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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 196

 「追い出したけど、これで良かったのかな。」

 オッティのダンジョン管理者・フィリーが呟く。

 「良くやったわ、フィリー。

 あいつ等、本当に厄介なのよ。

 私のダンジョンの壁壊すとか、あり得ない発想でしょ?」

 インフィニティのダンジョン管理者・アスカは、まだ怒っている。

 「僕は何もしなかったし、何事もなく終わらせていったよ。

 てか攻略速かったよね。」

 バサラのダンジョン担当・モコは、面倒くさそうに話す。


 ダンジョン自体は距離を保って設置されているが、裏側は1つの空間に繋がっている。

 そんな空間で、茶飲み話の如く会話されていた。


 「また来るわよ、あいつ等の事だから。

 私のダンジョン、2回も攻略されたのよ。

 一緒にいる天界の住人も、大人しくないし。」

 「へぇ、そんなの居るんだ。

 侮れないな。

 俺んとこにも来るかな、魔物とどっちが強いかな。」

 「ふむ、うちのダンジョンでもお手並み拝見といくかな。」

 アスカの一言に、プリメーラのダンジョン管理者・ロデオと、フーガのダンジョン管理者・ジェミニが楽しそうに応える。

 「大口叩いてるだけかもしれないけど、オデッセイ様と知り合いって言われたわ。

 人間と一緒にいるだけでも怪しいのに、そんな凄い方の名前出されたら私だって怯むわよ!」

 「別に関わらなきゃいいだけじゃん。

 僕みたいにさぁ。」

 「だって、ダンジョン壊されたのよ、しかも宝剣で!」

 アスカとモコの会話で、宝剣と出た途端に皆しーんとなった。

 「アスカ、宝剣って。

 入ってきた者たちは、勇者か何か?」

 「俺、実物見たことないんだけど。

 わかるもんか?」

 ジェミニとロデオの質問は最もである。

 そう思ったからこそ、アスカは応えた。

 「勇者ではないわ、本人がただの冒険者って言ってたし。

 あんなお気楽な勇者がいてたまるもんですか。

 宝剣は、見たら分かるわよ。

 圧倒的な存在感だから。

 フィリーとモコは感じなかった?」

 「僕のとこでは、途中退場させるまでは使ってなかったんじゃないかな。

 それでも魔物を倒すの簡単そうだったけどね。」

 「僕も、特に感じなかった。

 あんま見てないけどね。」

 アスカに言われてたから念の為見てたフィリーと、特に関心も持たなかったモコはわからなかったようだ。

 「俺んとこ来たら、魔物強いから宝剣出さないと攻略できんと思うぞ、ふふふ。」

 「じゃあ宝剣チェックは、ロデオに任せるよ。

 うちはどんな人間かをみてみたいなぁ。

 早く来ないかなぁ。」

 ロデオもジェミニも、違う楽しみを見出したようだ。

 「私は思うのですが、持っているだけで宝剣の存在感わかるなら、ダンジョンに入ってきた時に分かるのではないですか?

 そもそも、何本も帯剣して来る者も居ないでしょうし。」

 おっとりとした口調のセフィーロのダンジョン管理者・フローリアンは、疑問を口にする。

 皆その通りかもと思ったようで、顔を見合わせている。

 ただ、実物を見ているアスカは違った。

 「気にしていたら気付いたかもしれない。

 実際近くに寄ったら、凄い存在感を感じたわ。

 アスコット様みたいに、凄い人が凄いもの持ってたら違うかもしれないけど。

 まさかそんなもの持ってるとは思いもしなかったから調べもしなかったわよ、ごめんなさいね!」

 短気なアスカは、おおらかなフローリアンになにかと突っかかる。

 フローリアンは悪気が無くて言ってるのが分かるものだから、余計に腹が立つようだ。

 そんなアスカの様子を見て、フローリアンは特に何も感じなかったらしく、淡々と必要なことを言った。

 「じゃあ念の為、私達の上司・アスコット様に報告しないとかしらねぇ。

 宝剣持ってるらしい冒険者が、全ダンジョン攻略しちゃうかもって。

 誰から報告する?」


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