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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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221/335

お試しにも程がある 220

 「これで終わりかな?」

 シビックと共に大きな魔物を倒した聡太は、問題の立札を発見。

 『宝箱を開けよ』

 立札の前には、3つの宝箱がある。

 「俺選んでいいの?」

 「勿論だ、好きなの選べ。」

 「私達何もしてないもんね。」

 俺とみさとの応えに、聡太は真ん中の箱を開ける。

 中身は、羽根ペン。

 取出してみたが、まだ消えない。

 「他に何か入ってるんじゃないか?」

 「何もないよ、父さん。」

 「ねぇねぇたっくん、他の箱も開けてみちゃう?」

 みさとのわくわくした顔を見たら、頷くしかない。

 「開けるか。

 みさと、どっちが良い?」

 「じゃあこっち!」

 みさとは近くにあった箱を指した。

 残りを俺が開けるとしよう。

 「「せーの!」」

 2人で同時に開ける。

 みさとにはノート、俺には文鎮?

 3人共中身を手に持ったところで、ジェミニが現れた。

 「おめでとう、うちのダンジョン攻略するとは、やるねぇ。

 どう、面白かったでしょ?」

 「体力使った後に集中力使う頭脳問題とは、ずるいというかなんというか。

 でも、面白い発想だよな、聡太。」

 「面白いけどさぁ、解いてる俺の身にもなってよね。

 大学以来だよ、こんな問題。」

 「君凄いよね、スラスラ解いてたし。

 未だ嘗て人間では解けない問題ばかりだったのに。」

 ジェミニは聡太に興味を持ったようだ。

 「あはは、それなりに大変だったよ。

 こっちには学校無いのかな。」

 「多分だけどさ、冒険者がそこまでの学術を修めてないだけで、学校自体はあるんじゃない?」

 「その辺りは、帰ってレジアスに聞こう。」

 みさとの意見が濃厚だと俺も思うが、決めつけず知ってる人に聞こう。

 「でさ、僕に問題出してくれるんでしょ?

 僕が答えられなかったら、その3つの使い方教えるからね。」

 満面の笑みで、自信満々で聞いてくるジェミニ。

 こいつ、教える気ないな。

 「じゃあ、聡太の誕生日はいつ?」

 俺の問題に狼狽えるジェミニ。

 「え、誕生日?

 人間て覚えてるの?そんなこと。

 知らないよ…てかさ、それ問題なの?」

 「ギブアップで良いのかな?」

 「良いよ、わからないもん。」

 「正解は、3/19。

 ジェミニは、自分の誕生日覚えてないの?」

 「覚えてないよ。

 というか知らないし。」

 「そういうもんなのか。

 精霊だから、誰かから生まれたって訳でもないのかな?」

 「そんなところかもね。

 いつの間にかいた感じ?」

 そんな俺とジェミニの会話の間に、みさとと聡太は違う話をしていた。

 「聡ちゃんは何か問題思いついてたの?」

 「数学の世界三大難問!

 どれか1つでもわかったら凄いなと思ってさ。」

 「んー、確かにね。

 最終問題で出なくて良かったね。」

 「確かにね。」

 あははと2人で笑い合っていた。

 「さて、じゃあその3つの使い方、教えるね。

 先ずは羽根ペン。

 考えたことを自動筆記してくれたり、回答を勝手に出してくれる。

 今回みたいな問題も、対応してるよ。

 知らないことは書いてくれないけどね。

 次にノート。

 書ける部分がなくならないようになってる。

 書いたら書いた分だけページは増えるけど、閉じたら元のノートの厚さしかないんだ。

 1ページ分を切っても、減らないよ。

 最後に文鎮。

 何でも押さえておける。

 例えば、人でも影でも物体でも。

 強い風や重いものでも、動かなくなるよう考えて置いたものが動かなくなるよ。

 どうかな。」

 ジェミニの説明を聞いて、それぞれの手にある物を眺め始めた。

 「この羽根ペン、凄いなぁ。

 会社の書類も書いてくれるかな。」

 「レシピいっぱい書き留められるのは、嬉しいかも。」

 「動かなくなるのか。

 使い道考えないと、危険かも。

 ジェミニ、ありがとう。

 大事にするよ。」

 「なんのなんの、攻略ボーナスだからね。

 そうそう、人間では創り出せない物ばかりの筈だから、扱いは気を付けてよ。

 大丈夫だとは思うけど。」

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