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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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204/335

お試しにも程がある 203

 「お疲れ、アスコット。

 ケーキもなくなったし、帰ろうか。」

 話を聞きながら、1人でケーキを食べていたベゼル。

 ポテトチップが終わってしまったシビックも同意見のようだ。

 「そうだな、拓海達も帰るでよいか?」

 アスコットは、俺達に声をかけてくれた。

 「そうですね、帰りましょうか。」

 「では皆、何かあればまた連絡するように。」

 突然来てあっという間に居なくなったアスコット。

 残った管理者達は、ほっと一安心。

 「無事に終わって良かった。

 いきなり来るから、ほんとびっくりだよね。」

 ジェミニは立ち上がり、首と肩を回す。

 「なんなのよあいつ、しかもアスコット様と一緒に来るなんて!

 人間のくせに何様よ!」

 「アスカ、落ち着いて。

 アスコット様の判断が下った以上は、それに従うのみ。

 私のダンジョン攻略できるか、楽しみだわ。」

 フローリアンは、とても楽しそうな顔をしている。

 「俺んとこも早く来てほしいな。

 どんな強いやつか、試してやる。」

 ロデオは、拳を掌に当てて意気込む。

 「頭悪いやつじゃないと良いね。

 うちんとこは攻略出来ないよ。」

 キャハハと笑うジェミニ。

 「もしかして、僕のとこもう一回来るのかな。」

 不安そうなフィリー。

 「そのうち来るんじゃないの?」

 関心無さそうなモコ。

 皆、宣伝で来場者が増えるのは楽しみだが、攻略をさせるつもりはあるやらないやら。


 取り敢えず家に戻ってきた俺達。

 「あー疲れた、堅苦しい話し方苦手なのよね。

 みさとちゃん、お茶貰ってもいいかしら?」

 部下の前から解放されたアスコットは、テーブルではなくソファに寝転がっている。

 「はーい、一緒にプリンも出しますね。」

 「みさと、僕にも頂戴、2個ね。」

 「僕、ドーナツがいいなぁ。」

 ベゼルもシビックも、皆好き放題である。

 みさとは、ニコニコしながら甘い物を大量に出した。

 プリン・ドーナツ・アップルパイ・アイスクリーム・みたらしとあん団子。

 しょっぱいもの系は、ポテトチップ・ポテトフライ・チーズせんべい・ピザトースト・サンドイッチ。

 お茶も予備のポット用意して、皆でテーブルを囲む。

 「さぁ、好きなものどーぞ!」

 「みさとちゃん凄いわね。

 シビック、いつもこんな美味しいもの食べてんの?」

 「そうだよ、美味しいの食べたいから小さくなって一緒に居るんだ。

 大きい僕を知ってても、一緒にいてくれるんだ。」

 嬉しそうなシビックを見て、一瞬考え込んだが笑顔で応えるアスコット。

 「それはよかった。

 ねぇみさとちゃん、拓海くん、私もたまに来ていいかな。

 ダンジョンの話もしたいし。」

 「勿論どうぞ、お待ちしてますよ。」

 俺とみさとは、快諾した。

 「僕もいいでしょ?」

 「お前は勝手に来るだろ?

 でもまぁ、何かあったら俺からも連絡するようにするよ。

 していいって了解も貰ったし。」

 「あはは。

 てかさ、以前渡した王冠あるだろ?

 あれで通話できるって言わなかった?」

 プリン1個目は完食し、2個目に手を出すベゼル。

 「確かに言われたけど。

 え、オデッセイ様とだけでなくて誰にでも出来るの?」

 「知ってる人ならほぼほぼ出来るよ。

 後で僕に試してみてね。」

 当たり前の事を話しているので、プリンを食べる手は止まらない。

 お前は当たり前かもしれないが、俺にはびっくりだよ。

 「それならそうと、渡す時言ってほしかったよね。

 あれ?通話できるってオデッセイ様から聞いた気がするんだけどな、ベゼル?」

 「あれ、僕言わなかったっけ?

 まぁ聞いたならいいじゃん。

 結果オーライ。」

 プリンを食べ終わり、どれに手を出そうか物色中のベゼル。

 シビックの食べていたドーナツにしたようだ。

 「私にも連絡取れるはずだよ。

 後で試してみてほしいな。」

 アイスクリームを添えたアップルパイを楽しむアスコット。

 「はい、試させていただきますので、宜しくお願いします。」

 俺はポテトフライをつまみつつ、会話を続ける。

 みさとは、みたらしとあん団子を交互に楽しんでいる。

 「美味しいって幸せだなぁ。」


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