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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 224

 「ジェミニ、揚げ出し豆腐も美味しいよ。」

 「コーンクリームコロッケも美味いよ、先ずは全部味見しないとね。」

 みさとの一言で察した聡太と俺は、ジェミニに他も進める。

 食卓で争いごとは厳禁だ。

 肉巻きおにぎりは、また取り合いになりそうではあるが。

 マヨネーズも唐辛子も用意してあるところがにくい。

 マヨネーズを知ったら、何にでもかけてみたくなるよね。

 ジェミニは、コーンクリームコロッケをフォークで刺して口に入れる。

 「ほわっ、サクサクでも柔らかくて、甘くて美味しい。

 これもいいなぁ。」

 「私は、ソースかけるのが好きだな。」

 みさともコーンクリームコロッケを皿に取り、ソースをかける。

 少々かけ過ぎに見えるが、みさとの好みには口を出さない。

 俺は醤油派だからな。

 聡太は何もかけないで、そのまま口に入れる。

 ジェミニは、三者三様の食べ方を見て、それぞれ試したくなったようだ。

 大きめの俵型を半分にして、それぞれにソースと醤油をかけて試す。

 「どっちも捨てがたいねぇ。

 そのまま食べても美味しいのに、どれで食べようか迷っちゃうよ。」

 「気が乗ったもので食べるといいんじゃない?

 何もかけてなければ、食べる人が好きなものかければいいだけだしね。」

 みさとは、今食べるだけではなく樹の実に入れた時のことも考えているようだ。

 「確かにそうだね。

 このソースと醤油は、人間は手に入れられるの?」

 ジェミニはみさとに問いかける。

 「クレスタさんとこで売ってるはず。

 お金で買えるから、ダンジョン出た後なら楽しめるね。

 流石にダンジョンにまでは持ってこないと思うけど。」

 「余分な荷物は持たないよね、きっと。」

 俺も追加情報を出す。

 「みさとみたいに、何でも取り出せるようにできないの?」

 ジェミニの疑問は、当たり前のように出てきた。

 「俺達には普通でも、他の人達には使えないんだよ。

 凄く魔法使える人ならできるけど、そこまでの人は中々居ないんだ。

 だから、そのできる人とも話して、空間魔法のことは内緒にしてあるんだ。」

 「そんなもんなんだ。

 人間て不便だなぁ。」

 「俺達は自分で言うのもなんだが、魔法は使える方なんだよ。

 俺達を基準にしたら、他の人達は大変なことになるよ。」

 「そうなの?

 まだダンジョンの魔物の調整しなくて良かった。」

 俺の言葉に、驚くジェミニ。

 自分で普通じゃないって言うのも、変な感じだな。

 「そうそう、アスコットさんも、君達精霊なら人間は敵わないって言ってたしね。

 差があるのは当然じゃないかな。」

 「ホント?

 アスコット様、そんな風に仰ってたの?

 嬉しいなぁ、うちらも頑張らないと。」

 俺の追加の一言で、喜ぶジェミニ。

 その勢いで肉巻きおにぎりも味見。

 「美味!これ好き!

 これも沢山食べたい…じゃなかった、樹の実に入れたいな!」

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