お試しにも程がある 187
「お待たせ、ヒミコさんも無事連れてきたよ。」
「世話をかけたな、拓海。」
「いえいえ、みさとも仲良くしてもらってるしね。」
旦那同士で話している間に、奥さん同士でも話が弾んでいた。
「別嬪さんだって、ソアラさんやたらニコニコしてたね。」
「そうなの?そういう人だと思ってたけど。」
「おやつくれるなんて、美人さんは得だよねぇ。」
その会話が耳に入ったオロチは、俺を睨んでくる。
「おい拓海、どういうことだ。」
「いやなに、豆腐屋の店主が男性で、美人のヒミコさんに見惚れてただけだよ。
いいとこ見せたくて、おまけしたんでしょきっと。」
更に怖くなった顔で睨まないで欲しい。
俺、何も悪くないよ?
「そんなやつのところに連れて行ったのか。
ゴホン、あーヒミコ、豆腐屋は俺も一緒に行くから1人では行くなよ。」
「はいあなた。」
オロチからの声かけに、花のような笑顔で応えるヒミコ。
ソアラの無事を祈るだけである…
落ち着いたところで、レース再開。
観客席はゴール前に作り、遠くて見えない部分は映像で見えるようにする。
空中の比較的高い所に映像を映し、レースしている人達に影響ないようにする。
周回数は見えないと困るので、観客席からもレースしている人達からも見える位置に出す。
オロチがどうしてもレジアスに勝てず、ヒミコの一声で帰宅するまでレースは続いた。
オロチとヒミコが帰った後、デックスから声がかかる。
「そうそう拓海、大きめ包丁が数増やせたから、そろそろ特注包丁作る予定だ。
出来上がったら知らせるから、宜しくな。」
「ありがとうデックス、助かるよ。」
「クレスタもよく来てくれて、他の商品の話も進めてるぞ。」
「それは楽しみだ。
乗り物の方も、売りに出したい頃だね。」
「そうだな。
今日のレースで、楽しかったが速度出すと危険という意味もわかった。
安全面で問題ないか、ルクラと再度確認する。」
「ぶつかったり転んだり何回かしたもんね。
魔法で治した筈だけど、今日はゆっくりしたほうがいいよ。」
「あぁ、そうさせてもらう。」
そして、俺達とレジアスはそれぞれ転移で帰った。
「楽しかったね、たっくん。」
「そうだね、作った甲斐があったよ。」
「あのコースそっくりだったね。」
「思い出せる限り再現しました。
中々の出来だと思う。」
「ねぇ、僕待ってるだけでお腹空いちゃったよ。」
大人しくレース観戦していたシビックは、早速ご飯を要求。
「俺も今になって凄く腹ペコになった気がする。」
「あはは、頑張ったもんね。
唐揚げかな、ハンバーグかな、それとも生姜焼きとか?」
「どれもそそられるねぇ。」
「僕全部入るよ!」
「じゃあ、温かいお茶でも飲みながら待っててくれる?」
「「はーい!」」
みさとは、鼻歌交じりに料理をし始めた。
「シビック、みさと達はつまらなそうにしてなかった?」
「うーん、もう1人のお姉ちゃんとずっとおしゃべりして笑ってたよ。」
「なら良かった。
お前もみさとを見守ってくれてありがとな。」
「拓海との約束だしね、どうってこと無いよ。
ところでさぁ、いい匂いしてきたら更にお腹空いたんだけど。」
「まぁ待て待て、すっごくお腹空いてる方が食べた時美味いぞ。」
「そんなもんかなぁ。」
そんな感じでシビックと遊んで待っていると、みさとから声がかかった。
「出来たよ、お待たせ!」




