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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 193

 「やってみよう。

 ラスクってやつも楽しみだ。」

 プラッツはどんどん前向きになってきた。

 まぁ、試さないとわからないよね。

 みさとはまだ何も挟んでいないパンの耳を先に切り落とした。

 耳がなくなったパンで、同じようにサンドイッチを作って包む。

 残った耳と大きな端(4等分にしてある)を天板に載せて、砂糖を振って釜に入れる。

 暫くして甘い香りが立ち、出してみる。

 全体的に色がつき、硬くなっている。

 冷ましてから味見してもらうと、サクッとした食感。

 「パンだよね?

 他の硬いパンとも違う食感。」

 「美味しい。

 袋に一纏めにしたら、おやつで売れそう。

 破棄も出ないし助かるね。」

 プラッツにもクレスタにも好感触のようだ。

 「後は、サンドイッチを耳ありなしでで食べ比べだね。

 ルーミーちゃんも呼びますか?」

 みさとはプラッツに声を掛ける。

 「店番も大事だから、彼女の分も取っといて後で食べてもらって感想聞くよ。」

 「了解です。

 じゃあ切り分けますね。」

 みさとは、サンドイッチをそれぞれ6等分に分けていく。

 「あはは、もう食事会だね、この量は。」

 「たくさん作りすぎましたかね。

 まだまだサンドイッチは違うもの出せますから、一例として試してくださいね。」

 「流石みさとさん、頼もしい。」

 出来上がった量に驚くプラッツだが、町おこしにするなら色んなもの出さないといけない。

 それを見越しているクレスタは、うんうんと頷いた。

 中身毎に耳ありなしで纏める。

 ルーミーの分は、事前に1種類ずつみさとが取り分けておいた。

 いざ実食。

 「中身入れたものも、美味いなぁ。

 手軽に食べられるのは良いよね。

 大人でもありだな。」

 「食べ比べてしまうと、耳のありなしでだいぶ違うね。

 耳ありは持ちやすいけど、噛み応えが出てくる。」

 「耳なしは良いな、食べやすいし中身の邪魔もしない。

 ペロッと入ってしまう。」

 「中の具を食べてる感じするよね。

 野菜サンドも食感が凄く良い。」

 「このフルーツサンドは、お菓子みたいだ。

 こんな食材もパンと合うなんて思ってなかったよ。」

 どんどん食べ進め、プラッツとクレスタは感想が止まらない。

 「ねぇみさとさん、パンにとんかつが合うなら、カレーも合うんじゃない?」

 クレスタの言葉に、みさとはニコニコ応える。

 「勿論合いますよ。

 パン生地にカレーを包んで揚げるカレーパンもありますからね。」

 「「カレーパン?」」

 「その流れで言うと、あんこを入れたあんぱんやカスタード入れたクリームパンも美味しいですよ。」

 「次々出てくるな、謎のパン。」

 「みさとさんが言うんだから、美味しいんだろうな。」

 サンドイッチの試食中なのに、もう他のパンにも興味津々なプラッツとクレスタ。

 「おいおい2人共、先ずはサンドイッチの判定じゃないのか?

 まだ焼いただけで食べてないパンも待ってるんだろ?」

 「そうでした拓海さん、ひとつずつ行きましょう。

 みさとさん、さっきのカレーパンとやらもこの後やりましょう!」

 「はーい。」

 暴走気味の2人に声をかけ、サンドイッチに引き戻す。

 「耳ありは、家庭でも真似しやすいです。

 耳なしは面倒なのでお店ならではな感じを出せるのと、残った耳も販売できるのもありです。

 それぞれ良いところはあると思いますが、好みは分かれるんじゃないかと。」

 みさとの意見を聞き、クレスタ・プラッツも考える。

 「僕はどっちもありだと思う。

 家庭で真似できると思えば、四角パンは更に売れる。」

 「俺もそう思うが、買ってもらってまで食べ比べはしないんじゃないか?

 それなら、最初から耳なしでいいと思う。」

 「なぁ、町おこしで色んな店舗が出すんだろ?

 耳ありの店と耳なしの店が出てもおかしくないんじゃないか。」

 「「それだ!」」

 2人共息ぴったりだ。

 どっちも捨て難かったんだろうな。

 俺の意見が採用になりそうだ。

 「耳ありなしは、店毎に決めてもらおう。

 サンドイッチは決定だ。」

 「じゃあ、次のマーブルとデニッシュに取り掛かろうか。」

 プラッツの一言で採用され、次を促すクレスタ。

 それぞれ冷めてきたので、全て6枚切りに切り分ける。

 「渦巻き綺麗だな。

 中に入れるもので色が変わるのも良い。」

 「ちょっと空洞ができるのは御愛嬌かな。

 真ん中だけくり抜いて食べたくなる。」

 カスタード・いちご・ブルーベリー・あんこと、それぞれ手に取りプラッツとクレスタが感想を述べる。

 「そのまま食べてもいいし、軽く焼いてバター塗っても美味しいですよ。」

 みさとの一言で、包丁を持ち出す2人。

 全て半分に切って、半分は釜へ入れて残りはそのまま食べてみる。

 「うん、良いね。

 柔らかくて甘くて、これだけで食べたくなる。」

 「真ん中、贅沢な感じする。

 これだけ沢山食べたい。」

 クレスタの素直な感想に、皆で笑い合う。

 そうこうしているうちに程良く焼けた半分のパンを取出し、バターを塗って試す。

 「美味い、何これ。

 バターそのまま塗っても美味かったけど、焼いたパンに塗るとこんなに違うんだ。

 さっきのジャムバターサンドとはまた違って良い。」

 「僕あんこ気に入った。

 バター合うね。」

 「カスタードは、焼きめが付いて更に美味い。」

 気に入ってくれて良かった。

 みさとは、デニッシュ四角パンを更に半分に切って、いくつか焼いている。

 「デニッシュ四角パンもどうぞ。」

 焼いたものと焼いてないものを半々にして、2人に出す。

 焼いてないものから試すと、驚きの声が上がった。

 「バターの風味が凄く良い。

 四角パンなのに、普通のものより生地が柔らかく感じる。」

 「何回も折り畳んでたからだと思うけど、割りやすい。

 真っ直ぐじゃないけど、解ける感じ。」

 「それでは、表面焼いたものもお試しくださいな。」

 焼く前のものを堪能していた2人に、みさとがトーストしたものを出す。

 「さっきのカスタードやジャムのものより、サクッとしてる。」

 「凄く軽い口当たり。

 バター塗ってないよね?

 でも、焼く前のものよりバターの香りが強い。」

 「耳のあたりのサクサクは、最早お菓子だね!」

 クレスタもプラッツも、違いが分かるようだ。

 「販売時にこういう内容をお客様に伝えるとか、看板に書いて知らせるとかありでしょ?

 知らないと損するよって。」

 何の気なしにポロッと出たみさとの言葉に、クレスタもプラッツも衝撃を受けたようだ。

 真顔でみさとに言い寄ってきた。

 「みさとさん、やっぱり店出しましょうよ。」

 「うちで一緒に働かないか?

 給料も奮発するよ。」

 「え、どうしたの2人共、落ち着いて。」

 

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