お試しにも程がある 195
「ここも広いね。
たっくん、どんどん進むよ。」
ここはダンジョン、オッティに来た本来の目的地。
昨日はパンにかかりきりだったので、日を改めて入っている。
一応地元の冒険者ギルドにも確認取って、入ってきた。
先頭はみさと、後ろから俺とシビックで、ドロップを自動で拾う袋も用意。
「バサラのダンジョンも広かったから、普通はこんなもんなのかな。」
「あそこももう1回行かないとね。」
会話をしながらも、みさとは出て来た魔物をどんどん倒していく。
「出てくる魔物は同じような感じなのに、なんで首都だけ賑わうんだろうね。」
「首都だから?
周りにあるものが結構違う気がする。
快適なところでしたいのは、皆一緒だよ。」
「競争率低ければ収入多くなるのにね。
勿体ないなぁ。」
ダンジョンがある地方はそれなりに活気はあるが、首都ほど何でも揃っているわけではない。
みさとの言う通り、来る人少なければ入った時の収入は多くなる。
しかも、転移装置出来たから来やすいはず。
「バサラもそうだけど、分かりづらいところにあるよね。」
「そうだな。
だから冒険者ギルドで、着くまで1週間とか言われるんだよ。」
「車で来たら直線で早かったよね、たっくん。」
「ナビと脳内マップもあるしな。
そう考えると、1週間かけて来て、ダンジョン潜って、元気があるうちに帰ろうと思うとそんなに進めないか。」
「そっか、たっくんのおかげで楽ちんだったんだ。
ありがとね。」
「いやいや、簡単に来られたからって、倒せるとは限らないんだからね?
倒してるのみさとじゃん。」
「たっくんも遊ぶ?
シビックも暇そうかな?」
遊ぶかだって、命かかってる冒険者達には聞かせられんなぁ。
「威力出る魔法使うとさ、また壊すなって言われそうじゃん?」
「あ、居たねぇ。
また来るのかな、あの子。」
「流石に来ないでしょ、うん。
ほら、バサラも居なかったじゃん?」
「壊してないから出てこなかったとか?
あえて壊すつもりもないけどね。」
「そうだよ、粛々と攻略進めようか。」
態々藪をつついて蛇を出すようなことはするまい。
いつの間にか、広い部屋に出た。
ラスボス感はないから、中ボスクラスかな。
中程まで進むと、扉が閉まった。
かなり大きな蛇と、それと比べて小さめの鼠(俺達よりは大きいが)らしきモノがわらわら出てくる。
みさとは鼠達から倒し、大きい蛇へと向かう。
固そうに見えるが、みさとは難なく打ち倒す。
宝剣を出すまでも無かったようだ。
「お疲れ様みさと。
剣にオーラ纏わせてるのは、何かの技?」
「ん?何のこと?」
「いや、忘れて。」
無意識にできてるのか、恐ろしい。
雑魚にはしてないが、ここぞという大物にはそうしているように見えた。
以前からそうだったから聞いてみたけど、みさとだからなぁ。
「大きいから切れるかなぁって思ってたくらいだけど。
倒せて良かった。」
にっこりするみさとに、なんと返したものか。
ドロップを拾い、宝箱も開けると、入り口に戻ってしまった。
「あれ?ラスボスだった?」
「呆気なかったな。
そうなると、少し小さめダンジョンかな。」
みさとの意見に俺が同意すると、シビックだけは違う意見だった。
「ここの主に追い出されたね。
攻略されたくなかったのかなぁ。」
「え、そんなこと分かるの?シビック。」
驚いたみさとは、シビックに問いかける。
俺はナビに確認。
もっと下まであったのかな?
『はい、三分の二程度のところで終了しました。』
ナビの出した脳内地図で、未踏破部分を確認。
「後三分の一くらいか、残念だな。」
「えー、もう1回行こうよ。」
みさとの意見も最もではあるが、同じように放り出される可能性もある。
「どうなるかは僕わからないけど、最後まで進めるかは主次第じゃない?」
「主か管理者かは知らないけど、強制退場は困るよね。
どうしたもんか。」




