんて俺は知らん!」

 レジアスとディグニティからの口撃に、突慳貪に応える俺。

 みさとはニコニコしながらシビックと遊んで、我関せずな感じ。

 「で、本題だけど。

 レジアスにも不老不死付いてるよ。

 ディグニティにも付いてるけど、更に長生きってことかな?」

 「ふむ、不老も付いてるのか。

 あやつは何も言っとらんかったぞ。

 いつの間に。」

 「もしかしてさぁ、ジェイド達に会うとそうなるとか?」

 「可能性はあるかもね。」

 「それなら、ホイホイは来んじゃろて。

 納得は出来るのぅ。」

 「拓海、考えるだけで出来るんだよね?

 私にもそのステータスって奴見られるようにしてよ。」

 「む、私も見たいぞ、拓海。」

 「はいはい、やってみるね。」

 他人に出来るようにするって難しいよね。

 …とか思ってたけど、なんとかなりそう。

 「何か文字見えてきたよ。

 拓海、情報あり過ぎて読むの大変なんだけど。」

 「ほぅほぅ、これがステータスってものか。

 自分のと他の者と見比べていると、恐ろしくなるのぅ。

 数値ではっきりわかるとは。」

 「へぇ、レジアス空間魔法も使えるのか。

 人間では中々居ないよね。」

 「そう言うお主は、天候も操れるのか。」

 「あはは、こんなの見られたら戦う時相手に対策取られちゃうね。

 皆には内緒かな。」

 「それが良いじゃろ。

 全員ができる必要はない。」

 2人の間で、意見が一致した。

 「二人共、ご納得頂けましたかね?」

 「ありがとう、拓海。

 素晴らしいよ!」

 「流石じゃのう。

 他にどんな魔法出来るのやら、空恐ろしいわい。」

 


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