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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 2

 「ホントに入ったね。」

 「魔法効いてたみたいだな。」

 「魔法凄いね。」

 「じゃあ取出して、変形してないか確かめよう。」

 「ちょっと待って、お腹空いたってさっき言ったよね?」

 「出して確かめたらすぐ行くから。」

 「しょうがないなぁ。」

 「よっと。」

 「何か今のたっくん、秘密道具出す猫型ロボットみたいだったよ!プププ。」

 「猫じゃねーし!

形は変わってないな。お、エンジンかかる。一周りしてくるか。」

 「ゴメンナサイお腹空いてます早く行こう!」

 「わかったわかった。相変わらず食いしんぼだな。」

 「どこにいても変わらないでしょ?」

 「しまうのも楽だな。お待たせ、行こう。」

 「すぐに着く魔法とかないの?」

 「それ位は歩こうか。」

 「ショボン。」


 なだらかな丘を下ると、小ぢんまりした門に辿り着いた。そこそこの大きさの街のようだ。

 「文字読めるし、会話もわかるね!」

 「そうだな。人種の街みたいで良かった。他所者には見えないだろう。」

 「えっと、ご飯屋さんは…あれだ!ナビで見てたやつ。」

 「そんなの見てたの?」

 「情報収集は基本です。美味しいご飯あるかなぁ。」

 「ご飯の為なら迷子にならないんだなみさとは。」

 「フフリ。」

 「褒めてねーし!」

 そうこう言いつつ、中に入った。

 夕飯前の時間なのか、まだ外は明るいが多くの客で賑わっていた。客が多い所は、美味しいご飯が期待できる。空いているテーブル席を見つけ座ると、すぐさま注文を取りに店員がやってきた。

 「いらっしゃいませ、何にしましょう?」

 「注文の前に、手持ちが金貨1枚だけど、食事できる?」

 「金貨⁉どれだけ食べるつもりですか?」

 「普通に二人分の食事と飲み物欲しいだけだけど。少ないのかな?」

 「お客様、お釣りに困るんですがもう少し小さい銀貨とか銅貨とかありませんか?」

 「申し訳ない。この辺り来るの初めてで、通貨がよくわからないんだ。教えてもらえる?」

 「いいですよ。まず、金貨1枚で銀貨100枚。銀貨1枚で銅貨100枚。銀貨も銅貨も、1/25/50の硬貨があります。ここからが問題でして、家で出しているものは飲み物は銅貨2〜6枚、食事も3〜8枚、上で宿屋もやってますが1泊銀貨1枚と庶民価格なんですよ。お客様達では見たところ頑張っても銅貨30枚でお釣りが来ますよ。そうなると、お返しするお釣りを集めるのに時間がかかります。」

 「なるほど、ありがとう。

 じゃあ、ここにいるお客さんの支払いも一緒にしよう。店員さん達も食べてね。それと5日位宿屋に泊まるのはどうかな?50銀貨位になるかな?」

 「ありがとうございます!50銀貨でもお釣り出ますよ。 

 皆さ〜ん、今日はこの方の奢りだそうですよ!沢山食べてくださいね。」

 「やったー!」

 「ごちそうさま!」

 「親父。もう一杯追加だ!つまみも出せ!」

 一気に賑やかになった店内。無事に食事にありつけそうで何よりだ。店自慢のメニューとドリンク、副菜もいくつか注文し、ゆっくり待つ。

 「何が出てくるかなぁ、美味しいといいね!」

 「食べられればいいよ。」

 「そんな事言って!たっくんのも美味しそうなら一口頂戴ね。」


 店の片隅で盗賊ABCがコソコソ話をしていた。

 「いい時に居合わせたぜ。彼奴等金持ってそうだな。」

 「価値がわからないなら代わりに使ってやろうぜ。」

 「いつもの様に盗賊Aが眠り薬入りの酒飲ませて、盗賊Bが変身して盗みに入る手順で行くぞ。俺は見張り役だ。」

 「わかった。行ってくるぜ。」


 「よう、あんたが奢ってくれたんだってな。頂いてるぜ。旨い酒持ってきたから、飲んでみろよ。」

 「わーい、ありがとう!」

 ゴクゴク、ピコーン。

 (ん?何だこの音。美味しいからいっか。)

 「俺はいいや。食事したいし。」

 「そうか?じゃあ姉ちゃんもう一杯!」

 「いただきまーす!美味しいねこのジュース。」

 またピコーン。何だろうと思ってる内に食事が来たので、男は離れて行った。


 「上手く行ったぜ。男の方は飲まなかったけど、一人ならどうにでもなるからな。ここに泊まるって言ってたから、時間見計らって決行だ。」

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