お試しにも程がある 174
「無事に終わって良かったね、たっくん。」
疲れた様子はないみさとは、いつも通りの笑顔で応える。
その笑顔のおかげで、俺の中ではもう日常に戻れた。
「じゃあ、帰ろうか。」
「そうだね。
埃だらけだからお風呂入らないとね。」
「僕ご飯食べたい!」
「よーし、今日仕入れたお肉を、とんかつみたいにして食べよっか。」
「「さんせー!」」
「沢山あるから、お腹いっぱい食べてね。」
「初の魔物肉、楽しみだな。」
呑気に話しながら、冒険者ギルドを出ていく。
出ていった後、残った冒険者達は、どんな魔物肉なのかを皆で想像して盛り上がったそうな。
家に帰って風呂に入り、みさとは食事の支度に取り掛かる。
その間、俺は洗車をすることにした。
ガレージに行き、車を出す。
ごめんな、暫くしてなかったよな。
向こうから持ってきた洗車道具も出し、水は魔法で出す。
優しく水で大雑把な埃等を取り除き、手でワシャワシャしていく。
洗車機ないのもそうだけど、やっぱり魔法より手洗いでしょ!
ホイールやミラー回り、ワイパーの部分も丁寧に洗う。
車体の下も洗いたいので、ここは魔法で浮かせて下から洗う。
洗車の時間取れるって、贅沢だなぁ。
向こうだとマンションじゃ洗えないし、ガソリンスタンドの洗車機に頼りっぱなし。
実家の庭先なら出来たけど、そうそう帰らないしな。
泡も綺麗に流し、ワックスがけもしようかな。
夢中で楽しんでいたところ、みさとがやってきた。
「ここにいたのかぁ。
もう出来たけど、どうする?」
「え、そんなに時間経ってた?
ごめん、手を洗ってから直ぐ行くよ。」
「切りが良くなってからでいいよ。
途中で止めたら大変なんでしょ?」
「流石みさとさん、わかってらっしゃる。
終わって眺めてたところだから、大丈夫だよ。」
「ピッカピカになったね。」
「だろ?
ずっとしてなかったから、コイツもさっぱりしたんじゃないかな。
こまめに洗ってあげないとなぁ。」
「色んな所行くしね。」
「よし、食事にしよう。
初の魔物肉、楽しみだな。」
魔法で水を出し、手を洗ってからみさととテーブルに向かう。
シビックは既にフォークを持って、食べたそうに待っている。
「拓海、遅い。
折角のご飯が冷めちゃうよ。」
「ごめんごめん、お待たせ。」
「ではでは、皆揃ったし食べようね。
いただきまーす!」
「「いただきまーす!」」




