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ちょっとそこの異世界まで  作者: 三毛猫


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お試しにも程がある 157

 「珍しいらしいよ、ドラゴン。

 鱗も高いみたいだし。」

 「こんないい子はそういないよね、シビック。」

 「そっか、残念。

 記念に動画撮っとこ。」

 俺とみさとの言葉に、がっかりした様子の聡太。

 居る間は一緒に遊んでやってくれ、シビック兄ちゃん。

 シビックは何も気にせず、美味しそうにケーキを食べ、お代わりまで要求した。


 一休みして、皆で散歩に出る。

 近場をのんびり歩いてると、近所のカムリに出会う。

 「こんにちは、カムリさん。

 いい天気ですね。」

 「おや、拓海君・みさとちゃん、こんにちは。

 そちらの方は?」

 「うちの息子の聡太ですよ。

 今日は偶々来てまして。」

 「は、初めまして、星野聡太です。

 いつも両親がお世話になってます。」

 「あらあら、しっかりした息子さんね。

 兄弟かと思ったけど、拓海君ちゃんとお父さんしてんだね。

 聡太君、牛乳飲んでくかい?」

 カムリには兄弟に見えるのか。

 こっちでの年齢感覚は未だによくわからん。

 「聡ちゃん、カムリさんは大規模の酪農家で、とっても牛乳美味しいんだよ。」

 「近くだからおいでよ。

 この間みさとちゃんが教えてくれたキャラメル混ぜたクッキーも焼いたとこだし。」

 相変わらず気さくな方だ。

 「散歩序でだ、お邪魔しようか。」

 皆でカムリの家(農場?)に向かう。

 首都以外からも買いに来る客が増えているそうで、荷馬車の列が出来ている。

 その列を見たみさとはちょっと小声で聞いてみた。

 「カムリさん、ホントは忙しかったんじゃないの?

 大丈夫?」

 「平気平気、今は販売管理する人も雇ってるからね。

 みさとちゃんみたいなしっかりした子が来てくれたんだよ、安心して任せてるさね。」

 そんな事を言いつつ、カムリは手前の扉に入っていく。


 「建物も牧場も広いね。

 凄いな。」

 俺とみさとは勝手知ったるだが、聡太はキョロキョロしている。

 案内された先で、みさとはシビックを膝の上に乗せて座る。

 俺と聡太も座り、大人しく待っている。

 「拓海君は苺ミルク、みさとちゃんはバナナミルクだよね。

 颯太君はどうする?コーヒー牛乳とキャラメル牛乳もあるよ。」

 「コーヒー牛乳でお願いします。」

 「はいよ、待っててね。」

 パタパタとカムリは奥へ入っていった。

 「キャラメル上手くいってるみたいだね。」

 「カムリさんの手腕でしょ。

 今度うちでキャラメルチーズケーキ作ろっかな。」

 「何だいみさとちゃん、うちでも作れるやつかい?

 売れそうならまた作り方教えとくれよ。」

 トレーを持ったカムリが入って来た。

 「あはは、そうですね。

 先ずは味見用を持ってきますよ。」

 「楽しみにしてるよ。」

 それぞれの前にドリンクを置き、クッキーも大皿に乗せて持ってきた。

 「味見しとくれよ。

 前に言ってたチーズクッキーとキャラメルクッキー、混ぜて両方入ってるクッキーも作ってみたのさ。

 混ぜてないやつは毎回好評で、乳製品買いに来たお客さんがまとめて買ってくよ。

 早く来ないとなくなるって、あんな列出来るようになっちまったけどね。」

 「おぉ、これまた繁盛しますね。

 カムリさんもちゃんと息抜きしないとね!」

 「みさとちゃんのおかげだよ、全く。

 そうそう拓海君、冷蔵庫いい感じだよ、凄く助かる。

 作って良かったよ。

 あのあとさ、隣のターセルも作ってもらったって話しててさ。

 便利になったねって話してたんだよ。」

 「そう言ってもらえるとありがたいですね。

 良かった良かった。」

 向かいに座ったカムリは、キャラメル牛乳を持ってきたようだ。

 みさととシビックは、クッキーを堪能している。

 「カムリさん、両方入ってるクッキー、凄く美味しい。

 甘いのとしょっぱいのが渾然一体となって、どんどん食べちゃう。」

 「そうかい?

 みさとちゃんにそう言われると、嬉しいねぇ。

 拓海君も聡太君もどんどん食べな。」

 「はい、頂きます。」

 俺が手を出すと、聡太も手を出す。

 「バターも効いてて美味しいです。」

 「俺チーズの好きだな。

 売れるのわかる。

 みさとの作るのもいいけど、カムリさんのクッキーも美味しいよね。」

 


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