表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫
19/263

お試しにも程がある 19

「美味しかった!大満足。」

 「今日も食べすぎたわい。」

 「ねぇみさと、デザートはある?」

 シビックの問いに、みさとは少し困った顔で答えた。

 「実はさぁ、メインしか考えてなかったんだよねぇ。

 アイスクリームくらいならストックあるから出せるけど、どぉ?」

 「食べる〜!」

 「俺も少し欲しいな。」

 「私も頂こう。」

 「じゃあ、皆で食べよう!」

 早速みさとはキッチンへ。

 シビックも味見と称してついて行く。

 「レジアス、今日は泊まってく?お風呂入るなら準備するけど。」

 「風呂は入りたいが、今日は帰るぞぃ。

 この後来客予定じゃ。」

 「え、急いで帰らないとじゃん。」

 「風呂入るくらいの余裕はあるぞぃ。

 迷惑なことに、深夜に来るんじゃよ。」

 「大丈夫なお客さんなの?その人。」

 「何処ぞの魔王やってる奴じゃから、大丈夫じゃろ。」

 「魔王様来るの?いや早く帰らないと!」

 「大丈夫じゃて。

 奥方寝てからこっそり来るみたいじゃ。」

 「あはは、頑張ってねレジアス。」

 「なんの相談やらわからんがの。

 話くらいは聞いてやると呼んだのじゃ。」

 「何々、魔王様来るの?」

 人数分のアイスクリームをお盆に載せて、みさとが途中参加。

 器とスプーンをそれぞれ置きながら、器用に座る。

 「餃子取っとけばよかった?」

 「みさと、アヤツを甘やかさなくて良いんじゃよ。

 何用で来るかもわからんて。」

 「顔見に来るだけでも、良いじゃないですか。

 この間のレジアスさんもそうだったでしょ?」

 「ふむ、それもそうじゃな。

 じゃがな、夜中に来るんじゃよ。

 食事のタイミングではなかろうで。」

 「そっかぁ。」

 「みさと、餌付けは良くない!

 サイノスみたいについてくるよ。」

 「そうじゃぞ、程々で良いんじゃ。

 うちの料理人達の仕事も与えねばの。」

 「はーい。

 あ、餃子教えに行くので、都合の良い日教えてくださいね。」

 「勿論じゃ、早目に連絡するぞぃ。」

 「…少しはみさとも俺も休ませてね。」

 「みさとは労らないとな。

 拓海は…そのうちのぅ。」

 「何その差!?

 良いけどね、休む時は受けないからね。」

 「無理強いはせんから安心せぃ。」

 アイスクリームを食べながら、のどかな会話が進んでいく。

しっかり風呂に入り、風呂上がりのコーヒー牛乳まで飲んでから、転移でレジアスは帰った。

 「最後まで賑やかだったね。

 みさと、お疲れ様。」

 「たっくんもお疲れ様。

 ねぇねぇ、設定で色んな地域に行ったってことは、たっくんどこでも行けるの?」

 「検問所の前までならね。

 全部把握してたレジアスは凄いと思うよ。」

 「そっかぁ、凄いんだ。

 ギルドの仕事で、地方に行くことあったら便利になるね。」

 「そうだな。

 サイノスに会った時みたいな、遠方での仕事があればだけど。」

 「車で飛んでるとさ、検問所わからないんだよね。」

 「そんなもんだよ。寄る必要なければ行かないしね。」

 隣のクッションで寝ているシビックを撫でながら、みさとは会話を続ける。

 「そういえばさ、クレスタさんとこの次のメニュー、炒飯も持ってく?」

 「餃子といえば炒飯か。

 雲呑スープもセットでしょ。」

 「そうそう!

 ホントはラーメンと半炒飯みたいにしたかったけど、まだ時間かかるでしょ?」

 「そうだなぁ。

 餃子は白米合うけど、炒飯も捨てがたい。」

 「でしょ?

 ご飯のバリエーション増やすの良いかなって思った。」

 「クレスタと相談だな。

 そろそろ新メニューって手ぐすね引いて待ってるよ、きっと。」

 「気に入ってもらえるといいね。」

 「レジアスの反応は良かったから、大丈夫じゃないかな。」

 「そしたら、胡麻油も作るかしら。」

 「無いと話にならないでしょう!

 勿論辣油もね。」

 「あんまりこっちで辛いもの見ないよね。

 まだまだ知らないだけかなぁ?」

 「そうかもよ。

 その辺も聞いてみるかな。

 てか、みさととシビックじゃ、甘いものばっかじゃないの?」

 「ご飯はたっくんも一緒に食べるじゃん!

 おやつでしょっぱい系は少ないけどさぁ…」

 「チーズでカムリさんびっくりしてたもんね。」

 「そうそう!

 ポテチとかお煎餅とか出してあげたい。」

 「お茶請け位なら良いけど、チーズと絡めなくない?」

 「んー、粉チーズにしてチーズフレーバー?」

 「無理しなくても。

 家ではバンバン出してください!

 パリパリ系飢えてたから食べたくて仕方がない。」

 「リクエスト承りました。

 次の遠征までに、ストック作ろっか。」

 「やったー!」


 レジアスは家についてから、執事に料理人を呼ぶよう指示した。

 直ぐに来たのは、オーパだ。

 「レジアス様、お呼びでしょうか。」

 「うむ、遅い時間にすまんの。

 今度みさとが新メニュー伝授してくれるそうでな、忘れんうちに伝えたかったのじゃ。」

 「なんと、新メニューですか。

 心躍りますねぇ。

 レジアス様はもうお試しになられたメニューですか?」

 「勿論じゃ。熱々は美味かったぞぃ。

 折を見て、みさとが来てくれるそうじゃ。」

 「それはありがたいですね。

 2人にも伝えますが、私が居る時に来ていただけると嬉しいです。」

 「まだまだ機会はあるじゃろて。

 別のメニューも考えてるみたいじゃし。

 家で食べられるのは嬉しいのぅ。」

 「美味しくできるようになったら、アレンジ出来るかも挑戦したいですね。」

 「頼もしいのぅ。

 それから話は変わるが、これから客が来る予定なのじゃ。

 甘いものと、軽く食べられる食事を用意してくれんか。」

 「畏まりました。

 失礼ですが、どれくらいのお客様がいらっしゃるのでしょうか。

 数を揃える必要があれば、目安にしたいと存じます。」

 「なぁに、1人の予定じゃよ。

 腹が空いてるとは考えにくいが、茶と一緒に楽しめるくらいで頼めるかの。」

 「畏まりました。

 早速準備にかからせて頂きます。」

 そう言うとオーパは、一礼して足早に消えて行った。


 「家では横柄だな、お前は。」

 「何言っとる、お前だってそうじゃろうが。

 良く来たな、オロチよ。」

 「あぁ。

 お前が来てくれたから、今度はこっちからと思ってな。

 昼間では面倒になるだろう?」

 そう言いながらオロチは、レジアスの向かい側のソファに陣取る。

 「そうさな、お互い不便に慣れすぎたな。」

 「お前はかなり自由だろ。」

 「何を言う、これでも忙しいんじゃ。

 ついさっき拓海のところから転移で戻ったばかりじゃ。」

 「ほぅ、あの乗り物の持ち主か。」

 「今回は、国内各検問所に転移装置の設置してきたのじゃ。

 これで、商人でも行来しやすくなるじゃろて。」

 「商人が魔法を使えると?」

 「いやいや、ランクの低い冒険者・魔法使いでも移動できるから、雇える層が広くなるんじゃ。」

 「成程な。

 よく考えるもんだ。」

 「拓海と2人で、今日全て設置完了じゃ。

 な、働いとるじゃろ?」

 「その管理・運用もお前がするのか?」

 「管理は魔法協会・運用というか周知は魔法庁じゃな。

 その装置に何かあった時には、魔法協会の各支部にある水晶に通知が飛ぶ。

 対応できない事態の場合は、魔法庁に連絡来るようになっておる。」

 「しっかり考えられてるな。

 それも拓海の案じゃないのか?」

 「そうじゃが、上に通したのは私だし材料も調達したぞぃ。」

 「何事も役割分担だな。

 何より、後を管理できる者が居るのは本当にいい。

 うちにもそんなやつがいたらいいのになー。」

 「育てるのも仕事のうちじゃわい。」

 「お前が拓海を育てたわけではあるまい?」

 「それはそうだが、知識の共有はしとるぞ。

 あやつは、こっちに来てまだ時間が経ってないからのぅ。」

 「そりゃ知らない事も多い訳だ。

 魔王を怖がらない不思議なやつだとは思っていたが、そういうことか。」

 「驚いてたぞ、一応な。」

 「はっはっはっ、一応か、うん。

 また遊ぶ機会があるといいがな。」

 「そのうちあるじゃろ。

 今度みさとがうちの料理人に新メニュー伝授してくれるでな、その時でもお前を呼んでやろうか?ん~?」

 「大人しく乗ってやろうではないか。

 美味いんだろうな、新メニューとやらは。」

 「当たり前じゃ、みさとが作るんじゃぞ!

 今日食べてきたが、本当に美味かったわい。」

 「お前もう食べたのか?

 ズルいではないか!

 そこに呼べば良かったではないか。」

 「時間が合わなかったからのぅ、残念残念。」

 「折角王妃に内緒で早く来たのに。

 その時は必ず呼べよ!なるべく用事を済ませてくるからな。」

 「いいじゃろ。

 エルフの国に行く予定あるから、その後になるがな。

 忘れず呼ぶとしよう。

 そういえば、坊は元気かの。」

 「元気は元気だが、元気過ぎてヌエラが大変そうだ。

 誰に似たのやら。」

 「お前に決まっとるじゃないか。」

 「いや、あれは王妃に似たのだ。

 人前では大人しいが、実は…」

 「実はなんですの?、あなた。」

 その声に、二人共即座に反応した。

 ずっといたかのように、佇む王妃。

 「ヒミコ!お前どうしてここへ?」

 「どうして?

 あなたが居なくなったから様子見に来ただけですわよ。

 お久し振りですね、レジアス殿。」

 「あぁ、ヒミコ殿も息災のようじゃな。」

 「お陰様で。

 で、あなた。実はの次は何ですか?」

 「いや、何、顔立ちはお前の方が似てると思ってだな…」

 「そうですか。男の子ですが美しくなりそうですね。

 何か問題でも?」

 「いやいや、何もないぞ。将来楽しみだな。」

 「ならいいですけど。

 私を置いていくなんて酷いです!

 心配したじゃないですか。」

 「ちょっと此奴の顔を見に来ただけなのだ。

 直ぐ帰るから、連れ回すのは悪いかなと…」

 「水臭いです!何処でも一緒に行きますよ!」

 「悪かった、ごめんよ。

 此奴がふらっと来たから、俺もしたくなったんだ。今度からは一緒に行こうな。」

 「はい!」

 呆れて見ていたレジアスは、そろそろ良いかと口を挟む。

 「おほん、解決したかの。

 次回うちの料理人がみさとから料理を教わる際に、食べに来るとオロチは言ってたぞ。

 ヒミコ殿も来るということでいいのかな?」

 「勿論ですレジアス殿。

 喜んでお邪魔させていただきますわ。

  お料理も楽しみですね。」

 「わかった、2人にも伝えておこう。」

 「騒がせてすまんかったな、レジアス。

 気軽に来れる事が確認できたから、今日は帰るとしよう。」

 「いいのか?茶位出せるぞ。」

 「いや、帰ってから2人で飲むとするよ。

 な、ヒミコ。」

 「はい、準備しますね。」

 「そうかそうか、よろしくやってくれ。」

 「連絡待ってるぞ。」

 そう言うと、ヒミコを抱き寄せたオロチが、転移で帰っていった。

 

 「何だったんじゃ、全く。」

 ノックの後に、執事が入ってきた。

 「レジアス様、お茶の準備は如何致しましょう。」

 「あぁ、私のだけ貰おうか。

 オーパにも、出来た物だけ私が食べると伝えてくれ。

 途中であれば、明日出してくれていいぞ。

 切りの良いところで休んで貰ってくれ。」

 「畏まりました。」

 執事が出ていくと、部屋は静かになった。

 来るだけで疲れるとは、流石奥方じゃ。

 また来ると言っておったな。

 忘れんうちに、拓海に伝えるか。


 (拓海よ、今良いか。)

 (どうしたの?レジアス。どうぞ。)

 (あやつが来てもう帰ったのだが、その際奥方まで来てのぅ…)

 (えっ、そうなんだ。お疲れ様。)

 (みさとに新メニュー教えてもらう時に、2人が来ることになったのじゃ。)

 (2人?魔王様と王妃様ってこと?)

 (そうじゃ。

 2人揃っていればなにもないと思うが。

 …以上じゃ、伝えたからの。)

 (ちょっと、レジアス、関わるなって言ってたじゃん!)

 (仕方ないのじゃ。

 奥方は言い出したら人の話は聞かんのじゃ。

 あやつが責任持つじゃろうから、みさとにも宜しく伝えてくれ。)

 (わかったよ。

 行く時期はレジアスに任せるからね。)

 (あぁ、それじゃの。)


 念話が終わる頃には、お茶と軽食の準備が出来ていた。

 置き終わった執事が佇んでいる。

 「オーパ、頑張ってくれたのぅ。

 1人で食べるのは大変そうじゃ。

 コルサ、お前の分の茶も用意して一緒に食べんか。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ