お試しにも程がある 170
「えー、シビック君。
超位魔法ってあるの?」
「あるよ。
人間が使えるとは思えないけどね。」
俺の質問に平然と応えるシビック。
おやつ食べながらのほほんと答える内容ではないと思う。
「うん、わかった、忘れよう。」
一休みしたところで、探索再開。
早く魔物が出ないかな。
少し歩くと、出ました魔物。
今回は少し大きめ3体。
満を持して土魔法を使う。
石とか土になるのかな?
杖を向けると、サラサラ崩れ落ちていった。
瞬時に砂になった?
3つの小山が残った状態。
触ってみると、土というより砂になっている。
形も残らず、なんか悪いことした気分。
「呆気ないな。
杖を使っても、発動したかよくわからないや。」
「結果で確認で良いんじゃない?
砂山全部合わせて再生させたら、大きいの出るとかあるのかな?」
「ゲームのスライ厶じゃあるまいし、そんな理由無い。」
みさとは砂遊びの様に、1箇所に山にした。
そもそも再生ができるかも分からん。
みさとからキラキラした目を向けられて、杖を山に向ける。
首が3つあっても嫌だぞ。
みさとが言ってた大きな魔物を俺も想像していたようで、かなり大きな魔物が再生された。
うそん。
高さは3倍より少ないが、横幅は3倍以上だ。
大きくても動きが機敏である。
近くにいたみさとに掴みかかろうとするので、序とばかりに木魔法も試す。
杖を向けると、大木が出来た。
身体から木がニョキニョキ生えてくると思ったら、まんま木になった。
風は吹いていないのに、葉がはらはらと舞っている。
「みさと、実がついてても食べないでね。」
「大丈夫、お腹いっぱい。」
「シビックもな。
何が起こるかわからんし。」
言ってる傍から、大きな赤い実が落ちてきた。
例の袋が、自動的に回収。
後で鑑定してみるか。
「ねぇねぇ、これって倒したことになるのかな?」
みさとが口にした疑問を、俺も考えた。
そうだよな、まだ存在してるし。
「どう思う?シビック。」
「邪魔されなければ、ほっといて良いんじゃない?
倒したかどうかなら、魔石出たかで確認とか?」
直ぐに周りを見るが、葉っぱしか落ちてない。
「さっきの赤い実か?」
念の為袋から取出して、鑑定。
中にというより、実自体が魔石のようだ。
「シビック、オデッセイ様から貰ったお菓子ってさ、本物の魔石?」
「そうだね。
でも、この辺で出るのより凄く美味しいよ。」
本気か。
「じゃあ、これは美味しそう?」
赤い実を手のひらに載せて、シビックに見せる。
「お菓子よりは美味しくなさそうだけど、この辺の魔石の中ではましな方かな。」
美味しくないのがわかっているようで、手を出そうともしない。
「魔石にも色々あるんだな。
美味しい魔石が落ちる魔物とか、美味しい魔石の木があるとかかな。
それはないか。」
「僕は貰うだけだから知らないなぁ。」
「魔石のなる木あったら、綺麗だろうねぇ。
見てみたいかも。」
「魔石の木か、あったら取合いで争いが起こるな。
無くてよかったな。」
木から取れるなら、危険がなくて良いかもだけど、それはそれで扱い大変かも。
いやぁ、無くてよかった、本当に。
「それじゃ後はサクサク進んで、踏破してから帰ろうか。」




