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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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214/335

お試しにも程がある 213

 「あった!」

 聡太は先程のように凍らせてから実を取る。

 バッグに入れてから開けて、中のスプーンだけ取り出す。

 因みに今回はパスタだった。

 蓋をしてそのまま地面に置いたところ、少ししたら触手が生えてきた。

 聡太の足に絡みつこうとする。

 「聡太、交代しようか。

 最後にどうなるかをみたい。」

 「わかった、父さん。」

 場所を交換すると、近くの足に絡みつこうとするようで、俺の足に絡みついた。

 絡みつくだけではあるが、どんどん上にも侵食してくる。

 片足だけでなく、胴体・もう片方の足にも絡みだし上半身も緑になるところだった。

 「だった」で済んだのは、みさとが剣を抜いたから。

 俺は樹の実しか見ていなかったが、みさとはいつの間にか出した剣で触手だけ綺麗に切った。

 これは危険だ。

 「たっくん、大丈夫?」

 俺が実験したいと言っていたから我慢していたようだが、みさとはお怒りモードだ。

 静かな声が物語っている。

 「うん、ありがとうみさと、助かったよ。

 実験はこれで終わりにしよう。」

 「もう、こうなるって想像してたでしょ!

 これだからたっくんは。」

 「ごめんて、試さないとわからないからしょうがないじゃん。

 もうしないからさ、ね?

 みさとのお陰で実験成功、冒険者ギルドにも報告できるよ。」

 「次やったらほんとに怒るからね!」

 プンプンしているみさとを、俺が宥める。

 傍から見ていた聡太とシビックは、コソコソ話をしていた。

 「何処の浮気男の言い訳だろうね、あれ。」

 「拓海はまた実験するでしょ、きっと。」

 「シビック、わかってるじゃん。」

 「みさとに怒られるのもわかってんのにね。」

 そんな会話どうでもいいから、助けてほしいんだけど?

 「み、みさと、実験終わったからさ、中身食べよう、ね?」

 「しょうがないな、騙されてあげよう。

 今回だけだからね?」

 中身はパスタとわかっているので、みさとはフォークを取出した。

 4つ出して、皆で味見。

 「ペペロンチーノっぽい、美味しいね。」

 「ナポリタンとかきのこのパスタも出したから、何が出るかは運次第だね。」

 「ちょっと量少ないな。」

 「シビック、味見だよ味見。

 ところで母さん、ホントに剣使えるんだね。

 びっくりだよ。」

 順番に食べる中で、味以外の意見を出した聡太。

 「だから言ったでしょ?

 ちゃんと強いんだって。」

 「強いかどうかは知らんけど、使いこなしてる感じするね。」

 「やっと分かったか、聡ちゃん。」

 フフンと仁王立ちするみさと。

 微笑ましい感じで見てる聡太。

 どっちが大人やら。

 俺はふと思った。

 「ねぇ、食べ残したらどうなるんだろう?」

 「実験するの?さっき終わりって言ったよね?」

 「いやほらね、他の冒険者がそうしたら危ないかもしれないじゃん。

 俺達の方がまだいいでしょ?

 絡みついてくるかどうかだけ見たら終わりにしよう。

 その後は、みさとに助けてもらおうかな、ね?」

 ジト目で見てくるみさとに、説明する俺。

 「言い訳がましいこと言ってるけど、結局実験したいんだよね。」

 「拓海だしね、わかってたよ。」

 「お前達、全部聞こえてるからな。

 頼むから援護して!」


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