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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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206/335

お試しにも程がある 205

 「その手があったか。」

 俺が思いつかない方法で聡太が身につけたので、驚いた。

 小さくして。指輪にしたのだ。

 「どうかな、良い感じじゃん?」

 サイズを思い通りに変更して、満足した様子の聡太。

 「傷が付かないように魔法をかけて、序になくしても戻ってくるようにすればいいかな。」

 そこ大事。

 「聡太は魔法使い慣れてるな。」

 感心したように、シビックが呟く。

 「んー、こうなったらいいなを考えただけだよ。

 こんな大事なもの貰って、なくしても困るじゃん。

 綺麗だから傷つけたくないしね。」

 「想像力ってやつか。」

 何故かドヤ顔のシビック。

 「そんな感じかな。

 父さん、帰ったら試してみてね。

 俺からもやってみるけど。」

 「わかった、変なタイミングだったらごめんな。」

 「そんなタイミングにしなきゃいいじゃん。」

 「そこが実験なんだよ。

 こっちに来るのに、転移した同じ時間から始まるんだ。

 お前はこっちで生活してて、その時間動くだろ?

 時間が移動した先でも、念話できるか知りたいんだ。

 できれば転移もな。」

 聞いていたみさとは、ポカンと口を開けている。

 「たっくん、そんなこと考えてたの?

 凄いねぇ。」

 「そりゃ考えるよ。

 聡太に何かあった時に、その時点に飛べないと困るだろ。」

 「そっか。」

 「こっちと向こうの時間経過の動きも知りたいしね。」

 「そんなに違うの?」

 不思議そうに聡太が尋ねる。

 「正直わからん。

 だって俺達、1年以上向こうに居るし。」

 「そうだったの?知らなかった。」

 「お前にはついさっき帰った感じかもしれんが、俺達向こうに帰ってから半月は経過してんだよ。

 凄くない?」

 「びっくりだわ。

 アニメとかだとさ、こっちもあっちも時間経過してる感じ。

 実験だね、父さん。」

 「そうだ、だからこその実験だ。

 理解が早くて助かるよ。」

 俺と聡太で見つめ合い、お互いが理解できた顔だ。

 「何なのこの親子。」

 みさとは呆れて入ってこない。

 「みさとも聡太の親じゃないの?」

 「シビック、あの間に今は入りたくないの。」

 「ふーん。」

 笑い合う俺と聡太を、みさととシビックは冷めた目で見ていた。

 「じゃ、用事も済んだし帰るか。」

 「何か持って帰るものあるかな。」

 「今回は特にないな。

 久し振りに仕事したいなら、明日帰る?」

 「私の予定は在宅だったはず。」

 みさとはスマホのスケジュールを見ながら、うんうんと応える。

 「俺はずっと在宅だから大丈夫だけどね。

 シビックは、ちょっと静かにしててね。」

 「おやつあれば静かにしてるよ。」

 「おやつ仕入れてく?

 なんかさぁ、仕事思い出せるかなぁって感じだよね。」

 「1年以上やってないもんね。」

 俺とみさとで笑い合うと、聡太は呆れた顔で呟いた。

 「本当に仕事してないんだ。

 向こうの方が楽しいんじゃない?」

 「そうだな。

 ダンジョン攻略したり、ギルドの依頼熟したり、レジアスの要望に応えたり。

 なんだかんだやることあるね。」

 「ご近所さんとか知り合いも増えたしね。」

 「うわ、楽しそう。

 やっぱり俺もそっちに行きたいわ。」

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