お試しにも程がある 198
「アスコット、近いよ、笑顔が怖いよ。」
美人に凄まれ、タジタジとなって後退りするジェイド。
「そうか、ベゼルか。
あいつが絡むと碌な事がない。」
「まだ確定じゃないからな、可能性の1つとしてだよ、ね!」
引き留めようとしたジェイドの声は届かず、アスコットは立ち上がりベゼルの元に向かった。
「ベゼルくーん、ちょっといい?」
「何?面白いことでもあったの?アスコット。」
「んー、私としては面白くないんだけどね。
君さぁ、こっちに人間連れてきたんだって?」
「あぁ、あの子達のことね。
結果的にそうなっただけで、意図して連れてきたわけではないよ。」
「それはどうでもいいんだけどさ。
しかも、結構な能力も付けてあげたとか。」
「そこそこだよ、そこそこ。」
「序に宝剣持ってたりする?」
「持っててもおかしくないんじゃない?
オデッセイ様から贈り物されてたし。」
「嘘でしょ?オデッセイ様直々に?」
「うん、僕が経由したけど、お礼だってさ。」
「じゃあ伺いますが、その子達ダンジョン攻略してる?」
「ちょっと聞いてみるね、待ってて。」
その場から、ベゼルは消えた。
「拓海・みさと、久し振り。
元気してた?」
「うわぁベゼルか、びっくりした。
うん、元気だよ、どうしたの?」
いきなり現れたベゼルに、俺は驚いた。
デックスもこんな気分だったのかな。
「いやね、知り合いから君達のこと聞かれてさ。
最近ダンジョン攻略してる?」
「うん、してるしてる。」
「オデッセイ様から貰った剣でね、魔物倒してるの!
一緒に行く?」
久し振りに合ったベゼルに、みさとも話に加わる。
「遠慮しとくよ。
事実確認したかっただけなんだ。
拓海さぁ、質問増えたら念話で聞くけど良い?」
「良いよ。
俺からも何かあったら、声かけても良いのかな?」
「勿論良いよ、待ってるね。」
そう言うと手を振り、消えたベゼル。
「何だったんだろうな、あれ。」
俺とみさとは、肩を竦め顔を見合わせた。
「ただいまアスコット。
攻略楽しんでるって。」
「じゃあやっぱりお前が元凶か!」
ベゼルの報告に、憤るアスコット。
「え、怒ってる?何が問題なの?僕関係ないよ?」
「お前が呼んだあの人間で困ってたら、お前の責任じゃないのかな?ん?」
「曲解だな、それは。
取り敢えず何があったか話してよ。
相談乗れたら乗るよ。」
「ダンジョンの管理者から、苦情が入りました。
もうダンジョンに入れたくないそうです。
これに関して、何か心当たりはありませんかね?」
淡々と語るアスコットだが、怒りを隠しきれてない。
「それだけ?何が嫌なの?何されたの?」
「それを聞きたいのはこっちよ。
大人しい精霊が嫌がるって何したの!」
腕組みして考えるベゼル。
「面倒だから、一緒に出掛けない?」
「何処へ?」
「問題の人間のところさ。」




