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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 166

 「じゃあ、俺達はそろそろ帰るよ。

 特注品出来たら、その時は声かけてね。」

 「あぁ、頼むよ。

 そうだ、下請け確保できたから、想定より早く出来ると思うぞ。」

 ニヤッとデックスが得意げな笑顔で告げる。

 無事丸め込めたようだ。

 「わかった。

 クレスタ、帰りはピクシスさんで大丈夫そうかな。」

 「難しかったら、呼びますね。」

 「あはは、大丈夫だよ、きっと。

 ピクシスさん、後は宜しく。」

 「が、頑張ります。」

 そうして俺達は家に戻った。


 翌日、冒険者ギルドに向かった。

 先日入った魔石の大量に出るダンジョンに入っても良いのかの確認だ。

 職員曰く「入るのは自由ですが、依頼でもなければあんな危険な所に行く人そうそういないですよ。」だそうだ。

 じゃあ行ってみようか。

 

 みさとは、オデッセイから貰った剣を試したいようで、最初からそれを持って入る。

 俺は後ろから、シビックと一緒に自動的にドロップしたものが入る袋を手に持って付いて行く。

 暫く時間が空いたからか、魔物は再度湧いている。

 みさとは前回同様、一振りで団体様を薙ぎ倒す。

 今回は魔石だけでなく、素材になるアイテムも落とされたのでそれも拾う。

 ここ、そこそこ出来る冒険者なら生活成り立つんじゃなかろうかと思えてきた。

 前回は魔石しか注目してなかっただけかな。

 ドロップしたものは全て自動回収。

 楽ちん楽ちん。

 肩にいるシビックは欠伸をしつつおやつを要求。

 ただのお散歩だもんね、これじゃ。

 段々下に降りるにつれ、罠も出だした。

 弓矢が出て来た時には、みさとのあちこちに当たっていたけど、「何?」と言って頭に当たったところを撫でるくらいで済んでいた。

 何か出てくる類の罠ならいいが、落ちるのはちょっと困る。

 一緒に降りられるかわからないし、怪我しないのはわかっていても安全に行きたいものだ。

 大分降りてきて、中ボスの間らしきところに出た。

 明らかに前回の最終階より狭いけど、今までよりは広め。

 「んー、こんなとこあったっけ?」

 「サクサク進んでたから覚えてないなぁ。」

 「取り敢えず入ってみるね。」

 迷いも躊躇もなく、みさとは進んでいく。

 入ると、ワラワラと小さい魔物が出てきて、その上位種と思われる少し大きめの魔物も出て来た。

 勿論みさとは、剣を一振りして終了…と思いきや、上位種は跳び上がり避けた模様。

 すかさず近寄り、追撃で倒す。

 転がり落ちた魔石は、小さい魔物の物より少し大きかった。

 個体によって違うのかな?

 倒し終わって先を見ると、二手に分かれる出口があった。

 「やっぱり違うよね、分かれ道なかったもん。」

 「そうだな、一回クリアしたから、リセットでもされたのかな。」

 「じゃあ、何回来ても良いかもね。」

 「問題はどっちに行くかだな。」


 念の為、ナビに確認。

 ナビ、この先わかる?

 『どちらに行っても、最終地点までは辿り着けます。

 途中で合流します。』

 成程ね。


 「みさと、どっちに行っても大丈夫そうだ。

 好きな方でいいよ。」

 「はーい!

 じゃあ、剣が倒れた方に行こうか。」

 そう言うとみさとは、剣先を地面につけて、柄の部分をクルッと回す。

 左に倒れたので、左に行くのかな?

 俺は剣を見ていたが、みさとは壁を見ていた。

 「ねぇたっくん、この壁壊したら両方行けたりするのかな?」

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