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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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228/335

お試しにも程がある 227

 「そんなもんでしょ。

 どうせ知れ渡るんだし。」

 あっけらかんとしたジェミニの対応だが、1番はやはり特別なのかな。

 「アスコット様も、新たなダンジョンの仕掛けを気に入って下さると良いけど。」

 そこは、管理者全員が大事にしている部分のようだ。

 「定期的に報告会とかするの?」

 何気なく聞いたつもりだが、ちょっと悲しそうな顔になったジェミニ。

 「するけどね、間隔が永くて。

 前回はいつだったかなぁ。」

 そんな感じなんだ。

 「長命種の時間感覚は、よく分からないな。

 5年に一度とか10年に一度とか決まってないの?」

 「そんなこまめにはしないな。

 ダンジョンができてから何回やったっけ。」

 「えっ、そんなに少ないの?

 確か、2000年は経ってるってアスコットさん言ってた気がするけど。」 

 「そんなもんだった?

 意外に時間経ってたんだね。」

 俺は、呆気にとられた。

 死なないって、そういう感じなんだ。

 俺達も今後はこうなるのかな。

 一緒に居てくれる家族・仲間がいることは、かけがえのないことなんだな。

 「じゃあ、これからも楽しいことしないとな。」

 「そうだね、仲間が増えて嬉しいよ。」

 既に俺達は、ジェミニの中では仲間認定されているようだ。

 「それなら、あまりいっぱいの料理出しすぎると飽きられちゃうかもよ。

 一定期間で入替えしないとね。」

 みさとは、お客様目線で提案する。

 「忘れた頃にもう一度出すと、知らない人には新しいと思ってもらえるしね。」

 「成程ね、みさと凄いな。

 そういうもんなんだ。」

 「ジェミニも、俺達が来て新しいものに触れるって衝撃じゃなかった?」

 俺の質問に、ジェミニははしゃいだ様子で応える。

 「そうそう!

 知らないものに触れるって楽しいよね。」

 「人間でも同じだよ。

 新しいもの・珍しいものにはわくわくするよ。」

 「そっかぁ、一緒なんだ。

 ちょっとだけ人間に親近感が湧いたよ。

 でも、ダンジョンは手を抜かないよ。」

 「それはそれで良いんじゃないか?

 適度な難易度は必要だし。

 それはそうと、俺達は他も回らんとな。」

 ジェミニとの会話の中で、本来の目的を思い出した俺。

 「もう行くの?そっか。

 皆、色々教えてくれてありがとう。

 他も回ったら、またうちんとこにも遊びに来てね。

 待ってるよ。」

 ジェミニは晴れやかな笑顔で、応えてくれた。

 「そう言えばさ、最後まで攻略したから、入り口に戻されるまではやってないよね?

 最終層まで戻る?」

 聡太の律儀な質問が、俺とみさとに現状を思い出させてくれた。

 「そうだな、折角だから、完全制覇しようか。

 最終層に戻ろう。

 ジェミニ、何かまだあるか?」

 「何もない、戻ろうか、うちのダンジョンへ!」


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