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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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209/335

お試しにも程がある 208

 「たっくん、温め宜しくね。」

 リュックからカレーの寸胴とご飯の鍋・唐揚げ・メンチと次々に出す。

 「おっけー、任せろ。」

 その間に、みさとは食器とソース・醤油も出す。

 「もう熱いから気を付けてね。」

 「はーい。」

 鍋を触ろうとしていたみさとに、声を掛ける。

 「僕ね、大盛り!

 唐揚げもメンチも食べる。」

 「母さんのカレー久し振りだな。

 俺も全部乗せで。」

 みさとが盛り付けの間に、俺はレジャーシート代わりに毛布を出す。

 その上に座ると、聡太もシビックも座りだした。

 「何でも入ってるね。」

 「便利だろ?

 俺のウエストポーチとみさとのリュックで中身繋がるようにしてあるから、お互い取り出せるしな。」

 「へぇ。

 俺のはショルダーバッグと机の抽斗繋げたけど、ポッケと繋ぐのも面白いかもね。

 手品とか言いつつ魔法っていうね。」

 おどけながら言う聡太に、普通に応える俺。

 「レジアスも魔王様も、ポッケとかローブの袖口とか、そんなとこも色々入るようにしてるよ。」

 「本気で?もうやってたのか。

 じゃあどの服に付けようか考えなきゃ。」

 「取り敢えずジーンズのポッケからで良いんじゃない?」

 カレーを盛った皿を持ってきたみさとが、聡太に声を掛ける。

 「そうなんだけどさ、会社でも使えるように背広に付けようかなとか考えるじゃん。

 会社の机の抽斗に操作はできないし。」

 「自分のじゃないからな、そこはやめとけ。

 誰が触るかわからんし。」

 会社の机か。

 大人になったなと思う反面、やろうとしてることは子供だな。

 全員分揃ったところで、美味しくカレーを頂く。


 「何あれ、危険なダンジョンで食事してる?

 頭おかしいんじゃない?」

 「それより、何処から出したんだろう。

 魔法使えるんだっけ?」

 「美味そうだよな、俺も食べてこようかな。」

 自分のダンジョンではないが、監視をしていたアスカは呆れた声を出す。

 フィリーは素朴な疑問を抱き、モコはご飯に興味津々。

 「仕事もそれくらい興味持って欲しいわね、モコ。

 でもまぁ、食べたこと無いものは興味を唆るわね。」

 「うちらも行っちゃう?」

 フローリアンの意見に、ジェミニも乗ってきた。

 「ちょっと、何言ってんの。

 駄目に決まってんでしょ!」

 「俺は行っても良いぞ。

 あのドラゴンにも興味あるしな。」

 アスカとロデオの言い合いはさっぱり無視されて、フローリアンは全員で移動した。


 「うわぁ、誰?何?」

 転移に気付いた聡太は、そちらに目線を向けた。

 俺と言うか、恐らくシビックの背後辺りに出てきた感じ。

 「先日以来ですわね、アスコット様のお客様。

 ダンジョンでする食事に興味がありまして、お相伴させて頂きたいですわ。」

 フローリアンがにこやかに声をかける。

 「えっと、名前はごめんなさいわからないけど、ダンジョンの管理者さん達かな?

 まだあるから一緒に食べましょうか。」

 「みさと、こんなの相手にしなくてもいいんだよ。」

 「無条件で受入れるのはみさとの美徳だけど、裏がないかは確かめようか。」

 みさとの対応に、シビックと俺はストップをかける。

 「うちらは食べ物に興味があったのさ。

 君達を追い出そうとか考えてないよ。」

 「美味しそうに食べてるから、気になったんだ。」

 「俺は、そのドラゴンに興味がある。」

 ジェミニ・モコ・ロデオは、自分の意見を口にする。

 「私は、連れてこられたのよ。

 でも、皆が食べるなら一緒に食べようかしら。」

 「アスカは興味ないふりしちゃって。

 僕は、空間魔法だと思うけど何処から出したかカラクリが気になった。」

 フィリーに図星を突かれて、顔を真っ赤にするアスカ。

 フローリアンも、自分の意見を言う。

 「アスコット様が、ダンジョンにあまり人が来ないことを懸念されてるようなので、集める方法の模索したいの。

 どうかしら。」

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