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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 191

 「やりましょう!

 マーブルもデニッシュもやってみないとわからないからね。」

 プラッツはやる気だ。

 「じゃあ、四角パンの生地はプラッツさんにお任せします。

 中に入れるものは、用意しますね。」

 そう言うと、みさとはリュックをゴソゴソし始めた。

 カスタードクリーム・いちごジャム・ブルーベリージャム・あんこ・更にバターを取出す。

 「いちごとブルーベリーのジャムは、棒アイス作った時のだね。

 あんこは豆腐の町おこしの時か。

 この黄色いのは、プリンに似てる?

 もっと形はしっかりしてたはずだけど。」

 「流石クレスタさん、よくおわかりで。

 ジャムもあんこもその通り。

 この黄色いのはカスタードクリームで、プリンと材料はほぼ同じ。

 全部取扱いしてるでしょ?」

 「勿論、材料はお任せあれ。」

 「後はこのバターを畳み込みやすく薄くしてっと。」

 以前カムリから貰ったチーズを包む用紙でバターを薄い四角に成形する。

 次に焼く準備をしていた発酵中のものを、箱から取出すプラッツ。

 程良く膨らんできていたが、平らに均す。

 中に入れるものは味見してあるので、生地に塗り広げ再度丸める。

 「小さい山にするのは難しいけど、丸めてこのまま焼くと綺麗なマーブル・渦巻模様になりますよ。」

 「成程。

 どれも甘みがあったから、食事パンというよりおやつ向きかな。」

 次々に成形したものを箱に戻し、発酵しているものと一緒に置く。

 次にデニッシュにも取り掛かる。

 「このバターと同じ感じの四角に広げてほしいんですが、倍くらい大きく出来ますか?」

 「よし任せろ。」

 みさとの要望に、プラッツは軽々請け合う。

 みるみる広がっていくパン生地。

 適度な大きさになったところで、みさとがストップをかける。

 広げた生地の上に薄くしたバターを乗せ、生地の四つ角でバターを包むようにする。

 2つに折り薄くして、更に畳んで薄くしてを繰り返す。

 かなり繰り返してやっと終わり、整形に入る。

 捻った形で箱に収める。

 「ただ丸めるんじゃないんだな。」

 「それでも良いんですが、層が横だったり縦だったり、一方にしか走らないんですよ。

 私の食べた感じでは、複雑な方が食感が楽しいかな。

 一定方向の層の場合は、剥がして楽しめますけどね。」

 プラッツの疑問にみさとが応え、焼き上がりで確かめる形になる。

 「マーブルもそうだけど、デニッシュも包丁で切ると断面綺麗ですよ。」

 「えっ、包丁で切るの?パンを?」

 「はい。

 実は、四角パンも包丁で薄く切って色んな具材を挟む提案したいんです。」

 プラッツは今までの常識を覆され、戸惑っている。

 「だってこの四角パンは、柔らかくてとても切れたもんじゃないよ?」

 「それは道具次第かもですよ。」

 みさとはまたもやリュックをゴソゴソ。

 「切れる包丁は必要です。

 柔らかいから押しつぶしちゃいますよね。」

 「そうそう。

 何回か試したけど、割ったほうが早かったくらいだ。」

 「後は均一に切る方法ですねぇ。

 流石にスライサーはないしなぁ。

 ねぇたっくん、こんなの出来ないかな?」

 みさとからの提案は、金属の板の上に四角パンが通るくらいの枠を作り、何枚切り用にするかの目印も付けたもの。

 パンを押さえる方は、同じくらいの大きさの金属のカバーを付けて軽く押さえられるようにする。

 なんとなくイメージはついたが、紙に書いて図形の共有。

 同じようなイメージしてたみたいで、みさともにっこり。

 傍から見ていたクレスタ・プラッツは、進行を見守っている。

 焼きに入って少し時間ができたため、さっきの案を実行するためデックスのところに向かう。

 勿論パン一斤分の採寸もしてある。

 道具を作ってもらいに行く話をしたところ、クレスタも行きたいとなった。

 プラッツはパンの様子を見るため残る。


 「デックス、急にで悪いんだけどさ、作って欲しいものあるんだよ。」

 「拓海よ、急はいつものことじゃねーか。

 んで、今回は何だよ。」

 「金属で変形定規みたいなの作って欲しいんだ。

 こんな感じ。」

 さっき紙に書いたものを、デックスに見せる。

 「何だこりゃ、変な形だな。」

 「パンを切るための補助具だよ。

 長細いパンでさ、柔らかいから切りづらいんだ。」

 「パンが柔らかいだって?

 あんな固いものが?」

 「まぁ騙されたと思って、作ってみてよ。

 勿論、特急料金で支払うからさ。

 全然騙してないけどね。」

 「仕事は勿論受けるさ。

 寸法と細部の確認させてくれ。」

 デックスの申し出に、俺が数値を申告。

 細部の作りに関しては、みさとと摺合せ。

 1枚の金属板から器用に作るデックスは、流石と言わざるをえない。

 「なんかさ、金属加工だからデックスに相談したけど、よかったのかな?」

 「何いってんだよ拓海。

 任せとけって言ったろ。」

 最後の仕上げに目盛りを入れて、終了。

 「序と言っては何だけど、この装置で使えるサイズの包丁欲しいんだよね。

 大きめ包丁も売ってもらえる?」

 「あぁ良いぞ、数出来てきてるから問題ない。」

 そう言ってデックスは大きめ包丁を持ってきた。

 「ありがとう、助かったよ。」

 俺はデックスに金貨3枚を渡す。

 「これは特急料金か?」

 「そうだよ。

 包丁も含めての値段だけど、足りないかな?」

 「いや、充分過ぎるくらいだ。

 調整必要ならまた来てくれ。」

 「流石デックス、サービス良いね。」

 良い仕事にはきちんと代価が支払われるべきだ。

 「ところでデックスさん、今後先程と同じものを希望された場合発注できますかね。」

 クレスタもしっかりしている。

 「おぅ、刻印いらないしな、要領もわかったから大丈夫だぞ。」

 「ありがたい!

 それでは早速10個ほどお願いできますか?

 特急ではないので、優先順位はお任せします。」

 「おぅ、出来たら連絡するよ。

 値段もそん時だな。」

 こちらはがっちり握手で終了。

 「じゃあまた来るねデックス、ありがとな。」


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